楽天・田中将大がメモリアルゲームを白星で飾った。日本で11年ぶりとなる開幕投手を務めた2023年3月30日の日本ハム戦。北海道北広島市の新球場「エスコンフィールド北海道」での初の公式戦と歴史に残る試合で、快投を見せた。
「ああいう投球をされたらなかなか打てない」
北海道は駒大苫小牧高で過ごした第二の故郷だ。田中の名前がコールされると、日本ハムファンからも大きな声援が。初回、昨季首位打者に輝いた先頭打者の松本剛をスライダーで空振り三振に仕留めると、その後もコーナーに投げ分ける危なげない投球でアウトを重ねていく。5回1死まで無安打の快投。清宮幸太郎にセンターのフェンス直撃の二塁打を浴びて2死一、二塁のピンチも宇佐見真吾を149キロ直球で捕邪飛に。6回に野村佑希の中犠飛で1点を失って交代したが、5回2/3で2安打1失点ときっちり試合を作って、白星スタートを切った。
他球団のスコアラーは「日本球界に復帰してからの田中は変化球が主体の投球に切り替わっていたが、今回は直球を勝負所で投げ込んでいた。コンディションが良いのでしょう。イメージしていた投球と違ったので意外でした。初回から飛ばしていたので、5、6回は疲れが出たと思います。4回までは制球もきっちり決まっていたし、ああいう投球をされたらなかなか打てない」と警戒を強めた。
日本球界復帰した21年は4勝9敗、昨年は9勝12敗と負け越し。打線の援護に恵まれない登板が目立つことを差し引いても、納得できる数字ではないだろう。熱望していた侍ジャパンでWBC出場は叶わなかったが、気持ちを切り替えてシーズンに向けてのコンディション作りに集中していた。
試合後のお立ち台では、「僕には経験があるので。慌てることなく、しっかり地に足を付けて、投げることができたと思います」と振り返っていた。田中将の活躍なくして10年ぶりの覇権奪回は成し得ない。力強さを取り戻した直球が今季のポイントになりそうだ。(中町顕吾)