貝殻を耳にあてると、波の音がするという。
調べてみるとあれは外の雑音が貝殻の中で反響した音だとか、耳の中でしている音が増幅されたのだとか、いくつか説があるようだ。
一方で、いつも握っているマウス。あれも耳にあてると音がすることをご存知だろうか。
波の音とは違う、いうなれば…電子の音、といった感じだ。
個性あふれるマウスの声
何を思ってのことだったか全く覚えていない。ある日、ただ何となく、マウスを耳にあててみたのだ。
そうすると、音がしたのである。とても小さな、「ミィーーーー」という高い音だった。
それがずっと気になっていて、このたび改めて聞き比べてみることにした。
マウスの音を聞くコツは
- 静かな部屋できく(ごく小さな音だ)
- 電源を入れた状態できく
- 動かしたりボタンを押したりしてみる(音が変わるので気づきやすい)
- 数分続ける(音が常時でなくたまに鳴る機種もある)
- なかには全く音がしないマウスもある
以上だ。
それぞれのサウンドを録音することに成功したので、動画とコメントでご紹介する。
M215(ロジクール)
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ビーー、という感じの濁った持続音で始まり、9秒ごろからはピーガガガガという感じの昔のモデムやFAXみたいな音も現れる。小さいのにいっしょうけんめい信号を送っとるなという感じがしてかわいい。
M545(ロジクール)
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耳を澄まさないと聞こえにくいかもしれない。健康診断の聴力検査で出てくるみたいな「キーン」という高音だ。ビルの入り口にあるネズミ除けのような音。マウス(ネズミ)からネズミ除けが出ているのは矛盾があって面白い。
音色に変化はあまりなく、また断続的でもある。動画だと序盤と終盤がよく鳴っている。
BSMOW20S(バッファロー)
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「カリカリカリカリ」という短い音と「ブー、ブー」という短いブザー音が重なり、一定のリズムを刻んでいる。そこにたまに合いの手のように「ピッ」とか「キュイッ」とか短いノイズが入ってくる。とても音楽的だ。実験音楽家の池田亮司作品のようである。
ハムスターマウス
これは全くの無音だった。
動画の音声は録音後に調整したものだ。実際にはこんなにはっきりした音ではなく、すごくかすかな音がするのみである。
しかしそれが逆に、秘密の音をこっそり聞いている感じがして楽しい。
なぜ音が出るの?
この音についてマウスを作っているメーカー2社に問い合わせた。一社からは「意図した仕様ではないので詳細は回答できないが、電子回路なので高周波が発生する可能性はある」とのことだった。もう一社からは回答がなかった。
実際どの部品から音が出ているのか確かめたいと思い、さっき聞いたのと同じ型番のマウスをネットオークションで購入した。
基板の色も違えば、配線の細かさも部品の数も全然違う。どうも偽物が出回っているようだった。思いがけずインターネットの闇に直面した。