米AMDは、セキュリティ性や管理性を高めたエンタープライズPC向けのCPU「Ryzen PRO 7000」シリーズを発表した。ノートPC向けとデスクトップPC向けの両方で提供される。
ノートPC向けは「Ryzen PRO 7000」シリーズで、4nmプロセスで製造され、Zen 4コアのCPU、RDNA 3ベースのGPU、およびx86プロセッサとしては世界初となるAIエンジン「Ryzen AI」の内蔵(一部モデルのみ)が謳われている。
SKUは、薄型軽量ノート向けの「Ryzen 7 PRO 7840U」、「Ryzen 5 PRO 7640U」、「Ryzen 5 PRO 7540U」、高性能ノート向けの「Ryzen 9 PRO 7940HS」、「Ryzen 7 PRO 7840HS」、「Ryzen 5 PRO 7640HS」が用意される。
モデル | 7840U | 7640U | 7540U | 7940HS | 7840HS | 7640HS |
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コア/スレッド数 | 8/16 | 6/12 | 8/16 | 6/12 | ||
動作クロック | 3.3~5.1GHz | 3.5~4.9GHz | 3.2~4.9GHz | 4~5.2GHz | 3.8~5.1GHz | 4.3~5.0GHz |
キャッシュ容量 | 24MB | 22MB | 24MB | 22MB |
いずれもRyzen PROシリーズの特徴を受け継ぎ、Microsoftと共同で開発したFIPS 140-3 Level 1/2認証取得のセキュリティプロセッサ「Pluton」や、メモリ上のデータを保護するAMD Memory Guardを搭載。これに加えてクラウドベースのリモート管理機能を備えた。
一方、一部モデルではRyzen AIの搭載により、Windows Studioによるさまざまなカメラエフェクトが可能。たとえば背景ぼかし機能、自動フレーミング機能、カメラ目線補正などが利用可能になるとしている。
性能面では、8つの“Pコア”でありながらも、競合より高い電力効率、低バッテリ消費などが謳われており、一例としてRyzen 7 PRO 7840Uは、Teamsでビデオ会議をしながらWord/Excel/PowerPoint/Outlookといった生産性アプリを併用する場合、Core i7-1370Pと比較して12%高速で15%低電力で、電力効率は29%高いとしている。
Core i7-1370Pと比較してだけでなく、Apple M2 Proを搭載したMacと比較しても、より高性能で長時間駆動を実現できるという。加えて、一部クリエイティブ処理において、Core i7-1370PとNVIDIA RTX A500を搭載したシステムよりも、Ryzen 7 PRO 7840Uのほうが高速。さらに高性能版となるRyzen 7 PRO 7840HSでも、競合のCore i9-13900Hに対し、7%~33%高速だとしている。
搭載製品はLenovoやHPが発表予定としており、「HP EliteBook 865/845/835 G10」シリーズ、「ThinkPad Z13/Z16/T14/T14s/T16/X13」シリーズなど。
一方デスクトップPCは既存のRyzen 7000をベースとしており、最大12コアのZen 4 CPUコアを搭載。消費電力は65W。マルチレイヤーのセキュリティ機能で、Microsoft Secured-core PCに完全準拠する。
モデル | Ryzen 9 PRO 7945 | Ryzen 7 PRO 7745 | Ryzen 5 PRO 7645 |
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コア/スレッド数 | 12/24 | 8/16 | 6/12 |
動作クロック | 3.7~5.4GHz | 3.8~5.3GHz | 3.8~5.1GHz |
キャッシュ容量 | 76MB | 40MB | 38MB |
いずれもSocket AM5プラットフォームとなっている。プロセスルールは5nm、対応メモリはDDR5、PCI Expressは5.0をサポート。従来製品と比較して3割程度の性能向上が謳われているほか、マザーボードは85ドルスタートと安価、Socket AM4互換のCPUクーラー、2025年以降までのソケットサポートなどの特徴を挙げている。
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