モニター直撮り写真しか残っていない歴史的CGアート「Four-Byte Burger」を完全再現するまでの道のり

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コモドールが1985年に発売したコンポーネント「Amiga」には、CGアートを制作&表示できる環境が備わっていました。そんなAmigaの宣伝に用いられていたCGアート「Four-Byte Burger」を「説明書に含まれるモニター直撮り写真」を参考にして復元する様子がYouTubeチャンネル「Ahoy」によって投稿されています。

Four-Byte Burger – YouTube
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復元を試みられた「Four-Byte Burger」は、Amigaのグラフィックチームに所属していたJack Haeger氏が作成したCGアートです。


Haeger氏が作成したCGアートの一部はインターネット上にデータが残っています。しかし、「Four-Byte Burger」のデータは出回っておらず、Amigaの説明書やパンフレットに掲載されたモニター直撮り写真のみが残っています。


「Four-Byte Burger」を復元するには、説明書やパンフレットに掲載された写真から「解像度」や「使われている色」を導き出す必要があります。まず、Ahoyはパンフレットの情報から「Four-Byte Burger」が表示されていたモニターの解像度が320×200ピクセルだと推測しました。


また、「Four-Byte Burger」が縦長の画像であることから、以下のようにブラウン管モニターを90度回転させて画像を表示していたと考えられます。


上記の情報から、「Four-Byte Burger」の解像度は200×320ピクセルであると結論付けられました。


「Four-Byte Burger」の解像度は分かったものの、写真に写る「Four-Byte Burger」が画像の全体像とは限らず、周囲に大きな余白が存在していた可能性もあります。「Four-Byte Burger」を完全復元するには、写真に写る部分が画像全体の何%に相当するのかを計算しておく必要があります。


写真内に写る「Four-Byte Burger」のピクセル数を計算した結果、187×301ピクセルが写っていることが判明。これにより、「『Four-Byte Burger』のモニター直撮り写真」には「Four-Byte Burger」全体の94%が写っていることが分かりました。


続いて、「Four-Byte Burger」に使われている色を調査します。「Four-Byte Burger」の制作に用いられた初期のAmigaでは最大32色を同時出力可能でした。


Haeger氏が制作した他のCGアートを確認すると、多くの作品が32色で表現されていたとのこと。このことから、「Four-Byte Burger」にも32色が使われていたと推測できます。


続いて、「Four-Byte Burger」の写真内に存在する色をピックアップした結果、約50色が存在することが判明。


ピックアップした約50色のうち、似た色を統合した結果30色のカラーパレットが完成しました。しかし、このカラーパレットはあくまで「『Four-Byte Burger』のモニター直撮り写真」から作成したものであり、「表示モニターの明るさ」「カメラの種類」「印刷した紙の種類」などの影響でオリジナルデータから色が変化しています。


カラーパレットをオリジナルデータと近づけるために、Ahoyはデータが現存するHaeger氏の作品のうち「Four-Byte Burger」に最も雰囲気が似た「Jumbo Dog」という作品のカラーパレットを参考にすることにしました。


「『Four-Byte Burger』のモニター直撮り写真」から導き出したカラーパレット(左)を「Jumbo Dog」のカラーパレット(中央)を参考に修正したものが、画像右側のカラーパレットです。


ここで、注意しておくべきポイントが、「Amigaで表現できる色は4096色しかない」という点です。


そこで、修正版のカラーパレットの各色を、Amigaで表現可能な色に合わせました。


「Four-Byte Burger」の解像度とカラーパレットがそろったので、後はドット絵を描くように「Four-Byte Burger」を描画すればOKです。


Ahoyは、「Four-Byte Burger」の描画にPhotoshopを用いました。Photoshopではレイヤーを利用可能なので、「『Four-Byte Burger』の写真の上に新規レイヤーを重ね、カラーパレット内の色を1ピクセルずつ置いていく」という手法で画像を作成できます。


作業中の様子が以下。作業には1日半かかったとのこと。


以下の画像をクリックすると、復元された「Four-Byte Burger」を確認できます。


データの復元が完了したので、続いて本物のAmigaを用いて「『Four-Byte Burger』のモニター直撮り写真」の再現に取り組みます。


まず、画像を90度回転します。


次に、画像をAmigaで表示可能なIFF形式で出力します。


画像を出力したら、実機で試すまえにエミュレータを用いて正しく表示できるか確認します。


画像の表示を試みたものの「IFFファイルが壊れています」というメッセージが表示され、うまく表示できません。


Photoshopとは異なるツールを用いてIFF出力した結果、無事に画像の表示に成功。


エミュレータでの検証に成功したので、今度は「Amiga 2000」の実機で表示します。


モニターは「Commodore 1084S」を使用。


復元した「Four-Byte Burger」を表示。


モニターを縦置きするとこんな感じ。


うまく表示できたように見えますが、モニターの底面付近が赤く変色しています。


Ahoyがインターネット上で情報を収集した結果、「モニターの電源を入れる前に縦置き状態にしておけば、赤く変色しない」という情報を入手。実際に試した結果、期待通りに「Four-Byte Burger」を表示できました。


「説明書に掲載された『Four-Byte Burger』のモニター直撮り写真」(左)と「復元した『Four-Byte Burger』のモニター直撮り写真」(右)を並べたものが以下。かなり忠実に再現することに成功しました。


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