スマホの指示でいつの間にか山に監禁。「サイバー誘拐」の卑劣な手口

遠方の子と親、それぞれ騙されて。

中国人のティーンエイジャーが「サイバー誘拐」されるも無事帰還する、という事案が勃発しました。米国FBIによれば「サイバー誘拐」が増加中らしいんですが、サイバーな誘拐ってどういうことなんでしょうか?

サイバー誘拐の顛末

サイバー誘拐されたのは、米国ユタ州の小さな町リバーデールに住む17歳の交換留学生、Kai Zhuangさん。犯人はスマホ経由でZhuangさんを脅して山に籠らせる一方、Zhuangさんの家族にも連絡して、身代金をだまし取っていました。

リバーデール警察は、12月28日Zhuangさんの通う高校から、Zhuangさんの失踪の連絡を受けました。学校側は警察に対し、Zhuangさんの家族が、Zhuangさんが拉致されたように見える画像を受け取ったそうだと説明しました。

警察がZhuangさんのホストファミリーに連絡したところ、ホストファミリーはその時点でZhuangさんの不在に気づいておらず、前夜には家にいたと言ったそうです。中国にいるZhuangさんの家族は警察に対し、すでに8万ドル(約1200万円)を犯人に払ったと言っていました。

脅されて自らを監禁

リバーデール警察はFBIや中国当局からも協力を受け、Zhuangさんのスマホや金銭利用記録を捜査。彼が近隣の渓谷地域に行っていたことを突き止めて捜索した結果、山中のテントでZhuangさんを発見しました。

彼は「寒さと恐怖で震えて」いて、毛布以外には防寒具もなく、食料や水も限られていたそうです。またZhuangさんはスマホを複数台持っていて、警察はそれらが「サイバー誘拐犯」との連絡に使われていたと見ています。

リバーデール警察のプレスリリースには、サイバー誘拐の傾向について詳細が補足されています。

サイバー誘拐犯は外国出身の交換留学生、特に中国人をターゲットにしている。

誘拐犯は若い交換留学生とその家族を脅し、身代金を要求する。彼らは被害者に対し1人になるよう指示し、FaceTimeまたはSkypeを使って被害者を監視する。

犯人は強迫下の被害者に監禁されているように見える写真を自撮りさせ、それを両親に送らせる。被害者は、犯人の言うことを聞かなければ家族に被害が及ぶという恐れから、指示に従ってしまう。

FBIはリバーデール警察に対し、この手の事案が米国でかなりの件数起きていると説明したそうです。

留学生がターゲットに

外国人留学生を狙っているということは、犯人は被害者とその家族が遠くにいる状況につけ込んでるんですね。日本でいまだに頻発してる振り込め詐欺とも少し似てますが、違うのは振り込む人の子どもも犯人に操られ、自ら監禁状態に入ってしまうことです。

数年前にも似たような事件がオーストラリアであり、やはり子ども側が自身の監禁風写真を撮って親に送り、親が身代金を取られていました。なぜそこまで操られてしまうのか不思議なんですが、犯人は多数のターゲットに自動電話をかけていたそうなので、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる方式みたいです。

こういう犯罪って、自分は引っかからない!と思っていても意外とだまされるんですよね…。でも、まずはその存在を知ることが自衛の第一歩になりますように。