対話型AIのChatGPTはコーディング試験に合格したり複雑なプラグインを5分で完成させたりするほどの実力を持っていますが、時にはまったく見当違いの受け答えをすることもあります。ChatGPTが「電話番号から位置を割り出すAPIをとある企業が提供している」と答える例が頻出していることを受け、その企業が問い合わせにうんざりして「そんなものはない」と声明を出す羽目になっています。
Don’t believe ChatGPT – we do NOT offer a “phone lookup” service
https://blog.opencagedata.com/post/dont-believe-chatgpt
住所から緯度・経度を割り出したり、あるいはその逆を行ったりするAPIを提供している企業・OpenCageによると、最近になってChatGPTが「OpenCageのAPIを使うと電話番号から端末の位置を割り出せる」と答える例が増えているとのこと。以下がChatGPTとの実際の受け答えを写したスクリーンショットですが、ChatGPTはスクリプトまで書き出しているため、いかにも本物っぽく見えてしまいます。
しかしながら、OpenCageの共同創業者であるエド・フレイフォーグル氏は「そのようなAPIは提供していませんし、今後提供する予定もありません」と一蹴。ChatGPTを信じてOpenCageを利用しようとするユーザーが増えていることを懸念して、ユーザーに警告を発しました。
実際に、ChatGPTが案内する機能はOpenCageの技術的に提供不可能な機能だそうです。しかし、ChatGPTの言うことを真に受けてしまったユーザーから毎日のように「なぜ動かないのか」という問い合わせが送られてきているとのこと。
フレイフォーグル氏は「なぜChatGPTがこのサービスを案内したのかと疑問に思うかもしれませんが、それは間違いなく、以前取り上げたYouTubeの誤ったチュートリアルのせいでしょう。ChatGPTはその内容をピックアップしています」と指摘。というのも、OpenCageは2022年4月頃にも「電話番号を入力するだけで端末の位置を割り出せるというのは本当?」という問い合わせを受けていましたが、このときOpenCageの使用方法を紹介するYouTuberの情報が明らかに誤っていることが判明していたのです。
1年越しに改めて同じ問題が浮上したことについて、フレイフォーグル氏は「重要な違いは、人間は他の人間からアドバイスを受けるときは疑い深くなりますが、一般的なAIやChatGPTに関しては完全に疑わないということにあります。また、前回は動画を見たほんのひとにぎりのユーザーの対処で済みましたが、今回は規模が数段大きくなっています」と指摘。この声明を今後問い合わせてきた人に見せるために残しておくとし、最後に「この記事はAIではなく、人間が書いたものです」と付け加えました。
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