コーヒーやお茶に含まれるカフェインが肥満や糖尿病のリスクを低減する可能性が示唆される

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コーヒーや緑茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインには中枢神経系を興奮させることによる覚醒作用があり、摂取すると眠気や疲労が軽減されますが、過剰に摂取すると下痢や吐き気を引き起こすこともあります。スウェーデンにあるカロリンスカ研究所のチームによる論文で、血中のカフェイン濃度が高いと体脂肪率が低下し、2型糖尿病のリスクが軽減される可能性が示唆されました。

Appraisal of the causal effect of plasma caffeine on adiposity, type 2 diabetes, and cardiovascular disease: two sample mendelian randomisation study | BMJ Medicine
http://dx.doi.org/10.1136/bmjmed-2022-000335

Caffeine may reduce body fat and risk of type 2 diabetes, study suggests | Medical research | The Guardian
https://www.theguardian.com/science/2023/mar/14/caffeine-may-reduce-body-fat-and-risk-of-type-2-diabetes-study-suggests

研究チームは従来の研究から、平均70~150mgのカフェインを含むコーヒーを毎日3~5杯飲むことが2型糖尿病や心血管疾患のリスク低下と関連するのではないかと考えました。参考とした論文は観察研究であったため、2型糖尿病や肥満による心血管疾患のリスク低下がカフェインによるものか他の化合物によるものかを特定することは困難であったと研究チームは述べています。


研究チームは、遺伝的証拠によって因果関係を明らかにする「メンデルランダム化」という手法を用いて、カフェインの代謝速度に関連する2つの共通遺伝子変異体を発見し、遺伝的に予測される血中カフェイン濃度とBMIおよび体脂肪の低下が関連していることを明らかにしました。

遺伝的にカフェイン代謝が遅い人は、コーヒーを飲む平均量が少ないにもかかわらず、血中のカフェイン濃度がカフェイン代謝の速い人よりも高くなります。カフェインは代謝を高め、脂肪燃焼を促進し、食欲を減退させることが知られており、1日100mgの摂取で1日のエネルギー消費量が約100kcal増加すると推定されています。そのため、血中カフェイン濃度が高いとエネルギー消費量が増加し、体重減少につながり、結果として2型糖尿病や心血管疾患のリスクが低下するというわけです。


研究チームは、血中のカフェイン濃度と2型糖尿病のリスクの関係について、「さらなる研究が必要ですが、肥満や2型糖尿病を減らすためにカロリーオフのカフェイン入り飲料を飲むと効果がある可能性も考えられます」と述べています。

ウォーリック大学医学部のスティーブン・ローレンス准教授は、今回の研究結果が将来的に有望な治療法を開発するための研究につながる可能性があると述べていますが、一方でメンデルランダム化による評価は比較的新しい手法であり、有用ではあるもののバイアスには弱いと指摘しています。

また、ローレンス准教授は、血中カフェイン濃度を上げることは、摂取カロリーを減らして身体活動を増やすよりも2型糖尿病や心血管疾患のリスク低下の効果が小さいと述べています。加えて、カフェインの摂取で動悸や心拍数の異常が引き起こされる人もいるため、すべての人に適した方法とはいえないとしています。


「肥満や2型糖尿病のリスクを減らすために、人々はもっとコーヒーを飲むべきなのでしょうか。科学的には『カフェインを摂取すると安静時でも脂肪燃焼が促進される』という比較的信頼できるエビデンスがあります。しかし、カフェインの摂取は必ずしも肥満の治療法にはならず、使い方を間違えると体重増加や害になる可能性もあります」とローレンス准教授は述べました。

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