Intel、vRANに特化した第4世代Xeon SP。楽天モバイルなどが採用予定

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Intelが発表した「vRANブースト対応第4世代Xeonスケーラブル・プロセッサー」

 Intelは2月27日よりスペイン・バルセロナ市で開催中のMWCに出展し、通信キャリア向けのソリューションなどを公開。通信キャリアのコアネットワークの仮想化に特化した「vRANブースト対応第4世代Xeonスケーラブル・プロセッサー」(vRANブースト対応第4世代Xeon SP)を発表した。

 vRANブースト対応第4世代Xeon SPは、従来世代に比較して同じ消費電力であれば2倍の性能を実現することが可能になっており、vRANの消費電力を削減することに貢献し、性能を向上させられる。

通信キャリアのvRANに特化したvRANブースト対応第4世代Xeon SP

世界中の通信キャリアでコアネットワークをvRANにすることが進んでいる(出典:Intel at MWC 2023、Intel)

 vRANブースト対応第4世代Xeon SPは、開発コードネーム「Sapphire Rapids EE」で知られる第4世代Xeon SPの通信キャリアのコアネットワーク仮想化(vRAN)に特化した製品となる。Xeon SPを利用したvRANに関しては、既に国内では楽天モバイルなどがXeon SPの採用を明らかにしているほか、グローバルでも採用が進んでおり、Intelによれば世界中で導入されているvRANのほぼすべて(英語ではNearly All)がIntelベースになっているという状況になっているという。

Intelによれば、2023年の終わりまでに90%のコアネットワークの仮想化が進む見通し、そのほぼすべてがIntelベースになっているという(出典:Intel at MWC 2023、Intel)

 Intelは「リアルワークロード」と呼ぶ、顧客のアプリケーションを高速化するソリューションに注力しており、第4世代Xeon SPでは4つのハードウェアアクセラレータと2つの新拡張命令を搭載し、それらを活用することで顧客が必要とするワークロードで性能を向上させることが可能とアピールしている。

 今回発表されたvRANブースト対応第4世代Xeon SPは、そうした第4世代Xeon SPとハードウェアアクセラレータ、新拡張命令と対応したソフトウェアを組み合わせることで、大きな性能向上を実現できる。

vRANブースト対応第4世代Xeon SPでは同じ消費電力であれば性能は2倍になる(出典:Intel at MWC 2023、Intel)

 具体的には、従来のサードパーティなどの外部アクセラレータと組み合わせて実現されていたvRANの機能を、第4世代Xeon SPだけで実現でき、かつ同じ消費電力であれば2倍の性能を実現。それに加えてアクセラレータを活用すると、さらなる20%の消費電力の削減を実現することが可能だという。

Intel Infrastructure Power Manager for 5G Core reference softwareを活用すると消費電力を最大30%削減できる(出典:Intel at MWC 2023、Intel)

 また、通信キャリアのIntelベースの仮想化されたコアネットワークの消費電力を削減するソフトウェアツールとして「Intel Infrastructure Power Manager for 5G Core reference software」を、Casa Systems、NEC、NokiaといったOEMメーカー経由で提供開始。Intelの第3世代Xeon SPや第4世代Xeon SPベースのシステムを監視し、必要な電力制御を行なうことで省電力を実現する。Intelによれば最大30%の消費電力の実現が可能になるという。

 vRANブースト対応第4世代Xeon SPは、既に出荷を開始しており、商用採用は今年(2023年)の後半になる見通し。サポートする予定のベンダーとしてはAdvantech、Capgemini、Canonical、Dell Technologies、Ericsson、Quanta Cloud Technology、Red Hat、SuperMicro、Telefonica、Verizon、VMware、Vodafone、Wind Riverなどと並んで、日本の楽天モバイルが挙げられている。

CDN向けのIntel Converged Edge Media Platform、FPGAやASICベースのIPUを発表

MWC 2023での発表のまとめ(出典:Intel at MWC 2023、Intel)

 また、IntelはCDN(Content Delivery Networks、コンテンツ配信ネットワーク)向けのソリューションとして「Intel Converged Edge Media Platform」の提供を開始することを明らかにした。

 CDNは、簡単に言ってしまえば「Netflix」や「Amazonプライム・ビデオ」のような動画配信サービス、また「NVIDIA GeForce Now」や「Microsoft Xbox Cloud Gaming」のようなクラウドストリーミングゲーム配信サービスなどにおいて、地理的に分散するサーバー群のこと。こうしたサービスはネットワークの帯域を消費するほか、低レイテンシである必要があるため、通信キャリアのコアネットワークや基地局のようなユーザーに近い場所に「エッジ・メディアサーバー」と呼ばれるサーバーを置くが、この分野にIntelが注力することになる。

 今回Intelが発表したIntel Converged Edge Media Platformも、そうしたIntelのCPUとGPUを組み合わせて提供されるエッジ・メディアサーバーとなる。

 また、そのほかにも、Intelは第4世代Xeon SPと組み合わせて利用するFPGAベースのIPU(Infrastructure Processing Unit)として「Agilex 7 FPGAs」 「eASIC N5X」を発表したことを明らかにした。

 Intel Agilex 7 FPGA AGI 041は400Gbpsのネットワークを実現するIPUで、仮想マシンやストレージの制御といった制御系の負荷をCPUからオフロードし、CPUの性能を引き上げるものとなる。また、固定機能を持つIPUとなるN5X080はFPGAに比べて50%の電力を削減することが可能になるという。

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