車に乗ったままでお買い物できるドライブスルー。支払いにETCを活用するなど、より便利でスムーズにする取り組みが模索されています。車社会のアメリカでは、ドライブスルーを利用する人も多く、AIドライブスルーの導入が進んでいます。いや、進んでいました。
AIドライブスルーとは?
カールスジュニアやハーディーズ、デルタコなど、大手ファストフードチェーン店で導入が進んでいるのがPresto Automationの音声認識サービス。同社は、店内飲食用のオーダー専用タブレットも展開しており、大手ファミレスチェーンのアップルビーズやチリーズで導入されています。
Presto Automationの音声認識ボット導入店舗では、顧客はドライブスルーの画面・マイク越しに店内のスタッフと会話するのではなく、画面=AIボットに向けて話します。その声をAIが認識し店内スタッフに伝える仕組み。
なぜ不調なのか?
一見好調に見えるPresto Automationですが、実は資金難に陥っています。その理由は、システムを導入した企業が早くも撤退傾向にあること。前述した導入済み企業の中には、契約更新をしないと決定しているところも複数あります。
デルタコは、2022年にAIドライブスルーを導入。2023年には期待以上の働きと絶賛し、展開する600店舗以上での導入を決定。が、今年に入って180度方針転換、AIドライブスルーの撤退を決めました。
理由は簡単。結局、人が必要だから。音声ボットが顧客の注文を聞きとり、お客さんとのやりとり自体はやってくれます。が、そのオーダーの入力、確認は人間が行なう必要があるのです。
現在、Presto Automationの最新版システムでも、人間の助けをいっさい必要とせずオーダーを完璧に行なえるのは3割程度だそう。
米マクドナルドも、AI音声認識を利用したドライブスルーをテスト導入したものの、オーダーミスが相次ぎ顧客からクレームが殺到しました。
セルフレジの失敗と同じ道
AIや自動化の導入をいち早く進めるアメリカの企業。そのぶん、見切りをつけるのも早いようです。
ここ数年、セルフレジを導入するスーパーが増えました。目的はコストカット。ただ、セルフレジのみでは完結できず、結局スタッフが呼び出されることで仕事の効率が落ち、かえって人件費がかさむという報告もあがっています。AIドライブスルーと異なり、セルフレジは万引き問題もあり、撤退する企業も増えています。
対ヒトのサービスをAIやマシンに置き換えるメリットは、どれだけ人間の手間(さらには人件費)を軽減できるかにあります。AIドライブスルーが真に導入されるには、この点で、まだ技術進化が必要。
お客さんとのやりとり、注文の聞き取り、オーダー入力が完璧になって、広くAIドライブスルーが導入される未来がきたら、今度は人間が注文をとるドライブスルーが珍しくて人気になりそうな気もしますけどね。
Source: Takeout