動画
マーケティング企業・ClearlinkのCEOが、リモート会議で職場への復帰命令によりやむを得ずペットの飼い犬を手放した社員に言及し、その映像がインターネット上で拡散されたところ、抗議が殺到しました。動画はその後、Clearlinkによる著作権侵害の申請により削除されましたが、多数のコピーがインターネット上に再アップロードされています。
CEO Celebrates Worker Who Sold Family Dog After He Demanded They Return to Office
https://www.vice.com/en/article/wxj574/ceo-celebrates-worker-who-sold-family-dog-after-he-demanded-they-return-to-office
Clearlink CEO James Clarke celebrates employee selling dog
https://nypost.com/2023/04/20/clearlink-ceo-james-clarke-celebrates-employee-selling-dog/
アメリカ・ユタ州に本拠を構えるClearlinkは以前、社員のリモート勤務に寛容な姿勢で知られていました。同社のジェームス・クラークCEOは2022年10月に社員向けに送ったメールで、「オフィス勤務を義務づける計画はありません」と明言しており、Clearlinkに入社した人の中には「リモートファースト」の企業であることを決め手にしていた人もいるとのこと。
しかし、事業環境の悪化に苦慮したClearlinkは、2023年4月3日に全社に向けてメールを送り、「ユタ州に設けた新本社から50マイル(約80km)以内に住む社員は、一部の例外を除き4月17日から最低週4日出社するように」と通達しました。
この決定について説明するビデオ会議の中でクラークCEOは、リモートで働く一部の社員が「クワイエットクイッター(最低限の仕事しかしない人)と化しています」と非難。こっそりと副業をしているとリモートの社員をなじったり、「AIでも使って通常の30~50倍の成果を出すべきです」と述べたりした上で、社員らに「血と汗と涙」を会社にささげるよう求めました。
クラークCEOはさらに、会社の方針転換により飼い犬を手放すことを余儀なくされた社員がいることに言及し、「私は会社のために犠牲となっていますし、他の皆さんも家族から離れるという犠牲を払っています。リーダーの1人から、家族の犬を売った人の話を聞きました。他のビジネスで、ペット・ヒューマナイゼーション(ペットの人間化)運動の先頭に立っていた者として、心が痛みます」と述べつつ、他の社員もオフィス勤務に戻るために犠牲を払うべきだとほのめかしました。
クラークCEOが「他のビジネス」と言ったのは、ペット向けの医療とウェルネス事業を手がけるPetIQという企業に在籍していた経歴のことを指していると思われます。
オフィス勤務への復帰により、ペットだけでなく子どもや子どもを持つ親も犠牲を強いられています。クラークCEOは、子どもの面倒を見ている社員が育児と仕事を両立できるかという話題の中で、「それは可能ですが、ワーキングマザーの生活に大きなストレスをかけることになります」「フルタイムの仕事をしながら育児をすることは、雇用主にとっても子どもたちにとってもフェアではないでしょう」と発言しました。
この一件を取り上げたニュースメディアのMotherboardによると、YouTubeや掲示板型ソーシャルニュースサイト・Redditで拡散されたビデオ会議の映像には、インターネットユーザーからの怒りの声が殺到したとのこと。オリジナルの投稿は、Clearlinkによる著作権侵害の申請で削除されてしまっているので、見ることができません。
しかし、動画ファイルを入手したMotherboardやRedditユーザーによって再アップロードされたため、記事作成時点でも動画を見ることができます。
UPDATE: Utah’s Clear Link Keeps Filing Copyright Claims Against This Video of Their CEO (James Clarke) Being an UNBELIEVABLE Douche to Employees. Reuploading here for backup. More mirrors included in post.
by u/IvanAfterAll in antiwork
クラークCEOがオフィス勤務への復帰を強行している背景には、2023年初頭に新本社をオープンさせたものの、思うように社員が戻らない実情があると指摘されています。クラークCEOは2022年10月のメールに「新しいオフィスで働くことを義務づける予定はありません」と太字で書いて強調しましたが、今回のビデオ会議では「皆さんがきっとこの世界的な施設に毎日通いたくなると思っていました。しかし、残念ですがそうはなっていません」と吐露しました。
Clearlinkは、今回の決定について説明する社内文書の中で、「変更は恒久的なものであり、任意ではなく、業務上の特別な必要性が発生しない限り見直されることもない」としています。また、オフィス勤務への復帰は、従業員の住所登録とGoogleマップから判断した「本社から半径50マイル以内に住む従業員」を対象としており、その数は従業員の35%に当たる約275人であると述べました。この決定に従わずオフィスに復帰しない社員は、「是正措置」の対象になると、文書は警告しています。
Clearlinkの広報担当者であるレイン・ワトソン氏はMotherboardの取材に対し、この件はClearlink社内の問題であり、オフィスへの復帰の義務化は同社の全体目標の達成に向けたものだと述べて、質問に対する具体的な回答を控えました。
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