我が家には「干し蕎麦ストックBOX」がある。文字通り、購入してきた干し蕎麦を保管しておくための箱であり、いわば「レビュー待ち」の蕎麦たちが集う控え室のような場所である。
その時の気分でチョイスされ、次々とデビュー(?)していく干し蕎麦たち。その中に、いつまでたっても選ばれない蕎麦があった──。
私は蕎麦を買う時、必ず写真を撮ってメモしておくので購入日もわかるのだが、なんとこの蕎麦、2022年7月5日11時ごろ、渋谷のダイソーにて購入したモノであった。そして、裏返して賞味期限を確認すると……
2023年4月21日だった……! ギリッギリもギリッギリ。ここまで干し蕎麦を保管しておいたことはないってくらいにギリッギリ。
では、なぜここまで保管しておいたのかといえば……「食いたくなかったから」である。どうしても食指が動かなかったのである。なぜならば……
「うまくなさそうだから」である……。
スマヌ。本当にスマヌ。まことにスマヌが、経験上、「100均そば」というものは、食べるのにものすごくパワーを要するのである。すごい強敵なのである。なので、ついつい逃げていたのであるが……なななな、なんと!
おびなたっ……!!
なんとこの『めん一筋 茶蕎麦』を作っているのは、あの「おびなた」! 企業とのコラボ蕎麦を作りまくるイメージが強い、あの有名そばメーカー「おびなた」である!
「おびなたなら、まぁ……」と、少し安堵する私がいた。おびなたなら、そこまでひどい蕎麦は作らないはず……と切に願う私がいた。いずれにしても、賞味期限的に時間はない。行くしかない。行けばわかるさ!
それではさっそく……
……って!
すんげえ色!
「茶パウダー」的な香りがスゴイ!
……ともあれ……
デカい鍋にタップリのお湯を沸かし……
強火で約4分半〜5分ゆでて……
完成。
して、そのお味は──
これはまた罪な蕎麦を作ったな、おびなた。まず良いところから言う。これまで食べてきた「100均そば」の中では上位に入る「セーフな蕎麦」だ。
しかし。
あまりにも「茶」だなと。「めん一筋 茶蕎麦」ではなく「茶一筋」だろってくらいの「茶」だなと。
食後の口の中、まんま「茶」だぞと。まるで回転寿司の「茶のパウダー」を直に口の中に振りかけた(←迷惑行為)ってくらいの「茶っぷり」だぞと。
パッケージには「豊かなお茶の薫りと深い味わいをお楽しみください」と書いてあるけど、一言で言うなら「茶しかねえぞ」と。加藤茶ってくらいのTHE・茶だぞと。
なお食感はツルツルとした輪ゴムみたいな感じ。「家そば」か「外そば」かで言えば「100均店内」だ。家でもない。ある意味「茶室」か。
おびなたも、ピンからキリからキワモノまで、いろんな蕎麦を作るんだなと。おびなたの守備範囲の広さを再確認した蕎麦であった。
執筆:干し蕎麦評論家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24