BBCのドキュメンタリー『The Trap(罠)』、もう見ました?
昨今インドなどで大量の自殺者を出している悪質な高利なスパイローン系アプリの内幕を取材した映像なんですけど、あまりの恐ろしさに、公開から1か月で再生回数240万回を軽く超えています。
スパイローン系アプリの借金地獄の流れ
スパイローンアプリは手口が実に巧妙なんですね。だいたい次のパターンで「罠」は進みます。
1. 即金クイックキャッシュを餌にアプリをダウンロードさせる
2. アプリを入れた端末から勝手に連絡先や写真・動画・メール・文書・口座情報を盗む
3. ローン申請受理後に一方的に金利を上げる
4. 当然、期限通り支払えない
5. 滞納すると、あらかじめ盗み取ったデータを脅しの材料に使って取り立てる
6. ひどいときには勝手に銀行口座からお金を引き落とす
誰だって大切な家族や会社の人には迷惑かけたくないから、死に物狂いで金策に駆け回るし、だれだって人に見られたくない写真や動画のひとつぐらいは持ってるもの。
徐々に取り立て屋の言うなりになって精神的に追い詰められて最後には自らの命を絶ってしまう…という、まさに地獄絵が世界規模で展開中なのです。
こうした個人情報の抜き取りが裏で作動するスパイウェアが仕込まれているローンアプリのことを俗に「スパイローン(SpyLoan)」と総称します。
Androidでは120万回ダウンロードされた
どれだけの規模で広まってるかというと、ESETリサーチが火曜発表したレポートによると、Google Play Storeで2020年からのべ120万回もダウンロードされているのだといいます。
レポートでスパイローンアプリと特定されたのは18種で、この18のアプリについてはGoogle(グーグル)がESETリサーチからの通報を受けてストアから削除済み。
ただ、レポートでは今年下半期スパイローンアプリが90%増えていることもわかっています。日欧米は今のところ対象外だけど、なんか銀行のフリして電話かけたりもするらしい…。絶対きてほしくないアプリ群です。
米Gizmodoからの取材に対し、Googleはレポートの内容を認めたうえで、次のようにメールでコメントしています。
アプリのセキュリティに関する報告は真摯に受け止め、当社ポリシーの違反が認められた場合には、適切に対処しています(Google広報)。
借金しなくても「返せ」と脅される
スパイローンアプリが怖いのは、インストールしたらおしまいで、ローンを申請しなくても、申請が通らなくても返せ、返せと脅されてしまうこと。借りてもいないもの返せって、どういうことや!? となりますが、まあ、脅迫材料はいくらでもありますからね。
アプリのレビューを読むと、けっこういろいろ書かれています。
「大切な家族を犠牲にしてもいいのか」という脅迫のスクリーンショットを出している人もいて、読めば読むほど、BBCが紹介していたアプリ群はこれのことだったのか!スパイローンアプリって呼ぶんだ!と合点がいきました。
スパイローンアプリは、通常の金融機関でお金を借りられない層が主なターゲット。なんでこんなアプリがストアに出てるんだよ、と不思議ですが、まともな金融機関のアプリの紹介文をコピペするとスルッと公開要件クリアできちゃうみたいなのです。
ということは、この18個で終わることもないだろうし、審査のゆるい金融アプリ、キャッシングアプリ、ファイナンスアプリにはこういうのも混じってるかもしれない、ってことで。