2年ぶりのアップデートになったiMac。11.5ミリの激薄ディスプレイと、Apple(アップル)の最新チップM3の搭載によって向上したパフォーマンスが魅力です。
発売日当日に新型iMacを自分のデスクにセットアップした米Gizmodo編集部のJimenez記者による、しばらく使ってみたフルレビューをお届けします。
Apple自社チップのM2を飛ばして、2年ぶりのアプデとなった2023年ver.のiMac。7色展開のポップなボディにM3チップを搭載し、ゲーミング端末としてもアピールしています。
かつて大学の研究室や図書館に並んでいたカラフルなMac端末を思い出して、ちょっとノスタルジアを感じ、今回のカラバリにちょっとウキウキ。
一方で、発表イベントのメインはMacBook Proで、iMac発表に割かれた時間はたったの数分だったことがちょっと気になりました。あれ、所詮は脇役程度のアプデなのか?って。
Apple iMac(2023年版 M3チップ搭載)
これは何?:M3チップ搭載の24インチデスクトップ
価格:1,699ドル(国内価格:26万2800円 8コアCPU/10コアGPU/512GBストレージモデル)
いいところ:場所をとらないデザイン
残念なところ:M3 Max/ M3 Proのオプションがないこと。24インチモデルしかないこと
デザインと機能
レビューした端末は10コアGPU、ストレージ容量512GB、メモリ8GBのモデル。容量とメモリはそれぞれ最大2TB、24GBまでオプションで増加可能。
構成オプションでやはり残念に感じてしまうのは、チップの選択肢がないこと。搭載されているのはM3チップですが、M3シリーズには高位モデルのM3 MaxとM3 Proがあります。でも、iMacには載ってない。載せるオプションもない。
チップ同様に、画面サイズが24インチのみというのも残念。ゆえに、動画編集などガチハイパワータスクのデスクトップ欲しいと思っている人には、物足りなくなってしまいます。
正直、最新チップのM3以外は特筆するところはないのかも。前モデルの2021年ver.から、実際の見た目や使用感は大きな変化は感じませんでした。
ただ、勘違いしてほしくないのは、違いを感じないことに不満はないということ。このデザインは好きなんです。なので、M3で性能アップしつつ、基本キープなのはウェルカムです。
7色展開のうち、レビュー端末の色はパープル。めちゃかわいい。オフィスに差し色があるのいいですね。また、デスク上で大きく場所をとらないところも好き。
11.5ミリディスプレイは、24インチのRetinaディスプレイ。ディスプレイは回転・横方向傾き調整なしです(上下には少しディスプレイを傾けられる)。高さ調節もなし。人によっては困るかも。
本体ではないものの、一番納得いかないのがMagic MouseとMagic Keyboard、そしてMagic TrackpadがまだLightningだということ。iPhone 15のUSB-Cデビューを経て、こっちも一緒にリニューアルしてくれてよかったのにな…。
目玉であるM3チップは、M1チップやIntelチップ搭載iMacと比較すると、劇的にスピードアップしています。M2搭載iMacはリリースしないで1世代飛ばしただけに、性能アップをしっかりと実感できます。
ゲーミングユースもアピールしているけど…
発表イベントでもゲームがかなりアピールされていました。Macでゲームしている人はもちろんいますけど、高スペック端末としては、やはり今までゲーミングよりもクリエイティブ系のイメージが強かったMac端末。しかし、アピールしているとはいえ、M3搭載iMacがゲーミング端末かと言われると少々弱い。
『バルダーズ・ゲート3』や『Lies of P』なら、中設定で特に問題なくプレイできるものの、高グラフィックのゲームを高設定でプレイするのはキツい。
そもそも、『バルダーズ・ゲート3』も中設定=40fpsならいいのですが、高設定だとパフォーマンスは落ちます。ちなみに興味本位で最高設定でプレイしてみましたが、29から32fpsくらいからかなりカクカクしてきました。
一方、『Lies of P』は55fpsでも結構良かったです。ですが、垂直同期(Vsync)をオフると、とたんにティアリングが発生。それ以外は特に問題なしなので、ゲームタイトルにもよります。
新型MacBook Pro(M3 Max搭載)のレビューでも思ったのですが、やはりゲーム×Macで一番の問題は、MacOSでネイティブにプレイできるタイトルが少ないこと。みんながみんなSteamユーザーではないのでね。App Storeにあるメジャータイトルはまだまだ少ない。
ゲーム以外で端末性能という話になると、前モデルよりもかなりパワーアップしています。そこは間違いないです。IntelチップやM1チップ搭載のiMacユーザーなら、この性能アップは十分買い替え理由になります。
ほぼ同構成のM1チップiMacと比較すると、編集部のベンチマークでは30%から50%近く上回りました。
そこそこの編集作業はできるとして、重タスクの作業は難しい。写真・動画のガチ作業には、24インチのディスプレイは小さいと思います。そりゃ32インチにかなうはずもない。ただ、オールインワンのパソコンとしてみんなが使いやすいやつと考えると、学校や職場、家庭など重宝するシーンは多いかと。
買い?
大型アプデというよりは、半歩進んだという印象の2023年版iMac。ライトな編集・ゲーミングにはぴったりだけど、ヘビーな作業・ゲームには力及ばず。
より大きなディスプレイ、より強力なパワーを期待していただけに肩透かしをくらった気持ちもあります。
AppleがiMac Pro的立ち位置の端末を開発中かどうかはわからないものの、あったらいいと思いません? 例えば、M3 Pro搭載の27インチとかね。願わくば、高位チップ搭載の大きめディスプレイのiMacまで、あと2年も待たなくて済みますように!