Amazon 、マス向け食品店に対抗する新業態を模索:「高級路線」ホールフーズの行方は?

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Amazonは2022年の株主への年次書簡で、大規模食料品店モデルに投資する計画を示唆したが、同社のホールフーズ(Whole Foods)チェーンでは、そのニーズを満たせないこともほのめかした。

AmazonのCEOを務めるアンディ・ジャシー氏は、ホールフーズが「有望な道筋」に乗っているが、実店舗の食料品店に、より大きな影響を与えるには、「広く拡大するに値すると考えられる大規模な食料品店のフォーマットを見つける必要がある」と書き記した。

新しい形式の食料品店を検討か

Amazonは以前から、6年前に買収した高級市場向けの食料品店であるホールフーズマーケット(Whole Foods Market)の存在意義を示すのに困難を覚えていた。ホールフーズは食料品店の分野全体のうちプレミアムのニッチ部分をカバーしているが、コンサルタントやほかの小売業界の幹部たちは、このチェーンが競合他社のクローガー(Kroger)やアルバートソンズ(Albertsons)とは同じような形でマスマーケットに対応できないと語る。Amazonは最終的に、ホールフーズ以外でマスマーケットにアピールし、低い価格づけで、最終的には自動化できるような新しい食料品店の形式を探しているようだ。

そのため、Amazonの今後の食料品店ポートフォリオにおいて、ホールフーズがどのような役割を果たすのかはいまだ不透明だ。しかし、ホールフーズは依然として、食料品市場のトップエンドに位置することで、Amazonのニーズを満たすことができると、これらの専門家は述べている。

2017年にホールフーズを買収したAmazonは、食料品店における技術的なイノベーションに労力を集中した。eコマース大手である同社は2018年に、レジのないコンビニエンスストア「Amazon Go」を開設した。Amazon Goの店舗では、消費者は店舗に入ってから欲しい品を手にするだけで、チェックアウトに立ち止まることもなく支払いを行えるジャストウォークアウト(Just Walk Out)テクノロジーが採用された。また、Amazonは2022年にAmazonフレッシュ(Amazon Fresh)を開設し、新しい食料品店のフォーマットに挑戦した。現在では42店舗のAmazonフレッシュが存在する。

コマースコンサルタント会社コンフルエンスコマース(Confluence Commerce)の創設者であるブライアン・ギルデンバーグ氏は次のように述べている。「Amazonが示唆しているのは、マスマーケット向けに売り込むには、ホールフーズをマスマーケット向けに変えるのではなく、違う形式の店舗が必要だということだろう。それがAmazonフレッシュなのか、私が考えているのとは違う何かなのかはまだわからない。おそらく、従来型の食料品店と似た形式が必要になるだろう」。

食料品店の適切な利益モデルを見つける

ジャシー氏の株主への書簡に加えて、Amazonが最近行ったほかの変更も、同社が依然として食料品店に関する適切なプレイブックを見つけ出そうとしていることをうかがわせるものだ。同社のフードデリバリーサービスであるAmazonフレッシュは最近、成長が低迷していることに対応するため、最低配達料金を引き上げた。また、収益性を上げるためにコンビニエンスストアのAmazon Goを8店舗を閉店すると発表したイーマーケター(eMarketer)のデータによると、食料品販売のAmazonのシェアは、2017年の24.2%から、2024年には22%に低下すると予測されている。

食料品テックの新興企業スイフトリー(Swiftly)の最高技術責任者を務めるショーン・ターナー氏は、ジャシー氏のコメントはAmazonが切実に食料品市場での成功を求めていることを示す最新の兆候だと語る。「Amazonは是非とも食料品で勝利する必要がある。同社が食料品市場を戦略的に所有しなければならないと感じる理由は多くある。もっとも明確な理由のひとつは、それによって消費者の注文の頻度が大きく増えることだ」と、同氏は述べる。

「同社は、食料品店を保有することで、買い物客がeコマースで購入するよりも、より頻繁に、より安価に購入できるモデルを模索している」と、同氏は付け加えている。

大規模な食料品店の形式は、ホールフーズのような高級チェーン店よりも、自動化に適していると、ギルデンバーグ氏は考えている。

「Amazonは、何千もの店舗で、熟練した技能を持つ従業員を採用し、その現場特有の作業をさせることに強い企業ではない。同社が得意なのはそのような部分ではなく、テクノロジーやシステムを利用して業務を効率的に進めることだ」と、同氏は述べる。

同社の食料品店における方針は、1年間にわたって収益性を維持しようと苦戦した後に変化した。シアトルを拠点とする大手テック企業である同社は、前の四半期に20億ドル(約2680億円)の損失を計上したが、第3四半期には28億ドル(約3750億円)の増益に転じた。しかし、2021年の第3四半期に計上した31億ドル(約4150億円)の利益をわずかに下回った。

ホールフーズが成功する場所

どちらの専門家も、全体として見るとホールフーズが裕福な買い物客のための食料品店としてニーズを満たしているという点で意見が一致している。「悪い考えではない。ポートフォリオに保有しておくのはよいことだ」と、ギルデンバーグ氏は述べる。

同氏の見立てでは、ホールフーズのもっとも有望な要素は、オーガニックな自然食品市場の分野でサードパーティーブランドが立ち上がるきっかけになることだ。また、Amazonはホールフーズへの投資を終了したわけではない。最近の報道によると、ホールフーズの店舗内で、手軽に昼食や夕食をとるためにフードバーを活用している顧客向けに、オフサイトキッチンの構築を計画していると言われている

このような動きは、Amazonがキッチンのない店舗でも新鮮な食品を提供したがっていることを示唆していると、同氏は語る。「具体的には、Amazonがホールフーズによってマスマーケット向けの食料品を販売する場合、セントラルキッチンを設立し、そこで調理した食品を、キッチンを持たない食料品店に送ればいい。それによって、セントラルキッチンを基盤とする大規模な食料品店の形式を提案できる」と、同氏は付け加えている。

ターナー氏は、こうしたフードバーは、ホールフーズの売りとなるほど人気があり、配送量を増やすのに役立つという。また、Amazonは、ドアダッシュ(DoorDash)やウーバーイーツ(Uber Eats)などの企業の成功を見習おうとしているのだと、同氏は付け加える。「ここには大きなチャンスがある。ドアダッシュやウーバーイーツの配送量を膨大に増加させているものは何かというと、食品の品目数、迅速なサービス、調理済みの食品、そしてテイクアウト用に注文できるレストランの食事だ」と、同氏は語る。

Amazonにとっての平均的な食料品店の形式は、最終的に「より広い範囲にアピールし、管理が容易で、管理の方法として自動化や繰り返しプロセスに適した店舗だろう」と、同氏は語る。

[原文:As Amazon looks to invest in other grocery formats, the future of Whole Foods remains unclear]

Vidhi Choudhary(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)

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