こんにちは、編集部 石川です。
毎月1回、当サイトのライターに専門分野や得意分野の話を聞いています。今回は、ライフサイエンス系企業で研究職をしている、ありくいさん。会社や学生時代の研究の話を聞きました。聞き手は石川です。
新潟生まれ千葉育ちの理系会社員。好きなものはダジャレ、甘いもの、動物園。苦手なものは部屋の片づけ。
予定表に「絶対に実験」って入れる
石川:研究職ってどういう生活をしてるんですか?会社でずっと実験してる?
ありくい:実験することもありますし、調査をすることもありますし、普通に企業なのでいわゆる会社員的な仕事もたくさんあります。ほうぼうとの調整とか。
石川:例えば実験の途中に電話がかかってきて、別の部の人に呼ばれて行って、また戻ってきて実験やってみたいな?
ありくい:ありますあります。
石川:僕が記事書いてるのと一緒か。実験って細切れでもできるんですか?
ありくい:ものによりますね。この実験は時間をシビアに守らないとうまくいかない!っていう場合は予定表に「絶対に実験」って書いて。
石川:僕でいうと締切前に「原稿執筆」って書くやつだ。そんなに変わらないですね。
ウーパールーパーは腕が切れてもまた生えてくる
(会社の研究の話はあまり言えないので学生時代の研究の話に…)
石川:学生時代の実験と、企業に入ってからの実験って違います?
ありくい:違いますね。学生時代って締切が、卒業論文とか長いスパンのものだけですけど、企業はもっと細かく締切があるので。身の引き締まり方が違います。あと学生は労働基準法関係ないので、時間にルーズにというか、好きに研究できる。
石川:寝泊まりして無限に……。
ありくい:そういう人もいますね。
石川:専門は何だったんですか?
ありくい:発生生物学とか、再生生物学とか。生き物の形ができるところの研究です。
石川:おー。よく聞くのは、生物って生まれるときに進化の過程をたどって……例えば人間も最初は魚類っぽい形から両生類っぽくなって爬虫類っぽくなって、最終的に哺乳類になるみたいな。あれは本当なんですか?
ありくい:そうですね、よく言われてると思います。
石川:人間も最初は魚。
ありくい:私が研究してたのがまさに魚だったんですよ。魚の再生と発生。
石川:発生はわかるけど、再生ってなんですか?
ありくい:人間って腕を切っちゃうと生えてこないじゃないですか。でもウーパールーパーとかって腕がちょん切られてしまっても新しい腕がニョキと生えてきたりするんですね。
石川:ウーパールーパーもそうなんだ!プラナリアとかが有名ですよね。
ありくい:それが人間でできたらすごいじゃないですか。まずはその仕組をちょっと解き明かしてみよう、って研究です。魚を使って。
石川:魚も再生するんですか?
ありくい:しますします。魚全般はヒレが再生するんです。
石川:ヒレか。ヒレって人間でいう手なんですか?
ありくい:一応手なんですよ。でも、はっきりとわかってはいないですけど……先っちょの方かもしれません。手の骨があるところではなくて、指先。
石川:へー!指のほんとの先っちょ?
ありくい:かもしれないと言われてました。今はもっと研究が進んでるかもしれないけど。
石川:人間が指まるごと切断しちゃったらもう生えてこないけど、指先ちょっと切っちゃっただけなら治る、っていうのがヒレの再生ですかね。
ありくい:なのかもしれない。でもウーパールーパーは腕を切っても再生しますよ。そういう生き物ももちろんいます。
石川:へー!コメント(※)で、フカヒレは再生するんですか?って。
※この対談はYoutube Liveの文字起こしです。
ありくい:どうなんでしょうね。魚の中で、再生するっていわれてるのが硬骨魚類っていうタイプなんですけど、フカヒレってサメだから軟骨魚類なんです。体が軟骨なので、あまりわかってない。再生したらいいですよね。
石川:そうですね。収穫できますもんね。
ありくい:サメはかわいそうだけど。
石川:価格暴落ですよ、フカヒレ。
再生するのはヌメヌメの生き物ばっかり
石川:昔から理科好きでした?
ありくい:好きでした。生物は特に。家族が喘息なので猫とかは飼えなくて、カタツムリとかザリガニとかそういう生き物ばっかり飼ってました。
石川:なんとなく実験ぽい生き物。
ありくい:でも物理はあんまり好きじゃないです。フレミングの左手の法則を右手で覚えていて全部逆に書いちゃったのがトラウマで、電磁気系は特に…。
石川:あはは。右ねじの法則と間違えますよね。ありくいっていうペンネームですけど、アリクイは好きなんですか?
ありくい:アリクイは、感情としてはノーマルで…。
石川:そうなんだ!
ありくい:本名のもじりもあって。
石川:この生き物に対してはなんの感情もない?
ありくい:フラットな気持ちで。不思議な生き物だなとは思っています。それよりモフモフの生き物に憧れがずっとありますね。ちっちゃい頃から飼えなかったので。
石川:研究でも毛のある生き物を扱う分野があるじゃないですか。ラットとか。
ありくい:ラットとかマウスとかは私たち人間に近くてあまり再生しないんです。再生するのはヌメヌメの生き物ばっかり。
石川:モフモフの生き物へのあこがれに、再生させたいという気持ちが勝ったんですね。
ありくい:そうです。