レトロな初代Macintoshがこんなに小さく生まれ変わった!
「ミニPCの見た目なんて基本どうでもいい。ゲーミングPCじゃあるまいし、光る必要もないし、出先のモニターつないで使うので土台さえあれば」と古臭いNUC(ナック:Next Unit of Computing)を見るたびに思っていたけど、このAyaneo’s Mini PC AM01を開梱した途端に認識が変わりました。
なんですか? このかわいさは。ほかのメーカーさんも少しは見習わなくちゃ。
ディスプレイは伊達です。使えません。一般のNUCと同じく、USB、HDMIのポートが付いてて、それでつなぐ形です 。
黒い画面が嫌なら、付属のシールを貼って遊んでもOK。
虹色アイコンは磁石でカチッとついてるだけなので、好きなアイコンに交換できます。
AM01はルックス重視のミニPCですけど、処理能力もそこそこあります(メモリ16GB以上&上位CPUを選べば)。
かばんにスルッと入るコンパクトサイズで、最小ってほどじゃないけど、大きすぎることもない感じですね(キーボードとモニター、マウスは出先で調達)。
最高スペックでもない代わりに、一番高いお値段ってこともなく、これまで見たNUCの中では一番キュート。
クリスマスの帰省中、実家で父親のモニター、キーボード、マウスつないで使ったら、自分の家にいるみたいに使えました。仕事用ノートほどシームレスじゃないし、映像処理もゲーミングPCやゲーム機に比べると見劣りがしますけどね。
Macintosh 128Kっぽいデザイン
机のガジェット見てニヤニヤする趣味はないはずなのに、Ayaneo Mini PC AM01は別。つい目が吸い寄せられて、自分でも不思議です。
1984年のMacintosh 128Kに似てるけど、並べてみるとシルエットは微妙に違います。画面も黒いフェイクだし、Apple初期製品の虹アイコンも磁石だし。
よく考えてみたら、伝説のスーパーボウルCMとともにスティーブ・ジョブズが128Kの初代Macintoshを世に出したのって、僕が生まれるより10年も前じゃないですか。なのに妙にかわいくて、愛着が湧いちゃうんですよね。「Little Mac(Macちゃん)」って呼んでしまってます。
サイズは5×5×2インチ(12.7×12.7×5cm)とゴロンとしてるので場所はとるけど、重さは1ポンド(454g)ちょいなので、コードと周辺機器を外せば手軽に移動できます。
造りも頑丈。
ポートがまとまっているのも好感が持てます。
片側にはHDMI 2.0端子、DisplayPort 1.4、USB-A 3.2 Gen2が3つ、USB-A 2.0が1つ、もう片方にはイーサネット、電源、USB-Cの端子(データ転送用)と3.5mmイヤホンジャック(Macみたいに画面を前にして立てるとイヤホンが挿せない)。
底部にはファンがあって、右の通風孔から熱風が出てきます。ストリーミングや高負荷のソフトを使ってるときにはファンが回りまくり。自分はそんなに音は気にならなかったけど、気になる人は気になりそうです。特にモニターの前に本体置いて使うとね。ファンの設定を変えるには、BIOS画面を開いてファンの設定を直接いじる必要があります。本当は独自UIの「AYASpace」でこういう設定までいじれたほうが手軽なのにな。
ベンチマークの連続テストでも発熱は感じられませんでした。前のディスクドライブにSDカードを挿したい衝動に駆られますが、ニセモノなのでそれはできません。なんせ5インチですから。
ちなみにM2搭載Mac Miniは、幅と奥行きがもう2インチ(約5㎝)長めで、重量も1パウンド(454g)以上重い感じですね。
処理性能はまずまず
AM01を初めて起動すると、Ayaneo独自UI「AYASpace」が表示されます。これはいわばゲームや端末基本設定へのクイックアクセス。起動するたびに必要なものではないので、最初の更新後は簡単な操作で表示をOFFにできますし、OFFにすると通常のWindows 11 Homeエディションの画面になります(最安「ベアボーン」より上のスタンダードを選んだ場合)。
デフォのWindowsの壁紙は、Apple初代デスクトップ風です。すごく気に入ったので変えずに使ってました。
まだ市販はされていなくて、Indiegogoで好きなオプションを選んで注文するんですけど、重要なのは各オプションのスペックです。
プロセッサの種類はAMD Ryzen 3 3200UとRyzen 7 5700Uの2つ。上位の5700Uを選ぶとSSD1TB、RAMは8/16/32GBから選べて、W-iFi 6とBluetooth 5.2の規格に対応してるのに、下位の3200UだとWi-Fi 5とBluetooth 4.2までしか対応していなかったりします。モニターはどっちを選んでも60Hz/4Kに対応していますけどね。
いずれにしても、AMDモバイルCPUの端末を使ったことある人なら、だいたいの処理性能は掴めるだろうし、AM01にはかなりの好印象を持つのではないでしょうか。
何回かベンチマークしてみた結果でも、サイズと値段の割には処理能力はある方でした(特筆するほどすごいわけでもないけど)。
5700Uは8コア、16スレッド、最大ターボ周波数4.3GHzのプロセッサです。Vega 8統合グラフィクスにも対応していて、日常のタスクは十分こなせます。グラフィックスのレンダリングをCinebenchで計測してみたら、まずまずの結果でした(重い映像処理には向きません)。
ゲームのときのエミュレーション処理性能も十分すぎるぐらいあるし、遊べる人気タイトルもあって、インディー系の『Hades』も問題なくできましたよ。
ただ、3Dゲームは高解像度&高リフレッシュレートにするとしんどくなります。27インチ60Hzのディスプレイにつないで『Halo: Infinite』を30fpsでやったら、なんとか遊べることは遊べましたが、大きなアリーナのシーンになると粗が出ました。
『Cyberpunk: 2077』もモバイル対応の「Steam Deck」の低めの設定でやって20fpsが限度。マルチプレイヤーの『The Finals』みたいなゲームは、低い設定にしても処理が追いつきません。『Fortnite』なんかのゲームも最高の設定でやるとキツかったです。
お値段は?
レビュー機は平常価格461ドル(約6万7000円)のオプションでした(サイトでは割引価格が上書きされている)。同じ価格帯の同等製品には、Core i5-1135G7搭載Intel最新NUCなどがあります(Ryzen 7よりCore i5の方が若干処理性能は上かもしれません)。
ゲーム用限定で探している人は、OLED以外のSteam Deckが買えちゃうお値段。DeckよりAM01のほうがベンチスコアは出るかもしれませんが、AM01のCPUはいかんせん省電モバイル対応ですからね。大画面につないで高解像度でやると、フレームレートの維持で精いっぱいです。携帯ゲーム機やスマホの8インチ画面につなぐようにはいきません。
5700Uをあらゆるベンチマークで上回るAMD Ryzen ZX Z1 Extremeが搭載されたAsus ROG Allyだって、700ドル(約10万2000円)しないので、悩ましいところです。
買い?
AM01には、買ってからパワーアップできる工夫も施されています。
2.5インチHDD変換用ブラケットが同梱になってるほか、メモリも常時最大64GB(最安Ryzen 3 3200搭載型では最大32GB)までアップグレードが可能。あれやこれやでアップグレードすれば、グラフィックス重めの最新タイトルも無理なく遊べるかもしれません。ただ、『Cyberpunk』を高い設定でやりたい人が買うミニPCじゃないかな。
NUCって、結局処理さえ間に合えばって分野なんですよね。だからIntelもNUC事業撤退の方向なのかも。その点、AM01はレトロなデザイン哲学を前面に出したのが新しさです。
デザインに頼りすぎてイノベーションらしいイノベーションが感じられないのがアレだけど、楽しい見た目であることは否めません。なんの遊び心もない黒いNUCに飽き飽きした人にはぴったりのオプション。