知っておきたいWi-Fi 7とWi-Fi 6の違い。日本ではいつから使える?

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 では、2023年夏に「Wi-Fi 7」を謳う製品が登場することはないのかというと、そういうわけでもない。

 Wi-Fi 7には、いくつかの技術的な特徴があるため、その一部、つまり法令に抵触しない機能のみを実装した「セミ ドラフトWi-Fi 7」のような製品であれば日本での発売の可能性もゼロではない。

 ここで、Wi-Fi 7の特徴となる3つの大きな機能を説明しておこう。Wi-Fi 7では、従来のWi-Fi 6/6Eに対して、以下のような機能が追加されることで、最大速度の向上、および遅延の低減が図られている。

①160MHz→320MHzへのチャネル幅拡大

 アクセスポイントと端末が6GHz帯で通信する際に利用する周波数の帯域幅を従来の160MHz幅(8チャネル分)から、倍の320MHz幅(16チャネル分)へと拡大する。帯域が倍になるので、単純に速度も従来の2倍にできる。

②4096QAMによる変調方式の多値化

 データを電波で搬送する際の変調方式を従来の1024QAMから4096QAMへと変更する。

 Wi-Fiでは電波を細かい搬送波に分けて、そのひとつひとつでそれぞれデータを送信するが、1024QAMでは1つの搬送波あたり10bitのデータを送れるところ、4096QAMでは12bitのデータを送れるようになる。これにより、単純に従来の1.2倍の速度を実現できる

③5GHzと6GHzを組み合わせたマルチリンクオペレーション(MLO)

 従来のWi-Fi 6/6Eでは、2.4/5/6GHzの帯域のうち、いずれか1つを選んで接続する方式だったが、Wi-Fi 7では、これら異なる帯域を組み合わせて利用可能になる。

 たとえば、6GHzで320MHz幅、5GHz帯で160MHz幅×2系統を利用すれば(クアッドバンドが必要)、実質的に2倍の速度を実現できる。

 これは最大速度の向上だけでなく、遅延低減にも効果がある。たとえば、5GHz帯が混雑している場合でも6GHzを使ってデータを通信することで、データを遅延なく届けられる。

 このほか、前述した表のようにストリーム数が16サポートされていたり、MRUというOFDMAで複数端末接続時の通信効率を向上させる技術も採用されていたりする。

 これらの技術は、IEEE 802.11beとして規格化が進められており、2023年7月にドラフト4.0が策定予定となっており、正式な策定は2024年12月が予定されている。

 海外では、技術的な仕様がほぼ固まった段階のドラフト規格で製品が発売されるのが、これまでの通例となっており、2023年夏という発売の目標はこうした通例に従ったものとなる。

 おそらく、海外では今年の夏にドラフト4.0準拠の「Draft Wi-Fi 7」として、ほぼ最終規格と変わらない機能と性能を備えた製品が発売されると予想される。

 一方、日本に関しては冒頭で触れたように、①の320MHz幅の壁がある。2023年夏の段階で、320MHz化は不可能と言えるため、これを無効化した「セミ ドラフトWi-Fi 7」対応機であれば、発売は不可能ではない。

 実際にメーカーが、今年の夏の段階でセミ ドラフトWi-Fi 7製品を国内発売するかどうかは、どちらかというとブランディングやマーケティング的な判断に依るところが大きい。

 たとえば4096QAMによる速度の1.2倍高速化(4ストリームで5,760Mbps対応)などを実装して製品を発売することは不可能ではなさそうだ。

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