Edgeがいつの間にか高機能に?これはChromeより便利かも

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新機能が数多く搭載され、便利になったMicrosoft Edge

 Windows 11標準のWebブラウザ「Microsoft Edge(以下Edge)」の評価が高まっている。AI、コレクション、ワークスペース、サイドバーなど、独自の機能を次々に搭載することで利便性が格段に向上しているからだ。ここでは、Chromeからの移行も視野に入れつつ、Edgeの便利な機能を紹介する。

止まらないEdgeの進化

 Edgeの進化を追うのが難しい。2023年前半の数カ月だけ見ても、以下のような状況で、パブリックプレビューやInsider向けの機能など、何が実装されていて、何がテスト中なのかも分からない、新機能が溢れかえる状況となっている。

  • 2023年2月9日(バージョン110.0.1587.41)
    モバイルデバイスとの間でのデータ共有を簡単に実行できる「Drop」を搭載。
  • 2023年3月6日(Canaryチャネル)
    超解像度ビデオ機能をCanaryチャネルで大規模に展開。
  • 2023年3月13日(バージョン111.0.1661.41)
    「Bingアイコン」としてBingチャットを利用可能なEdge Copilotを搭載。
  • 2023年3月24日(バージョン111.0.1661.54)
    「Adobe Acrobat PDFエンジン」の組み込みを発表(3月以降)。
  • 2023年4月6日(バージョン112.0.1722.34)
    タブやお気に入りをリアルタイムに共有できる「ワークスペース(パブリックプレビュー)」搭載。
    サイドバーに「Image Creator」アイコン追加。
    ブラウザ内「JSONビューアー」と搭載。

 ここ数年、サイドバーやコレクションなど、独自機能によってほかのブラウザとの差異化を徐々に進めてきたEdgeだが、どうやらこの積み重ねが功を奏しているようで、こうした便利な機能を目当てにEdgeを見直そうという動きも出てきている。

 ほかならぬ筆者も「コレクション」と「サイドバー」の便利さに気づいたことをきっかけに、メインのブラウザをEdgeに切り替えた1人だが、Chromeに流れていた主流ブラウザの流れが、少しずつではあるがEdgeにも傾きつつあるように思える。

EdgeとChromeのメモリ使用量の差は?

 Edgeというと、パフォーマンスやリソース消費量などを心配するユーザーもいるかもしれないが、Chromeとエンジンが同じということもあり、両社に大きな差はない印象だ。

 テストとして以下の10個のWebページをタブで開いた状態で、時間の経過とともにメモリ使用量を比較してみた。

  1. msnトップページ
  2. Gmail受信トレイ
  3. Excel on the web(表とグラフ)
  4. YouTube(ライブ配信再生)
  5. PC Watchトップページ
  6. トヨタ自動車ページ
  7. ルーター管理画面(ローカル)
  8. 総務省報道資料(PDF)
  9. 日本語訳した英語ページ(OpenWrt Wiki)
  10. Amazon.co.jpトップページ

Chrome(左)とEdge(右)で同じWebページを表示してメモリ消費量を比較

10個のタブだとメモリ使用量はほぼ互角。時間が経てばスリープタブの恩恵でEdgeが若干有利

 起動直後はEdgeの方が若干メモリを多く使用するが、時間が経つとほぼ同じ、もしくはEdgeが少なくなっていく。

 効率モード(詳細は後述)をオンにした状態では非アクティブなタブが5分でスリープするが、明確にスリープしたタブは上記の5~6のみで、あとはアクティブなままの状態だった。

 以下で紹介するようにブラウザとしては付加機能が多いEdgeだが、リソース面でも健闘している印象だ。

話題のAIを使ってみる

 では、具体的にどのような点がEdgeの魅力なのか?特徴的な機能をピックアップして紹介していこう。まずは、注目のAI機能だ。

 ChatGPTを中心に、近年の最大の注目となるAI機能だが、現在これをもっとも身近に体験できる環境が「Edge」と言っても過言ではないだろう。

 Bingチャットによる自然言語検索やImage Creatorによる自然言語による画像生成が組み込まれており、誰でも簡単にブラウザから利用できるようになっている。

Bingアイコンで自然言語検索

Bingアイコンからチャットによる検索や文書作成、分析情報などを参照できる

 右上のBingアイコンから、「Bingチャット」「作成」「分析情報」のAI機能を利用可能。マウスカーソルを合わせるだけで表示される。

  • Bingチャット
    「NASはファイル共有以外にどのように活用すると便利ですか」といったように自然言語によるチャット形式で情報を検索できる。回答の元となるリンクや詳細情報なども参照可能。
  • 作成
    メールの本文やビジネス文書の文面などを自動生成できる機能。たとえば、「見積結果が思わしくないのでやんわり断る」といった入力で、丁寧な断りメールの本文を作成することなどができる。
  • 分析情報
    現在表示しているWebページに関連する情報を自動的にリストアップしてくれる機能。たとえばメーカーのWebページ表示中に企業情報や株価などを表示したり、検索サイトの結果に対して「こちらもおすすめ」と別の候補を表示したりできる。

Image Creatorで画像生成

Image Creatorから画像を生成できる

 DALL・E2(ダリツー)エンジンを使った画像生成をサイドバーから利用可能になる機能。現在は、英語での入力が必要だが、「cat robot, like DarkSoul touch, dark side, with sord and shield」のようなプロンプトで画像を自動生成できる。

仕事やタスクに合わせてブラウズ環境を切り替える

 テレワークが普及したことなどもあり、PCでプライベートな作業と仕事の両方で使うケースも増えてきた。

 プロファイルを使ってユーザーを切り替える機能はほかのブラウザでも利用可能だが、ワークスペースを使って特定のタスク向けの共同作業環境を用意できるのがEdgeの特徴となる。

プロファイルで個人と仕事環境を使い分け

プロファイルを切り替えることでブラウザの設定を個別に利用できる

 個人用のMicrosoftアカウントと、会社から支給された組織用のMicrosoftアカウントでプロファイルを切り替えて利用できる。これにより、OneDriveやOutlookなどのWebアプリの環境を分けることができる。

ワークスペースでタブ・お気に入り・履歴をリアルタイム共有

ワークスペースを利用してブラウザ環境をプロジェクトごとに作ったり、メンバーとリアルタイムで共有できる

 現在表示しているタブ、お気に入り、履歴を「ワークスペース」としてひとまとめに管理し、ほかのユーザーとリアルタイムに共有できる機能。

 たとえば、特定のプロジェクト用のワークスペースを作成し、Web版Excelの表やNotionのタスクなどのタブをまとめることができる。

 ワークスペースを開くことで、これらのタブを専用のEdgeのウィンドウでまとめて表示できるうえ、普段のEdgeのお気に入りや履歴とは分離された専用のお気に入りや履歴を利用可能になる。

 また、ワークスペースのリンクを作成してほかのユーザーに送信することで、ワークスペースを共有することが可能。ほかのユーザーのブラウザでも同じタブが表示され、それぞれのユーザーがブラウザに対して行なった操作(タブの追加や削除、Webページの表示、Excelの表の変更)がリアルタイムにほかのユーザーにも反映される。

 今まで個別にやり取りしていた共有リンクのタブをワークスペースとしてまとめることでシンプルな共同作業環境を実現できるのがメリット。

 なお、プライバシーも配慮されており、Gmailなどのログインが必要なページを共有しても、特定のユーザーのページがほかのユーザーに共有されるわけではなく、それぞれのユーザーがログインした各ユーザーのページが個別に表示される。

マルチタスクがより快適に

 ブラウザは、今やWebページやクラウドサービスなど、さまざまな作業の窓口となっている。これまで、こうした作業を平行して処理するには、タブを複数利用するのが一般的だったが、Edgeではタブだけでなく、サイドバーを使ってマルチタスクが可能になる。

サイドバーで同時に検索やメールチェック

サイドバーで検索やメールなどさまざまなアプリを利用できる

 画面右側に表示されているアイコンをクリックすることで、サイドバーで検索やOutlookなどのさまざまなアプリを画面右側に常に表示して利用できる。

 利用可能なアプリは、順次追加されているが、2023年4月11日時点では以下を利用可能。このほか、任意のサイトを追加することも可能。

  • アクションセンター
    Microsoft Rewordを獲得できる最新情報やおすすめ情報が表示される。
  • 検索
    検索エンジンを利用した検索と結果の表示が可能。
  • ショッピング
    ショッピングサイトの配達状況を確認したり、おすすめ情報を表示したり、適用できるクーポンなどを自動的に検索して適用したりできる。
  • ツール
    電卓や翻訳、単位変換などのミニアプリを利用できる。
  • ゲーム
    サイドバーで稼働するミニゲームをプレイできる。
  • Microsoft 365
    Web版のWordやExcelなどの起動、最近使ったファイルの一覧などを参照できる。
  • Outlook
    Outlook.comのメールを参照したり、新規メールを作成したり、予定表、To Doを確認したりできる。
  • Drop
    Edge間で情報共有が簡単にできる機能。メモを投稿したり、ファイルをドラッグしたりすると、同じMicrosoftアカウントが設定されたほかのPC、スマートフォンなどのDrop画面でもメモやファイルを参照できる。自分用のチャットにメモやファイルを投稿するイメージ。
  • 健康とウェルネス
    短時間でできる簡単なエクササイズ動画を再生できる機能。仕事中のリフレッシュや気分転換に利用できる。
  • Image Creator
    AIによる画像生成機能。詳細は前述のAIの項目を参照。
  • E-tree
    水やりなどで木を育てるミニゲーム。

ブラウズの主役「タブ」を便利に使う機能

 今や当たり前となったタブを使ったブラウズ機能も、Edgeでは強化されている。タブのピン留めやグループ化はもちろんのこと、標準機能としてサポートされている垂直タブバーを使って大量のWebページの切り替えが容易にできる。

大量のタブも効率的に管理できる垂直タブバー

垂直タブバー

 タブの左端にある[タブ操作]メニューから[垂直タブバーをオンにする]をクリックすると、画面上部のタブが左側へと移動する。タブが垂直に並ぶため、大量のタブを開いた場合でもタブが小さくなりすぎることなく選択しやすいのが特徴。

 また、同メニューから、タブを検索したり、同じMicrosoftアカウントが設定された別のデバイスの履歴からタブを開いたりすることもできる。

情報を効率的に整理しよう

 さまざまな情報を検索するために欠かせないブラウザだが、調べた情報をどのように保管、整理するかは悩ましい問題だ。

 お気に入りでは情報が埋もれてしまう可能性があるうえ、Webページの一部の情報だけが欲しいという場合もある。外部サービスやアプリを使うことなく、こうした情報を効率的に管理できるのもEdgeの魅力だ。

気になる情報は「コレクション」に入れて管理

コレクションで情報収集

 コレクションは、WebページやWebページ内の情報、メモなどを保管できる機能だ。

 右上の[コレクション]ボタンでサイドバーに表示し、[+新しいコレクションを開始する]で作成。

 [+現在のページを追加]から表示中のWebページを登録したり、Webページのテキストや画像を選択し、右クリックから[コレクションに追加]でWebページの一部分を登録したりできる。

 コレクションには、メモを追加することも可能で、追加したWebページやテキストに対してコメントを書き込んだり、見出しのように活用したりすることもできる。OneNote的な機能と考えると分かりやすいかもしれない。

Webキャプチャ/Web選択で素材をコピー

WebページやWeb上の要素を簡単にコピーできる

 Webキャプチャは、文字通り、表示中のWebページを画像として保存するための機能だ。表示中のWebページを右クリックすることで利用できる。範囲選択した一部のエリア、もしくはページ全体をキャプチャできる。

 一方、Web選択は、Web上の表や見出しなどの要素を、形式を保ったままコピーする機能だ。キャプチャと同様に、表示中のWebページで右クリックから起動し、ページ上の要素を範囲選択するとコピーできる。

画像はブラウザ上で直接編集

Webページの画像をブラウザ上で直接編集可能

 Webページに画像が含まれている場合、その画像をEdge上で直接編集することが可能だ。

 画像にマウスカーソルを合わせると表示される[…]、もしくは右クリックから[画像の編集]を選択することで、編集画面が表示され、トリミングしたり、フィルタを適用したりしてから画像を保存できる。

 ほかのアプリに貼り付けて、編集し直す必要がないので効率的だ。

注目箇所はココ!強調表示するリンクのコピー

強調したい部分をハイライトしたリンクを作成できる

 これはWebページの一部の情報を強調表示した状態のリンクを作成できる機能となる。

 Webページのテキストを選択した状態で、右クリックから[強調表示するリンクのコピー]を選択すると、その部分だけをハイライトした状態のページリンクを作成できる。ページ全体のリンクを送信しつつ、相手に注目してほしい部分を示すのに適している。

普段の閲覧がちょっと便利になる補助系機能

 Webページの閲覧中に調べものをしたり、海外のWebページを閲覧したりするときに便利なのがEdgeのさまざまな補助機能だ。右クリックやサイドバーなどを活用することで、効率的にWebページを閲覧できるようになる。

画像の情報を検索

画像から詳しい情報を検索したり、類似画像を検索したりできる

 Webページに掲載されている画像について、さらに情報が欲しいときは、画像にマウスカーソルを合わせたときに表示される右上の[画像検索]を活用するといいだろう。サイドバーで画像検索が実行され、判断可能な場合は被写体の名前や類似画像を表示できる。

いろいろな言語のWebページを翻訳

翻訳も標準機能で対応

 今やなくては困る翻訳機能もEdgeに搭載されている。英語や中国語のWebページを表示中に、右クリックして[日本語に翻訳]を選択すれば、すぐに翻訳できる。

JSONを整理して表示してくれる

JSONを見やすく表示できる

 Edgeには、Web APIなどを扱う場合に悩まされるJSONを見やすく表示できるJSONビューワ―が内蔵されている。

 JSONのレスポンスのURLなどを開くと、左側に行番号が表示され、値が赤くなり項目名と値を区別しやすくなる。また、階層構造になった部分を折りたたんだり、展開したりできるようになる。シンプルだが、生のJSONよりは見やすいので重宝する。

リソースの消費を節約して動作を軽く

 多機能なのはいいが、リソース消費量が増え、重くなるのではないかと心配する読者も少なくないかもしれない。

 しかし、Edgeはリソースの消費を抑えるための工夫がいくつか搭載されており、前述のChromeとの比較で見せたように、ほかのブラウザと比べても決して重いアプリではない。

効率モード

効率モードではアクティブでないタブは5分でスリープする

 効率モードは、複数のタブを開いている場合に、アクティブではないタブの電力消費を抑える機能だ。

 ノートPCではバッテリ動作に自動的に有効になるように設定されているが、デスクトップの場合は[設定]の[システムとパフォーマンス]で手動でオン/オフを設定できる。

 具体的には、アクティブではないタブの動作を自動的に調整してCPUやメモリなどのリソースの使用量を削減したり、5分経過後に非アクティブなタブをスリープさせたりできる(効率モードオフの場合は任意の時間でスリープさせることも可能)。スリープしたタブはグレーアウトして表示される。

よりきれいに快適に閲覧体験の向上

 Edgeでは、Webページでの体験をより快適にするための機能も搭載されている。たとえば、低品質の動画の品質を向上させることができる。

クラリティブースト

クラウドゲーミングの対応タイトルで画質をクリアにできる

  Xboxで提供されているクラウドゲーミング環境の対応ゲーム(Fortniteなど)をプレイする際に、ストリーミング映像を補完してクリアに表示できる機能。

超解像度ビデオ

 上記機能の汎用ビデオ再生版の機能(段階的にロールアウト)。以下の条件を満たす場合、低解像度の映像を補完してシャープに表示できるようになる。

  • NVIDIA RTX 20/30/40シリーズまたはAMD RX5700~RX7800シリーズのGPU
  • 720p未満の解像度
  • 電源接続
  • 192ピクセル以上のサイズ
  • 著作権管理技術で保護されていない映像

 たとえば、YouTubeで144pの動画は、通常はぼやけて見にくいが、超解像度ビデオをオンにすると、細部がシャープに補正され、映像内の文字などが判別しやすくなる。

 劇的に改善されるわけではなく、ワンランク上のビットレートになる程度だが、モバイル環境など回線速度が限られた状況で有効な機能となる。

144pの動画で超解像度ビデオオフ

144pの動画で超解像度ビデオオン

無料ゲームで息抜きを

 Edgeは、サイドバーのゲームなど、息抜きのための機能が搭載されているが、実は無料のゲームも搭載されている。

難しすぎない? エッジサーフ

Edgeに搭載されているゲーム

 「edge://surf/」からプレイ可能。小島を潜り抜けながら海上をサーフィンしていくゲームで、ジャンプ台で加速したり、巨大なタコの追撃をかわしたりしながら無限に滑り続けるゲームとなる。もちろんオフラインでもプレイできる。

試験的な機能を手動で有効化するには

 なお、これまで紹介してきた機能(超解像度ビデオなど)の中には、一部のユーザーから段階的に導入される機能なども含まれている。こうした機能を手動で有効化することもできる。

 アドレスバーに「edge://flags」と入力すると、試験段階の機能の一覧が表示されるので使いたい機能を検索するなどして「enabled」に変更すれば有効化される。いち早く体験したい場合は試してみるといいだろう。

試験段階の機能

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