マーベル作品よりもDC作品の方が好きな佐藤です。私は待っていた! 映画『THE FLASH(ザ・フラッシュ)』が公開される日をよう!! DCヒーローの中でもぶっちぎりでフラッシュ好きな私は、この日を待ってたんだよ~!
劇場公開に先駆けて、メディア向けの先行試写会に参加させて頂いたのだが、感想は一言だ。「最高」しかない。ドラマシリーズのフラッシュ好きな人も、きっと納得する内容になっている。私が保証しよう! 基礎知識がなくても十分に楽しめる名作と言わせて頂きたい。フラッシュ、大好き~!
・フラッシュとは?
フラッシュを知らない人のために、まずはカンタンに説明しよう。「フラッシュ」はDCコミックスのヒーローの1人、スーパーマンやバッドマンなどと共に結成しているヒーローチーム「ジャスティス・リーグ」の一員である。
チームでもっとも若いメンバーではあるが、超高速移動できる能力を持ち、そのスピードで時空を超えて時間移動することも可能な、いわゆる「スピードスター」だ。
『バットマン VS スーパーマン ジャスティスの誕生』、『スーサイド・スクワッド』、『ジャスティス・リーグ』、『ジャスティス・リーグ:スナイダーカット』ですでに映画登場している。現在のDC映画シリーズ(DCエクステンデッド・ユニバース)において単独作は本作が初である。
・グラントじゃねえのかよ!
フラッシュの実写化作品はドラマシリーズの方が先行している。アメリカのテレビネットワーク「The CW」で2014年よりシーズン1が放送開始され、2023年にシリーズ完結のファイナルシーズンが公開されている。通算9シーズン続いた人気作品である。
私もドラマからフラッシュに入った。ドラマ版フラッシュ(バリー・アレン)はグラント・ガスティンが演じており、正直な気持ちとして「フラッシュ = グラント」としか認識していない。
したがって映画版の公開が発表され、フラッシュをエズラ・ミラーが演じると知った時に「なんでやねん! グラントだろ!!」と頭に来た覚えがある。それくらい、ドラマ版に馴染みが深い。
フラッシュが単独映画に至った要因は、ドラマで人気が高まったことにほかならない。ドラマなくして映画なし、私はそう考えていた。
・ドラマとの違い
補足として付け加えておくと、ドラマと映画では設定が多少異なっている。例えば、バリーの友人女性、アイリス・ウェストはドラマでは一緒に育った幼馴染だが、映画では大学時代の友人という扱いにとどまっている。
またドラマでは、「S.T.A.R.ラボ(最先端科学研究施設)」の粒子加速器が事故を起こした影響で、バリーが高速移動能力を身に着けることになるのだが、映画で「S.T.A.R.ラボ」への言及はない。したがって、チームフラッシュのメンバー(ハリソン・ウェルズ、シスコ・ラモン、ケイトリン・スノー)は映画に登場しない。
ドラマ派にしてみれば、仲間のいないフラッシュは少し物足りない気もするのだが……。
余談をもうひとつ。The CWのヒーロードラマのクロスオーバー作品『クライシス・オン・インフィニット・アース』で、グラントとエズラは共演を果たしている。異なる世界のフラッシュ同士として2人が対面するのである。
その当時(2020年)「グラントも映画に出るのでは?」という噂がまことしやかにささやかれたのだが、海外メディアの取材でグラント自身がその可能性を否定したそうだ。
・実際に観た感想は……
そんな訳で本作は、ドラマの印象を拭いきれるかどうかが、ドラマファンの心をつかむ最大のカギだったのだが……。実際に作品を観たドラマ派の私の感想は……。
「最高」しかない
詳しくそのポイントを挙げて説明したいところではあるが、本編を観て頂きたいので、詳細は伏せさせて頂く。
・フラッシュ愛
ぼんやりとした表現になってしまうが、いくつか最高と感じる理由を挙げておくと、まず全体的な印象として伝わってきたのは、「作品に対する愛情」だ。
先にも挙げたように、ドラマでヒットした作品である以上「フラッシュ = グラント」は否定できない。もちろん、グラントとエズラは別人であり設定も異なっている。けど、ドラマの流れをしっかりと汲んだ上で、映画作りが行われたことがよくわかった。
「ここはあのシーンのオマージュかな?」「こっちはアレをアレンジしているな」。そう思う場面がいくつもあり、物語が進行するにつれてその度合が濃くなった。間違いなくフラッシュ愛はあるぞ!
・エズラもいいね!
それから作品を観終えた段階で、エズラ版のバリー・アレンを好きになっていた。グラントじゃなきゃイヤだ! そう思いながら見始めたのだが、終わる頃には「エズラって、すごい……」になっていたのである。
すでにティーザー動画にも出ているのだが、エズラは現在と過去、2人のバリー・アレンを演じている。その演じ分けは見事としか言いようがない。とくに終盤は思わず目頭がアツくなる場面も……。新たなフラッシュ、エズラのこれからの活躍に十分に期待できる。しかし、プライベートでいろいろ問題を起こしているので、今後も起用されるか気になるところではあるのだが……。続投を願っている。
・秀逸な映像表現
そして、私がもっとも感心したのは映像表現だ。本作でフラッシュは時空の壁を超えて過去に移動する。この手のタイムパラドックスを扱った作品は、どうしてもわかりにくくなる宿命を背負っている。
過去・現在・未来を行き来するような物語は、展開が複雑で観ていて混乱することも珍しくない。中には、めちゃくちゃな矛盾を引き起こしてしまう作品もザラだ。実際、ドラマ版フラッシュはめちゃくちゃだった……。何しろ、バリーがシーズンごとに過去をいじくり倒してしまうので、整合性取れてないのよねえ~、実は……。
その上で、本作は「DCユニバースを一環した世界観で再構築する」序章的な位置づけになっている。これでDCの世界観をひとつにまとめ上げる土台を作ることになっている。
とても重い課題を与えられていたわけだけど、本作はその役割を見事にこなしている。複雑な時間軸の扱いを丁寧にわかり易く表現できていて、それにも私は痛く感動した。
「これなら期待できる!」とさえ思ったくらいだ。これからのDCは上手くいくかも!
また余談だけど、マーベルは「ドクターストレンジ2」でマルチバースの扱いがちょっとアレだったので、同じようにならずにかなりホッとしている。よく考えた! いいぞ、DC!!
・オマケ:フラッシュ豆知識
誰にでもオススメしたい優れた作品なんだけど~……。予備知識ゼロで見ると序盤で少し混乱するかもしれないので、フラッシュ豆知識をお伝えしておこう。
「スピードフォース」:フラッシュが高速で動くことができるのは、「スピードフォース」という未知の力にアクセスできるため。スピードフォースから運動エネルギーを引き出すことで、光を超える速さで走ることができる。
「空腹と睡眠」:バリーは人よりも速く動くためにエネルギー消費がハンパではない。すぐにお腹が減り、空腹になると速く動けなくなってしまう。同じように一般の人よりも消耗が激しいので、睡眠も必要。
「物質透過」:身体を高速で振動させることによって、物質の原子の隙間をすり抜けることができる。これによって壁や床をすり抜けての移動が可能だ。
ということで、具体的なことは何も言えないけど、良い作品なのはたしかだ。ドラマを知っている人はもちろん、フラッシュそのものを知らない人にもオススメだ。
公開までしばし待たれよ!
■公開情報
タイトル:『ザ・フラッシュ』
公開表記:6月16日(金)日米同時公開
配給表記:ワーナー・ブラザース映画
クレジット:(c)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved (c) & TM DC
参考リンク:THE FLASH公式サイト、THE FLASH(ドラマ)公式サイト
執筆:佐藤英典