「マザボやPCに標準搭載のノイキャン機能で、マイク側の雑音をどれだけ消せるか試してみた」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(134)【急遽テレワーク導入!の顛末記】

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マザーボードのユーティリティにも、ノイズキャンセリング機能が搭載されていた

 先日は専用のアダプターや「NVIDIA Broadcast」を使って、マイク側のノイズキャンセリングに取り組んでみた。おかげで、ビデオ会議中にキーボードをタイプしても、その音が会議の参加者に聞こえなくなり、他にもいろいろな雑音の除去に役立っている。

……この記事を書いている時点で、東京都でまん延防止等重点措置が解除されてから354日が過ぎた。

 私が勤めている新宿にある中小企業では現在、各スタッフが可能な範囲でリモートによる業務を行っている。その中で、今回は他にもいろいろと身近にあった、マイク側のノイズキャンセリング機能を試してみた。

【今回のハイライト】

ノートPCに機能が標準搭載されていた

「AirPods Pro」とは性能に差が

専用アダプターのAIは優秀

3月6日(月):最近ではPCにノイキャン機能が標準搭載されているようで…

 今日も自宅でテレワーク。ある案件で今年の春モデルPCを借りることになったのだが、メーカー公式のプリインストールアプリを触っていたところ、このモデルにはスピーカーとマイクのノイズキャンセリング機能が搭載されていた。どうやらAIが不要なノイズを認識して、自動で除去してくれるらしい。

機能を有効にすると、周辺ノイズを自動でカットしてくれる

 先日はノイズの除去に「NVIDIA Broadcast」を利用したが、要件として対応するビデオカードを搭載している必要があったので、会社のPCでは使えなかった。それを、こういう形で使えるようにしてくれるのは、PC選びの時に嬉しいポイントになるだろう。

 そういえば、自宅で使っている自作PCでも、マザーボードでプリインストールアプリが用意されていたが、これまでほとんど起動したことがなかった。こういう便利な機能があるのなら、積極的に使ってみたい。

3月7日(火):マザーボードのユーティリティにノイキャン機能が!

 筆者はかれこれ20年以上、自作PCを使い続けており、今は第12世代インテルCPUをベースに組んだデスクトップPCをメインで使っている。このPCにはASUSの「TUF GAMING H670-PRO WIFI D4」というマザーボードを搭載しているのだが、「Armoury Crate」というプリインストールアプリに「双方向AIノイズキャンセリング」機能が用意されていた。

アプリを起動したら、画面左の「デバイス」アイコンからマザーボードを選択。「オーディオ」タブをクリックすると、ノイズキャンセリング機能が利用できた

Zoomの設定で、マイクに「AI Noise-Canceling Microphone(ASUS Utility)」を選択

 この機能ではノイズを除去するレベルを3段階から設定できるらしい。使い方は「NVIDIA Broadcast」とほとんど変わらず、機能を有効にしたら、Zoomのデバイス設定でマイクに「AI Noise-Canceling Microphone(ASUS Utility)」を指定。マイクに話しかけると、音声が「双方向AIノイズキャンセリング」を経由し、ノイズが除去された状態でZoomに送られた。

 今日は会社の全体ミーティングがあったので、「双方向AIノイズキャンセリング」機能を有効にしたまま参加してみたが、どうやら機能は正常に稼働していたらしい。いつものようにキーボードを強めにタイピングしてみたが、その様子が会議に参加中の同僚に聞こえることはなかった。

 その後、ノイズを除去するレベルを変えながら効果を試したところ、レベルが「低」ではタイプ音がかすかに残ってしまったが、「中」と「強」なら問題ないようだ。ただ、人の声については除去できないようで、例えば部屋のドアを開けて家族が声をかけてきた時などは、それがばっちり収録されてしまう。これについては、マイクを収音範囲の狭いヘッドセットに交換しても違いはなかった。

3月8日(水):私物PCにもちゃんとノイキャン機能が入っていた

昨年末に購入した富士通のノートPC「LIFEBOOK WU-X/G2」

 昨年末に私物のノートPCを新調したのだが、今になって調べてみると、このマシンにもノイズキャンセリング機能が搭載されていたらしい。PCを購入した富士通のホームページで確認すると、実に半数以上のモデルで採用されており、今やノイズキャンセリング機能の搭載が当たり前のものになりつつあるようだ。

 というわけで、さっそく使い方を調べてみたのだが、どうやら富士通のノートPC「LIFEBOOK WU-X/G2」では、ノイズキャンセリング機能がスタートアップに登録されているようで、何も操作しなくても自動で起動していた。一応、機能をオン/オフするためのアプリがあるのだが、基本的には常駐させて使うものらしい。

 さらに、本体に内蔵されたマイクにしか効果がないようで、ヘッドセットなどを接続してもノイズが除去されなかった。この仕様もあってか、Zoomでマイクの設定を変更する必要もなく、ユーザーは一切なにもしなくてもノイズを除去してくれるらしい。どうやら、筆者はこれまでも無意識のうちに、この機能のお世話になっていたようだ。

「AIノイズキャンセリング」が標準でスタートアップに登録されている

アプリでは機能を有効にするほか、周囲の人の声を拾う/拾わないの選択も可能

Zoomなどのマイク設定では、ノイズキャンセリング機能をオンオフできない

 さっそく機能をテストしたところ、キーボードのタイプ音をきれいに除去してくれた。ただ、人の声については除去されないようで、2mほど離れた場所から家族に話しかけてもらうと、それをマイクがきちんと拾っていた。「周囲の人の声をカット」のオプションを有効にしてもダメだったので、引き続きこのPCを使う時は、家族に一声かけてからビデオ会議に参加する必要がありそうだ。

 こうしてみると、以前に使った「MAGIC MIC」はノイズキャンセリング専用のアダプターだけあって、ノイズを判別するAIがかなり優秀だったようだ。距離による人の声の違いを識別してくれるので、カフェなどの人の声が常に聞こえてくるような場所でも、周囲の話し声をマイクが拾わない。

 ただ、「MAGIC MIC」はヘッドセットと組み合わせる必要があるので、頭の締め付けやムレなどが気になるところ。自宅では「TUF GAMING H670-PRO WIFI D4」、オフィスでは「LIFEBOOK WU-X/G2」というように、状況に応じて使い分けるのがよさそうだ。

ノイズキャンセリングマイクアダプター「MAGIC MIC」

3月9日(木):「AirPods Pro」にもノイキャン機能が搭載されているが…

 今日は終日外出の予定があったので、「LIFEBOOK WU-X/G2」をカバンに入れて移動することに。途中で急きょプロジェクトのメンバーと簡単なミーティングを行うことになったのだが、そこで「AirPods Pro」を使うことを思いついた。

数年前に購入した「AirPods Pro」(第2世代)

 「AirPods Pro」にもノイズキャンセリングが搭載されており、これをマイクに使ってビデオ会議に参加すると、周囲のノイズを除去してくれる……のだが。こちらは主にファン音などの環境音を除去するものなので、キーボードのタイプ音がそのまま相手に聞こえてしまった。もちろん、耳障りなノイズを消すという意味では効果があるのだが、「LIFEBOOK WU-X/G2」や「MAGIC MIC」などのノイズキャンセリング機能を搭載したデバイスがあるなら、そちらを使った方がよさそうだ。

 身近にあったマイク側のノイズキャンセリング機能を一通り試すことで、自宅や会社、外出先のカフェなどで、環境に合わせてどのデバイスを使うべきかを把握できた。これで今まで以上に快適にビデオ会議がこなせそうだ。

とある中小企業に勤める会社員、飛田氏による体当たりレポート「急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記」。バックナンバーもぜひお楽しみください。

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