動く!?日本企業3題:トヨタ・SBI・楽天

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私はトランプ氏が再び大統領になることはないと予想しています。一度もぶれたことはありません。今週、90年代の性的暴行の事件でトランプ氏は評決に於いて500万㌦(6.8億円)の支払いが命じられました。このようなネガティブな話題は今後も五月雨式に続くでしょう。アメリカはそれでも彼を大統領にしたいというならそれはもう宗教の世界に近い妄信です。かといってバイデン氏がいいとも思わないのです。老老対決を避ける選択をアメリカが出来なければアメリカの陽は太平洋に沈むでしょう。アメリカよ、目覚めよ、です。

では今週のつぶやきをお送りします。

動く!?日本企業3題

決算期でもあることから企業の話題が増えています。トヨタの好決算を受けて佐藤新社長の強気の計画も注目されています。24年3月期に日本企業の史上最高の営業利益3兆円の目標です。そのキーはEV化の推進でトップグループとは2-3周の周回遅れの中、どうレース展開するのか、新社長の運転の見せ所となります。アメリカの第1四半期自動車販売のランク順はGM、フォード、トヨタ、ヒュンデ、ステランティスです。ヒュンデは昨年同期比22%増、トヨタはマイナス9%。今年、追い抜かれる可能性も出てきています。まずは存在感を取り戻さないと厳しいでしょう。

SBIによる新生銀行のTOBは面白い展開となりそうです。北尾吉孝会長らしい攻め方でTOBが成功すれば国と注入済みの公的資金の回収額の交渉になるのでしょう。国が主張する5000億円(うち1500億円は返済済み)の根拠が2000年5月に谷垣禎一氏が国会でその金額を示した点が拠り所になっています。23年の月日を経てその査定の見直しをすれば相当減額はやむを得ないのかもしれません。北尾氏は「日経があまり好まない経営者」の一人だと思いますが、個人的にはやり手経営者としては日本の現役5本指には入ると思います。北尾対国の駆け引き、さてどうなることやら。

最後に楽天です。同社が携帯事業に踏み込むと発表してから私は一貫して「違う」と言い続けているのですが、良くなる気配はないとみています。そのため本業のもうけを携帯事業が食いつぶす構図がずっと続いています。この構図はサイバーエージェントのアベマTV事業と同じなのです。同TV事業の今期の赤字幅が5億円に減ったと喜んでいましたが、そもそもTV事業など儲かりません。楽天はもっと大変です。北米経営的には「切り離せ!」になるのですが、楽天の携帯事業は切り離すこともできない一蓮托生であり、個人的にはいつ負の遺産から脱皮できるのか、体力勝負だとみています。

トヨタの決算発表会 トヨタHPより

立憲、泉代表の「辞任予告」

立憲民主党が揺れています。4月の補選で5戦全敗したのに党内で泉代表の責任問題が目立って出てこないと思いきや、舌鋒鋭い村田蓮舫氏が噛みつきました。「一番変わらないといけないのは代表の認識だ」「代表には何をやりたいか、何を発信したいか、考えてほしい」と責め立て、泉代表は「家に帰って考える」と言ったのが10日。一方、別報道で10日の両院議員懇談会で「次回の衆議院選で150席取れなければ辞任する」と述べたのです。

泉代表は追い詰められており、党内の駆け引きが激化する中で辞めるタイミングを見計らっているとも言えます。とすれば「家に帰って考える」というより「家で既に考えてきた」という方が正しいのでしょう。タイムズ紙が岸田首相を表紙に取り上げ、ブルームバーグ コラムニストからは岸田長期政権の示唆の記事も出ています。私は岸田氏が登場した時から長くなるとずっと言い続けています。

何が起きているのでしょうか?一言、保守の巻き返しです。韓国の大統領が推し進める政策も同じで世界の空気なのです。日本国内における左派はどう見ても声に迫力がなく、支持につなげられません。時の風と言ってよいでしょう。立憲が150議席取れることは逆立ちしてもないのです。彼が100議席と言えばつま先立ちしてジャンプすれば絶対に届かないとは言いません。が、不可能で無意味な数字を掲げたところが泉氏の求心力のなさとも言えるのではないでしょうか?

泉代表 立憲民主党HPより

強硬化してきた中国と欧米の外交政策

カナダ政府は在トロント中国総領事館の領事1名をペルソナ ノン グラータ(好ましからざる人物)として追放しました。マイケル チョン下院議員がウイグル問題を追及した際に同領事から嫌がらせを受け、チョン氏が追放せよと訴えていたものが実現したものです。中国政府はこれに鋭く反応、上海のカナダ総領事館の領事を追放しました。ペルソナノングラータは歴史的に、「やられたらやり返す」ケースが多く、ロシアと欧州諸国ではかなり大規模なやり合いが行われています。

外交官追放は驚くべき事象ではないのですが、最近の中国は意固地具合がよりひどくなったように思えます。中国で拘束されたアステラス製薬の社員との面会がモニター越しだったと報じられています。つまりリアルの面会が許可されていません。一方、EUは中国の7社がロシアの兵器供給に関わったとして制裁し、アメリカ、ボストンでは中国側のスパイとしてアメリカ人を逮捕するなど西側諸国も中国へより厳しい対応を見せています。

中国政府は今後、より頑なな態度を取っていくとみています。これは習近平氏の顔色をうかがう共産党体制のもっとも悪い面ですが、党内の力関係がほぼ統一されたことで歯止めが利かない悪循環に入っていると言えるでしょう。中国のスタンスは「売られた喧嘩はそっくりお返しする、だが、静かにしていればお前には手を出さない」です。しかし、欧米は黙っていないのです。「喧嘩するなら出てこい」であります。日本はあんこになり、逆に居心地が悪い状態が続くかもしれません。ちなみに私に「中国に遊びに来ないか」と言われたら菓子折りをお付けしてお断り申し上げます。そんな度胸は全くありません。

後記
取引先の中国系書店のオーナーと日本の訳本談義していたのですが、店に並ぶ本が古いのです。川端康成とか芥川龍之介といったコテコテの書籍に交じって「人気あるんだよね」と示されたのが東野圭吾、村上春樹。まぁ、この辺りは理解できるのだけど店主が「上野千鶴子がバカ売れ」と聞いたときは思わずうなってしまいました。確かに中国ではブーム、その理由の一つが男女平等とか。店主に「新しい日本語を一つ教えましょう。ウーマンリブって覚えてね」と。店主曰く「男性の肩身は狭くなるなぁ」。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年5月13日の記事より転載させていただきました。

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