近年のトレンドと言える14型クラスのノートPC。 視認性の高いディスプレイとモビリティ性能のバランスの良さもあり、エントリーからハイエンドまでバリエーション豊かなモデルが多数リリースされ、ある意味激戦区となっているカテゴリだ。
そんな数ある14型ノートPCから自分にちょうどいいモデルを見つけるのは簡単ではない。でも、一般的なビジネスユースを想定するのであれば、やはりポイントはコストパフォーマンスの高さということになるだろう。
そこでおすすめしたいのが、レノボの「IdeaPad Slim 5 Light Gen 8 (AMD)」(以降、IdeaPad Slim 5)。 最新世代の AMD Ryzen™ 7000 シリーズ・プロセッサー と16GBメモリを搭載し、Microsoft Office付き。それでいてヨドバシカメラなどの量販店で売られているモデル(型番: 82XS000EJP)なら、ポイント還元分を含めて、 実質12万円台というリーズナブルな価格で買えるのが特徴だ。
※価格は掲載時のものです
スペックシートから見えない使い勝手は?
ディスプレイの視認性と持ち運び性能の両方が重要な14型クラスのノートPCということで、気になるのはモバイル端末としてのポテンシャルだ。単に持ち運びやすいかどうかだけでなく、そのうえでノートPCとしての使い勝手はどうなのか、といったスペックシートからは見えないところもチェックしていきたい。
約1.17kgの重量は、14型クラスとしては比較的軽量な部類に入るだろう。 これならどこにでも持ち運べそうだ。手持ちするとき、底面の脚がちょうど指先のかかる位置にあってグリップ感が得られ、安心感があるのもいい。
天板には端にレノボのロゴのみ、ディスプレイ面には右下にうっすら刻印があるだけで目立たない。ほとんど全体がマットなシルバー塗装(クラウドグレー)というごくごくシンプルなデザインは、確かにビジネス向きだ。
外出先のカフェやコワーキングスペースなどで取り出したときにも人目を気にせずに使えるし、それと同時にマグネシウム合金をイメージさせるカラーリングは所有感を高めてくれる。
キーボードのストロークは浅いものの、かっちりした押し心地で静音性も高い。タッチタイピングのしやすさは、レノボ独自の下側にわずかに広がったキートップ形状のおかげだろうか。
一方、タッチパッドの感度は標準設定でも高く、軽いタップで左右クリックやダブルクリック、ジェスチャー操作に追従してくれる。タッチパッドのエリア自体は小さめだが、外部マウスに頼らずとも生産性はキープできそうだ。外出時に外付けマウスなど余計な荷物を増やさなくてもいい。
バッテリ持ちも確認してみた。充電しないまま、原稿の執筆やOfficeドキュメントの編集、画像加工などに使ってみたところでは、 標準的な「インテリジェント・クーリング」のモード設定で2日間、トータル約8時間30分稼働させたところで、バッテリ残量は6%、電源オフまで残り約30分だった。
明るい室内でも視認性を上げるため、ディスプレイ輝度を70%にしていたこと、USBデバイスをいくつか使っていたことなどが仕様にある時間より短くなった原因と思われるが、 ヘビーな処理をさせなければ1日のビジネスアワーは無給電で乗り切れることは間違いない。 消費電力を下げられる「バッテリー省電力」モードを選べばさらに長持ちするはずだ。
14型のディスプレイは、原稿執筆やWeb閲覧、ちょっとした画像編集には十分な広さで、解像度にも不満は感じない。
もし、スプレッドシート上の細かいデータを快適に編集したいときや、複数のアプリケーションを同時に使おうとして本体のディスプレイだけで足りないなどは、HDMIやUSB Type-Cポートを使ってマルチディスプレイ環境を構築したい。Type-C接続の外部モニターであれば、映像出力とノートPCへの給電をケーブル1本で同時にまかなえる。配線の手間が少なく、デスク上もすっきり広々と使えるのでおすすめだ。
ビジネスアプリはもとより、マルチメディア処理も高速
続いてIdeaPad Slim 5の性能をベンチマークテストで測ってみる。ここでは2018年頃に発売された旧世代の AMD Ryzen™を搭載するノートPCと比較して、最新のIdeaPad Slim 5がどれほどパワーアップしているのかも確認しておきたい。
この比較用ノートPCは、CPUが AMD Ryzen™ 7 2700U プロセッサー なので当時としては上位の性能を持つWindows 10プリインストールモデルだった。ただし、Windows 11へのアップグレード要件は公式には満たしていないため、新PCへの乗り換えが必須になるというもの。ちなみにメモリは8GB、ストレージは512GBだ。
今みなさんが使っている仕事用PCが同じように4~5年前のモデルであれば、そろそろ買い替え時期なのかも……といった点も頭の片隅に置きつつご覧いただきたい。
なお、IdeaPad Slim 5はビジネスノートPCのため、ベンチマークテストも実務系のものを中心にチョイスし、そのうえで比較的ライトなゲームのベンチマークも実行してみることにした。
「PCMark 10」のような 実務アプリケーションメインのベンチマークでは、軒並み2倍前後のスコア を叩き出していることが分かる。
画像、動画を扱うDigital Content Creationのテストについてはさらに伸びが大きく、 CPUのみならずGPU性能も段違いに向上していることがうかがい知れる。
動画エンコードソフトの「HandBrake」の処理時間も半分に短縮しており、マルチメディア処理の高速さは明らかだ。
ここまで差があると、実使用時においてもIdeaPad Slim 5の高速さ、操作の快適さを実感できる。CPU/GPUだけでなくメモリ容量の違いも少なからずあるものと思われるが、 ジャンルを問わずあらゆるアプリケーションで高いパフォーマンスを発揮してくれることは間違いないだろう。
では、ゲーム性能はどうか。
「3DMark」などから推し量れる3Dグラフィックス性能も、高速なCPU/GPUのおかげで大幅な進化が見られる。さすがに最高画質設定で、というわけにはいかないものの、 「ファイナルファンタジーXIV」は「普通」に遊べるレベル。 「F1 22」は画質設定さえ抑え気味にすれば60fps超も狙えるため、息抜きのゲームもバッチリ楽しめそうだ。
参考にAMDからもらった資料も載せておこう。
最新CPUに16GBメモリ搭載、MILスペックにも準拠
Lenovo IdeaPad Slim 5 Light Gen 8 (AMD)のスペック | |
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OS | Windows 11 Home |
CPU | AMD Ryzen™ 5 7530U プロセッサー (6コア12スレッド、最大4.5GHz、TDP 15W) |
GPU | AMD Radeon™ グラフィックス |
メモリ | 16GB(DDR4-3200) |
ストレージ | 512GB(NVMe/M.2、PCIe 4.0 x4) |
ディスプレイ | 14型IPS液晶(1,920×1,080ドット、60Hz) |
インターフェース | USB 3.2 Gen 1 Type-C×1、USB 3.2 Gen 1×2、HDMI出力、SDXCカードリーダー、ヘッドセット端子 |
通信機能 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1 |
カメラ | 1080p、指紋センサー(Windows Hello対応) |
サウンド | ステレオスピーカー(1.5W×2) |
キーボード | 84キー日本語キーボード |
バッテリ容量 | 47Wh |
バッテリ駆動時間 | 約17時間 |
ソフトウェア | Microsoft Office Home & Business 2021 |
サイズ | 約324.1×215.7×17.1mm |
重量 | 約1.17kg |
カラー | クラウドグレー |
価格 | 約13万5千円(量販店モデル) ※価格は掲載時のものです |
まずはIdeaPad Slim 5のスペックを見ていこう。今回の試用機は、 CPUが最新世代の AMD Ryzen™ 5 7530U プロセッサー (6コア12スレッド、最大4.5GHz、TDP 15W)、GPUがCPU内蔵の AMD Radeon™ グラフィックスのモデルとなる。
バリエーションモデルでは上位の AMD Ryzen™ 7 7730U プロセッサー 搭載機種もあるので、本機はミドルグレードと言えるが、 メモリは最大容量となる16GB(DDR4-3200)を搭載 しており、CPUの高いマルチスレッド性能を十二分に引き出してくれそうな構成だ。
ストレージは512GB(NVMe/M.2 SSD、PCIe 4.0 x4接続)。ここにWindows 11 Homeと、 Microsoft Office Home & Business 2021がプリインストール される。ディスプレイは14型、フルHD解像度(1,920×1,080ドット、60Hz)の非光沢IPS液晶。sRGBの色空間を100%カバーするという、わりとハイスペックな液晶パネルとなっているのも特徴だ。
インターフェイスはUSB 3.0 Type-C×1に、USB 3.0×2、HDMI出力、ヘッドセット端子を備える。加えてSDXCメモリーカードスロットも内蔵するという、コンパクトな14型にしては充実した装備だ。
Type-CポートはUSB PDによる急速充電とDisplayPort Alternate Modeにも対応 しているため、急速充電やケーブル1本でのモニター出力など、効率の良い使い勝手を実現する。
ネットワーク機能はWi-Fi 6とBluetooth 5.1、WebカメラはフルHD解像度と、昨今のノートPCにおける標準的なスペックをしっかりカバー。下記スクリーンショットにあるように、 カメラ画像の画質や明るさについても申し分ない。
電源ボタンは指紋センサーとの一体型となっていて、Windows Helloの指紋認証に対応しているからセキュリティも万全だ。 バッテリ容量は47Whで、スペックシート上のバッテリ稼働時間は約17時間におよぶ。 丸1日働きづめでも無給電で過ごせるスタミナを持っているようだ。
ところで、安価なモデルだとそのコストダウンの影響がボディの作りに見え隠れしたりするものだが、本機はその点でも妥協はなさそうだ。
筐体サイズは縦横約324.1×215.7mmとなっていて、奥行きはA4サイズジャスト、幅はA4プラスαという感じ。
最薄部は約17.1mmと薄型ながらも、手に持ったときの剛性感は高い。これは米国防総省の物資調達基準である「MIL-STD 810H」、いわゆるMILスペックに準拠した耐衝撃性能などを備えているからだろう。
それなのに重量は約1.17kg(実測1,175g)と持ち運びが苦にならないレベルだ。 MILスペック対応の高耐久と軽さを両立しているのは、軽量・高剛性なマグネシウム合金がボディに採用されていることも理由の1つと考えられる。
以上、ざっと主要なスペックを並べてみたところでも、これが通常価格13万円台、量販店モデルなので10%のポイント還元が受けられるとしたときには実質12万円台で手に入る、というのはなかなかに魅力的ではないだろうか。
低価格ながらリッチなスペックの14型、メインにもサブにも
少しでも大きな画面で作業したいというニーズから、ビジネスノートPCの主流が13型以下から14型へと移り変わっている昨今。サイズが大きくなってもいかに持ち運びのしやすさを維持できるか、というのはビジネスパーソンにとって気になる部分かもしれない。
そこに対してIdeaPad Slim 5は、16:9の液晶ディスプレイで奥行きをコンパクトにし、高強度のマグネシウム合金をボディに採用することで薄型/軽量も実現した。 従来の13型クラスと大差ないサイズ・重量感を達成しており、オフィスワークとテレワークのハイブリッドで持ち運びが頻繁な人にもおすすめできるモデルだ。
そして何と言っても、 AMD Ryzen™ 7000 シリーズ・プロセッサー に16GBメモリというスペックでありながら実質12万円台に価格が抑えられているのが一番のポイント。
この価格帯で最新世代、かつ作業性の高い大きな画面の14型ノートPCが手に入るのはありがたい限り。メインの仕事用PCとしてはもちろん、外出時用にサブマシンを1台欲しい、なんて考えているところにもぴったりハマりそうだ。
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