修学旅行、教員が8万円を徴収される、自腹分の経費も…旅行中は実質24時間勤務


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「gettyimages」より

 中学校の修学旅行に随行する教員が個人で一人当たり8万円もの支払いを余儀なくされる――。そんなTwitter投稿が議論を呼んでいる。業務としての出張、しかも修学旅行の随行ともなれば早朝から深夜の対応に至るまで、教員は連日にわたり事実上24時間勤務が強いられるといっても過言ではないが、果たして個人の費用負担となっているというのは事実なのか――。関係者に取材した。

 一般的には小学校では6年生時、中学校では3年生時に行われる修学旅行。生徒にとっては学校生活の思い出の1ページに残る一大行事だが、教員にとっては大変な労力を強いられる「過酷な業務」でもある。

「数十人から100人規模の子どもの集団を一切のトラブルなく遠方へ旅行させなければならないというのが、どれだけ大変なことか、想像を超えるものがある。修学旅行中は普段温和な先生でも険悪になるなんてことも珍しくないが、基本的には連日睡眠がとれない状況が続き、少しでもトラブルが起きれば全体のスケジュールに支障が生じかねないので、そのピリつきぶりは半端ではない。加えて、旅行中に限らず、事前の準備や事後の処理など、やらなければならない業務が膨大で、それを日々の授業の準備や部活動指導の合間にこなさなければならず、そうしたことが重なった結果、旅行中に何気ない行動をした生徒にブチぎれしてしまう羽目になる。

 今の時代、国内に限らず海外への旅行経験が豊富な子も珍しくなく、また家庭にのしかかる出費もバカにならないので、はっきりいって、もう修学旅行はなくしてもよいと思う。

 ちなみに土日に部活の試合や大会などで遠征する場合、さすがに交通費は支給されるが、食事代は自腹どころか、わずかながらの日当は出るものの休日出勤分の残業代はしっかりとは出ず、タダ働きとなる」(中学校教員)

<教員の立て替えで、「来週7万円徴収」といわれ、驚いた>

 そんな修学旅行だが、教員はあくまで業務として随行するため、交通費や食費、宿泊費などの旅費は経費として公立校であれば自治体などから支出されるのが当然と思われるが、前述のとおり教員個人が負担を強いられるという情報が投稿され、注目されているのだ。中学校教員であるこの投稿者の話によれば、いったん学校側から8万円を徴収され、後日、全額ではないものの払い戻しがなされるというが、このツイートを受けてSNS上では以下のような声が寄せられている。

<小学校教諭ですが、全額は返ってきません ホテル代や交通費はでますが、食事代(決められた店の決められたメニューでも)などは実費なので修学旅行は行くとマイナスです ほんとありえないですよね…朝早くから夜遅くまで時間外してるのに なんなら深夜でも何かあったら対応するのにマイナスなんて>

<教員1年目で、修学旅行が5月にあり、いきなり8万持ってきてと言われ、かなりキツくて親に借りた>

<私も今度ありますが、約3万>

<以前勤務した自治体は、事務(教委?)が教員分を支払い、あとから過不足の精算がありました。現在勤務する自治体は、教員の立て替えで、「来週7万円徴収」といわれ、驚いたことがあります>

<ウチの県は食費は戻ってきません。夜はほとんど寝れなくて実質24時間勤務だけど、時間外勤務は、確か一泊で4時間で、別日に休んでいいよ~で終わりです>

「今の時代に修学旅行が必要かどうかは疑問を感じています」

 実態はどうなっているのか。ある県の中学校教員に話を聞いた。

「自治体によって異なりますが、私の県では、事前に教員がお金を徴収されるということはなく、後日、実質上、食費代のみを請求されるというかたちです。ホテルなどの食事なので2泊・6食分で計1万円以上になり、『自分で食べたのだから仕方ない』と思う一方、ちょっと高いなとは感じます。生徒たちがおとなしい学校であれば夜10時くらいには自分の部屋に戻れますが、何かあればすぐに対応しなければならず、当然ながら飲酒などは厳禁ですし、休息というか待機という感じです。修学旅行にトラブルはつきもので、以前勤めていた学校では見学先で生徒が別の学校の生徒とケンカになり、夜に先方の学校に謝罪行ったこともありました。子どもたちも多様化しており、生徒のなかには過去に行ったことがある観光地を再び訪問するかたちになる子もおり、はたして今の時代に修学旅行が必要かどうかは疑問を感じています」

 別の県の公立校教員はいう。

「以前勤めていた県では事前徴収はなかったのですが、今の県の学校に赴任して初めての修学旅行の前に、学校側から『来週7万●千円を徴収するので持ってきてください』と言われ、慌てて定期預金口座を解約したことがあります。もちろん後日、各教員の口座にお金が戻ってくるのですが、2~3カ月ほどタイムラグあるので、1年目などの若い先生は大変みたいです。交通費や宿泊代、施設の入場料などベースとなる部分は教員負担は発生しませんが、食費は一日当たりの支給額に上限があるので、超過分は教員の自腹となります。一方、日当が支給されるのでトータルで見ると大きな損はないですが、多少の過不足は発生しているように思います。教員は業務で行くにもかかわらず、事前に数万円単位のお金を徴収されるという仕組みには、やはり疑問を感じざるを得ません」

 また、別の公立校教員はいう。

「生徒によっては、夜中に外に出てしまわないように見守ったり、寝返りのサポートが必要であったり、寝るまで付き添いが必要なケースがあります。そうした夜間対応に費やした時間は、たとえば別の日に『その分1時間休める』というかたちで調整できる自治体もありますが、自治体によってまちまち。また、夜に自室に戻っても休息というよりも待機というのが実情で、日当は出るものの事実上24時間勤務を強いられます」

 事実上残業代なしでの長時間労働など、教員の労働環境の悪さによる離職率の高さや休職者の増加が社会問題化するなか、修学旅行をめぐる現状にも問題が顕在化しているといえよう。

(文=Business Journal編集部)

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