「ご遠慮ください」という表現をめぐり、SNSで様々な声が寄せられている。一般的には、相手の何らかの行為を遠回しに制止するために用いられる。しかしSNSでは、言及された行為が禁じられているのではなく、多少であれば問題ないと受け止めていた人もいるとして話題になっている。
「写真撮影はご遠慮ください」どうする?
ツイッターで2023年4月23日、「ご遠慮ください」という言葉が話題になった。「ご遠慮ください」を、できればしないでくれるとありがたい、というような意味で受け取っていたと匿名で打ち明けられたという投稿があり、その相手は言及された行為が認められていないとは思っていなかったとしている。
例えば「写真撮影はご遠慮ください」という掲示板の記述を、撮影が認められていないという趣旨ではなく、大量に撮影せず1~2枚ほどに抑えるよう呼びかけるものだと受け止めていたようだ。
インフルエンサーや著名人も言及し始めた。ライトノベル「ノーゲーム・ノーライフ」などで知られる作家の榎宮祐さんも、「『ご遠慮ください』や『控えてください』なんて持ってまわった言い回しをせずに『厳禁』って書けば二文字で済むのに、とは正直思う。不思議の国ジパング」と漏らす。
このほかツイッターでは、様々な声が上がっている。
「幼稚園の運動会リハーサル、保護者の見学はご遠慮くださいって書いてあるのに結構な人が見に行ってて、何で行くんだろと思ってたんだけど、意味を知らない人が多かったのかー…」
「『ご遠慮ください』が禁止の意味だっていうのは、大学時代に人から言われるまで知らなかった」
「そもそも自分は一体どこのタイミングでそれらを禁止と認識するようになったんだろう?と考えていたら、やっぱり語学と同じで体験をもって染み込んだものだと思う」
なお、こうした場合に当てはまる「遠慮」の語義として、「広辞苑 第七版」(岩波書店)では3番目の項目に「公の秩序を考えて出勤・謁見・祝い事などをさしひかえること」とあり、例文の1つに「喫煙は御遠慮下さい」と載っている。