当サイトの5周年企画で、ライター仲間の大北君とともに北海道に行ってきた。
僕たちが目指したのは北海道の東端、標津町という町。そしてこんなかんじで5周年企画は無事終わったのだが、実は、僕たちにはまだ大きな課題が残されていた。
コネタを集めつつ3日間さまよった道東、のこり1泊2日の様子を、現地で見つけたコネタをはさみつつお届けしたい。
※2007年10月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
朝から暴風雨
5周年企画は無事に終わったが、僕たちにはまだ、2つの大きな課題が残されていた。
1つめは、北海道でのネタ探し。はるばる北海道までやって来て、手ぶらで帰ってはウェブマスターに合わせる顔がない。ここはなにかネタを持ち帰らねば。
そして2つめ。帰りの飛行機の確保。1日1便しかない中標津→羽田の飛行機の席が、もたもたしていたら埋まってしまったのだ。
そんな2つの心配ごとを胸に、迎えた2日目の朝。目覚めて窓の外を見ると、いきなり暴風雨だった。風がごうごううなりをあげ、雨が窓をたたきつける。なんて不安なきもちなんだ!
おはよう、暴風雨。挨拶も軽やかに、今日の予定を確認する。午前の予定は、大北君の記事のために、標津の自然公園で山に登って写真撮影だ。暴風雨だけど。
考えてみれば、今回の旅は逆境ばかりだ。昨日の5周年企画でも、他のライター陣がファンの方に会ったり飲み屋で飲んでいるあいだ、僕たちは北海道の闇夜の中をあてもなくふらふらとさまよい、リアルタイム更新のブログに真っ黒な写真ばかり貼り付けていた。
あのあと、大北君と僕はホテルの部屋で、こんなことを語らいながら杯をかわしたのだ。「将来は大物ライターになって見返してやろうな。まずは明日いい写真を撮って、その第一歩を踏み出そう!」。
しかし、夜が明けてみれば外は暴風雨。なんて険しいんだライター道(と北海道)は。
とにかく、ライター道(と北海道)を極めるために、いまは前進あるのみ。暴風雨にひるむことなく、撮影を敢行するのだ!
重い足取りでポー川自然公園へと向かう。
撮影地は、5周年記念企画でも訪れた、ポー川自然公園。ポー川のさらに奥には森が広がっていて、その中で撮影をするのだ。
森に入る頃には雨は少し弱まっていたが、雨を吸い込んだ地面は相変わらず泥。2、3時間かかって撮影はなんとか無事終わったが、大北君は新しい白のカバンにたっぷり泥をしみこませていた。
この写真の記事は来週の火曜日に掲載予定です。お楽しみに。
牛乳を使ったビールがある |
ミルクのビール、その名も「ビルク」突然ですがコネタです。今回の記事はこうやって唐突にコネタを挟み込んでいきますので、心臓の弱い方はお気をつけください。 さて、中標津産ビール、「ビルク」。名前でなんとなく予想がつくが、このビール、牛乳を配合して作られている。これまでもいろいろなメディアで紹介されたようで、話題性に生産が追いついていない状態。「少ししか入ってこないからねえ」と漏らす酒屋のおばちゃんを尻目に、冷蔵庫に5本だけ残っていたのを2本確保した。 グラスに注いでみると泡は少なめで、味は甘い。ビールの苦味はあまり感じられなくて、むしろシャンパンのような味だった。 ミルクビールの他に、中標津には牛乳ラーメンなんてのもある。なんでもこのあたりでは牛乳が余っているらしく、たくさん捨てているのだという。もったいないのでなんとか転用できないか、と考案されたのがこれらのミルク商品らしい。 |
根室へ移動
昼食を済ませると、中標津空港からバスに乗って根室へ向かう。中標津空港からは東京行きの飛行機が1日1便しか出ていないので、陸路で別の空港に移動しようという算段だ。
根室駅は、有人駅としては日本で最も東にある。バスを降りると、空はうす曇り。なんだか荒涼とした駅前の風景に、「最果て」という言葉が頭をよぎった。店もあんまりなさそうだ。頭の中にポワワと浮かんでいた今日の晩御飯、北海道の海の幸が、音を立てて崩れていく。
しけったせんべいがうまい |
根室独特のお菓子・オランダせんべい新天地でのネタ探しはまずスーパーから。まず目を引いたのは、充実した魚売場と、この根室オランダせんべいだ。せんべいと聞いて、パリッとした歯ごたえを期待してかじりつくと、実はグニャリとやわらかい。見た目がワッフルみたいだが、そこまでふんわりしたものでもなく、なんだかしけった感じの食感だ。 原材料は小麦粉と砂糖、塩、膨張剤のみの素朴な味わい。「たい焼きの皮の味」と評する人も。 東京に帰ってから、このお菓子を配ってみてわかったのだが、身の回りに「しけったお菓子がすきな人」というのが実はかなりの割合でいるようだ。そしてこのオランダせんべい、しけったお菓子好きには大好評だった。 |
夕日が見たい
根室でしばらくコネタ探しをしていると、いつの間にか日も傾き、あたりはだいぶ暗くなっていた。
駅前には大きな道路があり、道路のずっと向こうには海が見える。その海の辺りで、空が黄金色に染まってきているのに気づいた。海までは歩いても行けそうな距離だ。せっかくだから夕日が見たい。この辺できれいな夕日を見てちょっといい思いをすれば、旅の前半の苦労を少しくらい挽回できるじゃないか。早足で海に向かう。
港に着く頃には太陽は沈んでしまったけれど、まだ空には金色が残っていた。水平線も見えないし、特に夕日のきれいなスポットではない。それでも日常から遠く離れた土地で見る夕日はなにか特別なような気がして、格別に美しく見える。そのきれいな色を何とか写真に残したくて何度もシャッターを押すのだけど、自分の技術もカメラも、目の前のあの光には全然届かない。歯がゆい。
旅先のきれいな空に感じるのは、いつも無力感だ。旅愁とはこんな気持ちのことを言うのだろうか。
日が沈んだあと、港で少しだけ大北君の記事の撮影をする。大北君が大声を出すと、周りから次々に人が4人くらい出てきて、車に乗り込みエンジンをかけ始めた。
よそ者が港の秩序を乱したために、地域の自衛団が制裁を加えに来たのかもしれない。車で追い回されるのか。マンガに出てきた閉鎖的な町を思い出してして緊張してしまったのだが、たまたま同時に人が出てきただけだったみたいだ。胸をなでおろして港を後にした。
この日の夜はホテルの人に飲み屋街を教えてもらい、やっとおいしいものにありつけた。これでこそ北海道。不遇の旅も、だんだん運が上向いてきた!
デミグラスソースご飯「エスカロップ」 |
道東コネタ:デミグラスソースご飯「エスカロップ」根室以外では食べられない、でも根室の喫茶店にはどこでもある、といわれるのがこのエスカロップ。タケノコ入りのバターライスに、薄いとんかつを乗せてデミグラスソースをかけたものだ。別の土地の似たような食べ物でデミカツ丼やトルコライスなんてのもあるが、根室にはこのエスカロップだ。 元祖エスカロップの店、根室駅前にあるニューモンブランで食べてみた。ごはんとデミグラスソースのミスマッチを楽しむB級料理かと思いきや、バターライスとデミグラスソースがよくあっていて、上品な洋食。普通においしい。B級感はまったくない。 ちなみにニューモンブランのメニューには、オリエンタルライス、ビドックライスなんてのもあった。今回は満腹で食べられなかったが、どんなものか聞いてみたところ、オリエンタルライスはドライカレーに牛肉、ビドックライスはチキンライスにミートボールを乗せたものだそうだ。 親切な店員さん注文を待つあいだ、店員さんに「これからどこ行くんですか?」と尋ねられた。特に予定も決まっていなかったので、「ちょっと海でも見ようかと思って」と適当なことを言ったところ、「じゃあ急いで行かないとバス間に合わないよ」「こっちのメニューが早く出せるからこっちにしなさい」と予想外の親切心を見せられ、危うくエスカロップを食い逃すところだった。 「いや、ダメなら明日行くんで大丈夫ですよ(これも適当)」、「明日だったら、ちょっと待ってね…(バスの時刻表を調べに店の奥へ)」。明日も海に行く予定はない。わざわざバスの時間を調べ、バス停の場所を丁寧に説明してくれる店員さんに、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。 |