Googleの検索結果で「小児性愛者」と表示されていた男性が裁判で約6700万円を勝ち取る

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カナダ・モントリオールに住む70代前半の男性が、身に覚えがないレッテルを貼られてキャリアを台無しにされたとしてGoogleを訴えていた裁判で、裁判官は50万ドル(約6700万円)の損害賠償金を支払うようGoogleに命じました。

Man battling Google wins $500K for search result links calling him a pedophile | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2023/04/man-battling-google-wins-500k-for-search-result-links-calling-him-a-pedophile/

Google ordered to pay Montrealer $500,000 for links to defamatory post | Montreal Gazette
https://montrealgazette.com/news/local-news/google-ordered-to-pay-500000-to-montrealer-over-links-to-post-calling-him-pedophile

2007年、原告の男性は、自身を中傷しているウェブサイトがGoogleの検索結果に表示されることに気づきました。このページは男性のことを小児性愛者だと書いており、児童虐待で告発され、すでに有罪判決を受けているとの文章を記載していました。

男性にとってその出来事は身に覚えのないものであり、友人の助けを借りてウェブサイトの記述を削除しようとしました。しかし、ウェブサイトの管理者は投稿を削除しないとはねのけ、「罪に問われたことがないことを証明せよ」と告げてきたとのこと。当然ながらやっていないことの証明はできず、またカナダでは「被害者がいつ投稿を見たかにかかわらず、その投稿の出現から1年以内に訴訟を起こさなければならない」と定められていたことから、すでに手遅れであることが分かったそうです。


そこで、男性はせめてGoogle検索結果に表示されないようにしてもらおうと、Googleに検索結果からリンクを削除するよう要請します。2009年には男性の訴えが認められ、Googleは検索結果から問題のウェブサイトのリンクを削除する対応を行いました。その後2011年に再び検索結果に表示されるようになったため、男性はさらに2回削除要請を出し、そのどちらも受理されました。

しかし、2015年にまたしても検索結果に表示されていることが判明。男性はもう一度削除要請を行いましたが、Googleはこれを拒否しました。これは、リンクの公開に関する別の問題でカナダ最高裁判所が下した決定によるもので、Googleはリンクを削除する義務はないと主張しました。

Googleの言い分としては、Googleはカリフォルニア州に本社を置き、デラウェア州の法律に基づいて設立されたアメリカの会社であるため、アメリカの法律上、リンクを削除する義務はないというものでした。アメリカでは通信品位法230条が定められているため、コンテンツプロバイダが第三者の投稿によって法的責任を問われることはありません。ケベック州には「違法コンテンツの存在を認識した時点で削除することを企業に義務づける」という法律が定められていますが、米国・メキシコ・カナダ協定に基づき、責任を問われないともGoogleは主張しました。

訴訟の中で、男性は自身のキャリアをウェブサイトに台無しにされたと語っています。潜在的な顧客に逃げられ、息子との関係を含め、人間関係も台無しにされたと訴える男性は、損害賠償金の支払いに加え、懲罰的損害賠償金として600万ドル(約8億円)の支払いをGoogleに求めていました。


訴えを受けたケベック州上級裁判所は、「ケベック州の法律では確かにGoogleはリンク先のコンテンツに責任を負わず、そのコンテンツを監視する必要もないものの、違法なコンテンツへのアクセスを促進していると分かったときに対処する義務がある」と指摘。男性が精神的損害を負ったとして、50万ドルの損害賠償金を支払うようGoogleに命じました。

また、ケベック州で閲覧可能な検索結果において、中傷的な投稿へのリンクをすべて削除することもGoogleに命じられています。今回の裁判は原告側に立ったものの、原告は「この裁判がきっかけでGoogleにリンクの削除を求める声が簡単に認められることはないだろう」と結果を冷静に見ています。


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