約81万年から93万年前の更新世には、人類はわずか1,280人まで減少していた

よく80億人まで回復したもんですね…。

ボトルの首が細くなるように個体数が減少することを「ボトルネック現象」というのですが、これが更新世の約81万年前から93万年前にかけて発生し、人類が1,280人まで減少していたことがわかりました。

ボトルネック現象はなんと11万年も続いたそうです。その期間のアフリカとユーラシアの人類の化石の記録に大きな年代ギャップがあったことと一致しています。この研究はScience誌に発表されています。

ボトルネック現象で何が起こる?

ボトルネック現象では、ある種の総個体数が深刻に減少し、その種全体の遺伝的多様性も全体的に減少してしまいます。

遺伝的多様性がなくなると、個体群が健康でなくなってしまう可能性があります。現在は生物工学のクローン技術と遺伝子編集で、動物個体群内での遺伝的多様性を合成することができます。

しかし、ボトルネック現象がいつだって人口を脅かすというわけではありません。

例えばニュージーランドの繁殖率が低く、大きいのに飛べない鳥フクロウオウムなど個体数が激減している原因は、遺伝的多様性が減ることより、人間の狩猟や人類による生息地の現象の方が大きな脅威となっています。

研究チームは、アフリカ内の10の集団とアフリカ以外の40の集団から、3,154の現代のゲノムを分析するために、「Fast Infinitesimal Time Coalescent Process(FitCoal)」と呼ばれるツールを開発しました。

研究チームは、アフリカ人のゲノムに「祖先の人口を絶滅寸前まで減少させた深刻な個体群ボトルネック」の証拠を発見。チームは、このボトルネック現象は気候の変化に起因している可能性があると仮説を立てています。

ほぼ絶滅状態だったヒト族

新しい研究と同時に発表された研究記事では、大英博物館の考古学者Nick Ashton氏とロンドン自然史博物館の古人類学者Chris Stringer氏は「ボトルネックを引き起こした要因が、ホモサピエンス系統以外の人口への影響が制限されていた可能性、もしくはその影響が短いものだった可能性があります。これはボトルネックの原因が激しい地球寒冷化などの大きな環境の変化ではない可能性が高いことを示唆しています。もし地球規模なら、広範な影響を及ぼすはずだからです」とコメントしています。

「にもかかわらず、今回の研究は初期の人類集団の脆弱性に焦点を当てています。

ホモサピエンスが化石記録に初めて現れるのは約30万年前なので、モデル化された個体群ボトルネックは私たちの祖先に影響を与えていたはずです。

今回の研究チームは、個体群ボトルネックの期間である約95万年〜約65万年前にアフリカでのホモ・ハイデルベルゲンシスの化石がほんのわずかしかないことを指摘していて、チームはさらに、このボトルネック現象が、現代人とネアンデルタール人、デニソワ人が種分化された地点を示している可能性があるとまで述べています」

Ashton氏とStringer氏は、最後の共通の祖先がより早い時期に存在したと示唆する研究もあるけれど、いずれにせよ、今回の研究チームがモデル化したような重大なボトルネックが発生していた場合、それはヒト族の種分化に重要な影響を与えた可能性があると指摘しています。

遺伝子モデリングは、古代の人類がどのように世界中に広がって他の集団と混ざったかの過程を理解するために大変有用なツールとなりつつあります。

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