2024年の「iPhone」はアップル独自モデムを採用と想定–クアルコムCEO

CNET Japan

 Qualcommは米国時間3月1日、Mobile World Congress(MWC)で業界にいささか衝撃的なニュースを投下した。それは2024年モデルの「iPhone」向けにモデムを提供する計画はないというものだ。この発言は、Appleが手ごろな価格の次期モデル「iPhone SE」(第4世代)を皮切りに2024年から自社モデムを採用する意向だという、今週に浮上したアナリストの予想とも一致する。


提供:Patrick Holland/CNET

 Qualcommの最高経営責任者(CEO)であるCristiano Amon氏は、バルセロナで開催中のMWCの席上でCNBCに対し次のように語った。「われわれは2024年の計画は立てていない。私の想定では、2024年に当社は(Appleに)モデムを提供しないとみている。だがそれはAppleが決めることだ」

 Appleは、Qualcomm製チップの採用について考え直す可能性もあるが、このCEOからの情報は、独自のハードウェアを用いてiPhoneをモバイルネットワークや衛星に接続するという、予想されていた目標にAppleが近づいていることを示唆するものだ。Qualcommのコメントも、決定権をAppleにゆだねている。

 1月、Appleに詳しいアナリストのMing-Chi Kuo氏は第4世代のiPhone SEシリーズの開発が中止されたと述べていた。しかし今週になって、自身の予測をツイートした一連の長いスレッドで、iPhone SEの開発が再開されたとみており、Appleが社内で開発したモデム、すなわち5Gベースバンドチップの最初のバージョンがこれに搭載される見込みだと伝えた。

 AppleがiPhoneのアンテナ機能を担う独自のベースバンドチップの開発を目指しているといううわさは、何年も前から流れていた。Kuo氏も2021年の時点で、Appleが早ければ2年以内にQualcomm製チップの使用をやめて自社製に切り替える可能性があると予測していた。しかし、独自の接続ハードウェアの開発が思うように進まず、その取り組みは遅れているようだった。

 Kuo氏の最新予測は、Appleが自社開発のベースバンドチップの製造に関する問題の少なくとも一部を解決した可能性を示唆している。同氏によれば、そのチップは5GのSub6周波数帯のみに対応する見込みだという。Sub6とは5G周波数帯の中のミッドバンド帯域のことで、世界中のほとんどの通信事業者が5Gネットワークに利用している。

 Appleのベースバンドチップが、5Gの中でも高速なミリ波や緊急SOS発信用の衛星通信に対応するかどうかはまだ不明だ。そのため、このチップを採用可能な最初のフラッグシップiPhone、つまり2024年に登場予定の「iPhone 16」シリーズが、実際にこのチップを搭載するかどうかは、Kuo氏にも分からないようだ。

 2024年上半期に第4世代iPhone SEの量産が円滑に進めば、次は「iPad」や「Apple Watch」にこのチップが搭載される可能性があると、Kuo氏は伝えている。そうなれば、Qualcomm製の接続チップへの発注量は今よりはるかに少なくなるだろう。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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