AppleがQualcommに買収された半導体開発企業・Nuviaを立ち上げた元従業員への訴訟を取り下げる

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14億ドル(約1900億円)でQualcommに買収された半導体開発企業のNuviaの共同創設者であるジェラード・ウィリアムズ氏は、Appleでマイクロプロセッサのアーキテクトとして働いてきたという人物。Appleはウィリアムズ氏に対して訴訟を提起していたのですが、これが取り下げられたことが明らかになっています。

Apple Drops Suit Against Ex-Chip Exec Williams Who Started Nuvia – Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-04-29/apple-drops-suit-against-ex-chip-exec-williams-who-started-nuvia


Apple quietly ends its lawsuit against Nuvia co-founder
https://appleinsider.com/articles/23/04/29/apple-drops-employment-lawsuit-against-ex-chip-architect

AppleでチーフアーキテクトとしてiPhoneやiPad向けのプロセッサ開発を担当していたウィリアムズ氏は、2019年にAppleを退職し、元Appleのエンジニアらと共にNuviaというチップ開発企業を立ち上げました。これに対して、Appleはウィリアムズ氏が同社との雇用契約および忠実義務に違反したとして、同氏を訴えました。

Appleが退職後に新企業を設立して58億円を調達したiPhoneやiPadプロセッサの元開発者を訴える – GIGAZINE


問題となっていたのは「従業員であっても在職中に競合ベンチャーを計画できるのか」という点。AppleはNuviaやウィリアムズ氏以外の創業メンバーを訴えているわけではなく、Nuviaが同社の知的財産や企業秘密を盗んだと主張しているわけでもありませんでした。

Appleが元従業員と「従業員は在職中に競合ベンチャーを計画できるか?」を裁判で争う – GIGAZINE


訴訟においてウィリアムズ氏はApple側の主張を否定し、「先にカリフォルニア州統一営業秘密法によって阻止されているため、Appleは忠誠義務違反について主張することはできません」と主張し、Appleの訴訟を取り下げるよう裁判所側に要求しました。しかし、裁判所側はこれを却下し、訴訟を続けられるようにしていました。

しかし、Appleが2023年4月の第5週にカリフォルニア州サンノゼの州立裁判所に訴訟の取り下げを申請したと、Bloombergが報じています。報道によると、この申請書にはAppleが訴訟を取り下げた理由は記されていないそうです。BloombergはAppleに訴訟を取り下げた理由についてコメントを求めていますが、記事作成時点では返答がありません。

なお、Apple関連メディアのAppleinsider上には「アメリカでは競業避止条項の行使はほとんど不可能です。あなたの心は本来あなた自身のものであるためです。雇用されている間、あなたのアイデアは雇用主のものであるかもしれませんが、雇用契約が破棄されればあなたのアイデアは再びあなたのものとなります。これが成立するのは奴隷制度が法的にも道徳的にも倫理的にも間違っているためです。確かにウィリアムズ氏はAppleの優れた技術に魅せられ、同社で教育されながら働いてきたかもしれません。Appleに雇われている間、ウィリアムズ氏の仕事はAppleの技術を学び、それを使う専門家になることだったかもしれません。しかし、学んだことに自分なりの手を加えることもできます。ウィリアムズ氏はApple社内での変化や昇進を目指すのではなく、Appleから独立して自分のアイデアで新しい事業を立ち上げることを選びました。これはとてもいいことだと思います」などの、競業避止条項が認められなかったことを歓迎するようなコメントが寄せられています。

また、モトローラでMotorola 68030RISCベースのMotorola 88000といったマイクロプロセッサファミリーの開発を指揮し、その後モトローラを離れて同業のRoss Technologyを立ち上げたロジャー・ロス氏の事例を挙げる人もいます。モトローラはロス氏の事業を邪魔するために競業避止条項を発動しようとしましたが、ロス氏が訴訟を起こし、何度も勝訴しています。今回のウィリアムズ氏の事例も同じく競業避止条項を振りかざす企業側が敗北しているため、このことを歓迎するコメントも寄せられていました。

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