動機は?ジェミニ天文台、ハッキングされ活動停止中

犯人はいったい何のために⁉️

ハワイのマウナ・ケア山とチリのパチョン山にある、ジェミニ天文台。国際的な天文学研究で重要な役割を果たしていますが、現在サイバー攻撃を受けて天文観測活動を一時的に停止しています。犯人もその動機もいまだ不明のままです。

天文台のハッキングが増えつつある

ハッキング以降、ジェミニ北望遠鏡は安全な位置を向いた状態で設定されていて、セキュリティチームの迅速な対応により、観測所への損害を防ぐことができたそうです。

一方、ハッキングの犯人やその動機については、いまだに不明、もしくは非公開のまま。NSF国立光赤外線天文学研究所は詳細を明らかにしておらず、「サイバーセキュリティの制御と調査結果に関する情報については限定的」であるとしています。

ハッキングの目的はわかっていませんが、Space.comによると、米国家防諜安全保障センターは以前からこのような脅威や、宇宙部門での諜報活動の可能性について警告しており、宇宙資産が国家安全保障や経済にとって重要であること強調しています

Space.comでも指摘されているように、天文台は以前からサイバー攻撃問題に直面しています。昨年は、チリのアルマ望遠鏡(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)が標的となってしまっていますし、NASAも同様の攻撃を受けています。

天文台をハックする理由は明らかではないですが、サイバーセキュリティの緊急な強化が必要ですね。

ハッキングの詳細は?

NSF国立光赤外線天文学研究所の8月24日の声明によると、ジェミニ天文台へのハッキングが発生したのは2023年8月1日の朝。これによりジェミニ北望遠鏡と南望遠鏡の観測が一時停止されました。

北望遠鏡はハワイに、そして南望遠鏡はチリに位置しています。アリゾナ州のキットピークにある天文台は、ハッキングの影響を受けていないそうですが、ハッキングを防ぐために、Gemini.eduのウェブサイトは現在オフラインになっています。

NSF国立光赤外線天文学研究所は天文台の復帰に関しては前向きのようですが、セキュリティ上の懸念によりサイバー攻撃の具体的な詳細はまだ公表されていません

Gemini.eduのサイト停止は単なる予防措置ということで、主要なNSF国立光赤外線天文学研究所のウェブサイトは引き続き稼働中です。

NSF国立光赤外線天文学研究所は、

ジェミニ天文台が現在観測を行なえていないことは、大変残念なことです。幸いなことに、ハッキングされていない数台の望遠鏡をオンラインで稼働させ、対処策でデータを収集することができています。

この困難な状況下での天文学コミュニティの支援には感謝しており、正常な運用を回復するために取り組みつつ、お待ちいただいているみなさまに感謝しています。

と述べています。

Photo: NOIRLab

ジェミニ天文台の望遠鏡は、世界最大ではありませんが、その汎用性、革新的な機器、そして戦略的な地理配置によって大変重要な役割をしている望遠鏡です。天文学者が広範な天体や現象にアクセスするために日々役立っているんですね。