AIの力で心停止リスクを予測するシステム「SSCAR」が開発される

GIGAZINE


AIを用いて心停止のリスクを予測するシステムがジョンズ・ホプキンズ大学の研究チームによって開発されました。開発されたシステムにより、致死性不整脈からの生存率が上昇することが期待されています。

Arrhythmic sudden death survival prediction using deep learning analysis of scarring in the heart | Nature Cardiovascular Research
https://doi.org/10.1038/s44161-022-00041-9

AI predicts if and when someone will experience cardiac arrest | Hub
https://hub.jhu.edu/2022/04/07/trayanova-artificial-intelligence-cardiac-arrhythmia/

研究チームによると、不整脈に伴う心停止は世界中の死亡原因の20%を占めるとのこと。実際、日本でも「心疾患」が死因ランキングの上位に位置するなど、多くの人が突然の心停止によって死亡しています。不整脈と診断された患者は除細動器を用いることで心停止のリスクを低減できますが、不整脈のリスクに気づかず死亡してしまう人が数多く存在しているのが現状です。そこで、研究チームはリスクの早期発見に役立てるべく、AIを用いて不整脈のリスクを算出するシステム「Survival Study of Cardiac Arrhythmia Risk(SSCAR)」を開発しました。

SSCARのAIは不整脈患者数百人分の心臓画像を学習しており、肉眼では判断できない不整脈の兆候を検出できます。さらに患者の年齢・体重・人種・処方薬といった22項目のデータを学習させたAIも用意されており、2種類のAIを用いることで受診者の不整脈リスクを評価できます。


アメリカ国内の60箇所の医療施設でSSCARのテストを実施した結果、医師の診断よりも正確に不整脈リスクを評価できたとのこと。ジョンズ・ホプキンズ大学のナタリア・トラヤノヴァ教授は「SSCARは不整脈リスクに関する臨床的意思決定を大きく左右する可能性を秘めており、患者の様態予測にAIを持ち込むための最初のステップです」と述べています。

また、トラヤノヴァ教授によるとAIを用いた診断は視覚による診断に依存する不整脈以外の分野にも応用できるとのこと。研究チームは、不整脈以外の心疾患を検出するシステムの開発に取り組む予定としています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
「適量の飲酒は健康にいい」説は間違い、「どんな量でも飲酒は心臓の健康を害する」ことが35万人超の調査結果で判明 – GIGAZINE

「史上最も低い体温から蘇生した女性」が凍った川に80分近く沈んだ状態から生還できた理由とは? – GIGAZINE

「お尻から侵入して全身の皮下をうごめく大量の寄生線虫」が報告される – GIGAZINE

少し歩くだけで失神する病を患った女性が「脊髄への電極埋め込み手術」によって歩行能力を回復 – GIGAZINE

・関連コンテンツ

Source

タイトルとURLをコピーしました