もう限界。Windows 11にやめてほしいこと8つ

Windowsってこんなにうっとうしかったっけ…。

Windows 11のリリースから2年以上経ち、来年にはWindows 10のサポート終了が迫ってるんですが、なかなか移行が進んでないと言われます。Windows 11のどのへんが問題なのか…米GizmodoのKyle Barr記者がまとめてくれました。


これ、多くのWindowsユーザーが経験したんじゃないでしょうか。新しいPCを買ってワクワクしながら立ち上げたんだけど、そうだ、これWindows 11だった…という気の重さ。いろんなありがたい機能と同じくらい、要らない機能も満載の、Windows 11だったっけ…と。

僕は最近iBuyPowerのScale PCをレビュー用に入手しました。DisplayPortケーブルをモニターにつなぐと画面がチラチラするのはWindowsだからしょうがないとして、もっと面倒なことが次々発生します。要らないアプリがてんこ盛りに入ってるし、クリーンインストールもできず、ポップアップをいちいち消したり、デフォルトアプリを変えたり…。

Apple製品がよく「箱庭」と言われるのに対し、Windowsはオープンなのが特長とされてきました。でもAppleのシェアを奪いたいMicrosoftは、むしろ独自の箱庭を作り出そうと躍起になってるように見えます。しかもその結果Windowsユーザーが増えたわけでもなく、使い勝手が悪くなって逆効果です。

4月にあったWindowsアップデート「Moment 5」ではいくつか前向きな変化もあり、Microsoft EdgeやPaint、Photosといったアプリをアンインストールできるようになりました。ただそれも、わかりやすくはありません。このアプデはEUのデジタル市場法(Digital Markets Act)対応が目的で、Microsoftが自発的にユーザーのためにやったわけじゃないんです。とはいえ正しい方向への一歩ではあり、スナップレイアウトも改善されるなど、今後はよりユーザー重視の方向に行くのではと期待しています。

それでも僕は、最悪と言われたWindows 8や、もっと言えばWindows Vista以上に、Windows 11を使っていてイライラすることが多いです。OneDriveやMicrosoft 365、そして最近ではCopilotなど、Microsoft製品やサービスへの誘導があまりにしつこいんです。さらにMicrosoftは、あらゆるラップトップやキーボードにCopilotキーを付けてクイックアクセス可能にしたがっていますが、それが本当に役立つのか、単にWindowsをますます重くするだけなのかは未知数です。

Windows 11にだって、良いところもあります。いろんなデバイスで動くし(最近3年以内とかに出た、一定以上の性能のCPU搭載が要件となりますが)、ゲーミングもネイティブでいろんなものができます。でもやっぱり、今のMicrosoftにとってのユーザーとは、人質というかブタの貯金箱というか、そんな位置づけなのかなと感じてしまうのです。

Microsoft Edgeのトラップ

Internet Explorerはブラウザー戦争に勝てるべくもありませんでしたが、少なくともブラウザーのベースラインであり、それを通じて皆が自分の選ぶソフトウェアを入手できました。

2015年にChromiumベースのMicrosoft Edgeが登場したときは、Chromeを超えるか?なんて期待もありましたが、実際Edgeに乗り換える人は多くありませんでした。そのせいかEdgeはより貪欲になり、ある意味有害にすらなっています。

たとえばEdgeからBingで「Google Chrome」を検索すると、検索結果トップで「新しいWebブラウザーをダウンロードする必要はありません」と説得されます。DuckDuckGoやFirefoxといった他のブラウザーではそうじゃないし、Chromeもダウンロードできないわけじゃありません。でもダウンロードしたとしても、そのブラウザーをデフォルトにしようとするとまたひと手間かかります。

デフォルトアプリ変更のめんどくささ

Image: Kyle Barr – Gizmodo US

Edgeの説得を無視してChromeをダウンロードしたとしても、それをデフォルトブラウザーに設定するのがまた一苦労です。Googleは設定ページへのリンクを送ってきますが、それでも簡単じゃありません。デフォルトはファイルタイプ別に設定しなきゃいけないので、.htmlから.pdfまで、ブラウザーで開いているいろんな種類のファイルに対して選択する必要があるんです。ここでデフォルト変更を忘れると、PDFを開こうとしたことで数カ月ぶりにEdgeが立ち上がる、といった事案が発生します。

またこのデフォルトアプリのリストは、「ブラウザー」とか「フォトビューワー」みたいなわかりやすい表記になってなくて、ファイルの拡張子とアプリ名が並んでるだけです。しかもそのリストには、だいぶ前に消されたはずのCortanaも残ってたりします。

Microsoftサービスのポップアップ

Image: Kyle Barr – Gizmodo US

Windows 11では、Microsoftのサービスを勧めるポップアップ通知が次々表示されます。「OneDriveに十分な空き容量がありません」みたいな通知が、それも自動バックアップのせいでOneDriveアカウントがいっぱいになったりするせいで出てくるんです。

あとは「Xbox Game Pass Ultimateが付属しています」とか言うから無料でゲームできるのかと思いきや、それは1カ月だけのトライアルだったりします。しかも僕は元々Game Pass Ultimateを使ってるし、そのアカウントでWindowsにサインインしてるのに

でもこの手のポップアップは、設定>システム>通知とアクションに行って、消すことが可能です。ただ、Microsoft StoreとOneDrive、その他デフォルトで入ってるいろんなアプリ(Nvidiaのアプリとか)のバナー、とそれぞれボタンを押して消さなきゃいけません。仕事柄新しいWindows PCをしょっちゅう立ち上げてる自分としては、毎回この設定変更するのがすごい面倒なんです。

Microsoftアカウントへのこだわり

Image: Kyle Barr – Gizmodo US

Windows 11 Home Editionの入ったPCを初めて立ち上げると、Microsoftアカウントにサインインするよう求められます。なのでたいていの人は、サインインしないと先に進めないと認識してサインインすると思います。またMicrosoftアカウントなしでも使えなくはないんですが、そこまでするならWindowsじゃない方がいいのでは、となります。

しかもMicrosoftアカウントにサインインしておけば、Microsoftのアプリを使うときに簡単なのかと思いきや、アプリを使うときは再度ユーザー名・パスワードを入力しなきゃいけません。Xboxアカウントにサインインするときも、アカウント有効化のためにいくつかステップを踏まなきゃいけません。MicrosoftアカウントがGame Passアカウントにリンクされていることを確認しつつ、Microsoft Storeへのリンクを開かないといけないんです。

本来ならMicrosoftアカウントにサインインすることでいろんなサービスをシームレスに使えればうれしいんですが、実際はあらゆる場面でOneDriveやGame PassやMicrosoft 365を勧めてきて、そのたびにユーザーの動きを止めてくるのがMicrosoftアカウントなんです。

あらゆるサービスの広告

Image: Kyle Barr – Gizmodo US

Windows 11改善のためにできることをひとつだけ選ぶとしたら、広告の削除を選びたいです。MicrosoftはWindowsに自社サービスの広告をいかに貼り付けられるか、ユーザーの我慢の限界を探っているようにすら見えます。

Microsoftはスタートメニューにも少しずつ広告を入れようとしていましたが、これらの「バッジ」はまだ開発中です。でも設定のホームに行くと、Microsoft 365やGame Passなどなどの「バッジ」広告が出てきます。

使えないウィジェットメニュー

Image: Kyle Barr – Gizmodo US

マウスをうっかり左に寄せすぎてると、画面左にボックスが出てくることがあります。このウィジェットメニューと称するボックスには、天気からOneDriveの写真から株価まで、いろんな情報が満載されてきます。でもその適切さは疑問で、たとえば交通情報は、位置情報共有を許可してても正確な場所を把握してなさそうだし、載せてるニュースはしっかりした情報源じゃなく、ジャンキーなものばかりです。

ちゃんと作れば便利なツールになりうるのに、ウィジェットはWindows 11のUIの問題点の縮図のようです。自分自身にこだわりすぎて、ユーザーが本当に求めるものよりも、ユーザーが求めているとMicrosoftが勝手に思ったものを押し付けてるだけなんです。

Copilot推し

Image: Kyle Barr – Gizmodo US

MicrosoftがAIに総力を注いでるのはわかりますが、Windows 11のタスクバーにCopilotを貼り付けたのは時期尚早でした。Copilotはまだ、メジャーな役割を担うほど完成されてないんです。プロンプトに対して間違った答えを出したり、ときには有害な結果を出したりしてしまいます。

というか、Copilotが出してくる答えは、Bing検索とまったく同じです。デバイス上では何も処理してなくて、プロンプトは全部クラウドに飛ばされます。アプリを立ち上げるくらいのことはできますが、設定を変えたりはできません。レスポンスを早めたい場合、月20ドル(日本では3,200円)払わされます。現時点のCopilotに対して、そんな金額を払う気になる人がいるでしょうか?

Microsoftは5月20日にAIに関するカンファレンスを予定してるので、そこでWindows向けの新機能も発表されるかもしれません。CopilotがもっとWindowsと深く統合していけば、チャットするだけでデフォルトアプリを変更するとか、作業効率を高めるために診断をしてくれるとかがあるかもしれません。ただ逆に、CopilotからもOffice 365やOneDriveをやたら勧めてきたりして…そうならないことを祈ります。

余計なアプリ

Image: Kyle Barr – Gizmodo US

新しいPCを買うときに余計なアプリが入ってこないように指定できればいいんですが、それは不可能です。MSI CenterとかiBuyPowerのリンク集とか、要らないアプリを削除するにもWindowsを立ち上げて、個々にアンインストールしなきゃいけません。

OneDriveを使うか使わないかとか、ひとつひとつのアプリが要るか要らないかとか、いちいち考えずにWindowsを使いたいんです。でもそれができたのは、はるかWindows XPの時代まででした。今のWindowsは、ユーザーにいかにたくさんのアプリやサービスを使わせるか、それで頭がいっぱいのようです。