NECは1月17日、13.3型で1kgを切るノートPC「VersaPro UltraLite タイプVN<VN-F>」を発表、1月23日から販売を開始した。編集部から実機が送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。
13.3型で1kgを切ったビジネス向けノート
この日発表のあったノートPCは、13.3型「VersaPro UltraLite タイプVN」、14型「VersaPro UltraLite タイプVG」、15.6型「VersaPro タイプVW」。搭載プロサッサは順にCore i5-1235U、Core i7-1255UまたはCore i5-1235U、そしてRyzen 5 7530U。UltraLiteが付くモデル=13.3型と14型は1kgを切り意欲的なモバイルノートに仕上がっている。
今回手元に届いたのはこの中の13.3型「VersaPro UltraLite タイプVN」。Secured-core PC、vPro Essentials、BIOS自己回復に標準対応し、セキュリティ面も万全な法人向けモデルだ。主な仕様は以下の通り。
プロセッサ | Core i5-1235U(2P+8E/10コア/12スレッド/~4.4GHz/キャッシュ 12MB/Base 15W/Turbo 55W)、vPro Essentials対応 |
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メモリ | 8GB(オンボード固定)/LPDDR4X |
ストレージ | SSD 256GB(NVMe M.2) |
OS | Windows 10 Pro(64bit/11からのダウングレード)/22H2 |
ディスプレイ | 13.3型IPS式1,920×1,080ドット(16:9)、非光沢 |
グラフィックス | Intel Iris Xe Graphics/HDMI、Type-C |
ネットワーク | GbE、Wi-Fi 6E対応、Bluetooth 5.1 |
インターフェイス | USB 3.2 Gen2 Type-C×1、USB 3.2 Gen2 Type-A×2、720p(IR対応) Webカメラ、音声入出力 |
バッテリ駆動時間 | 最大約12時間(バッテリM装着時)/約18時間(バッテリL装着時) |
サイズ/重量 | 307×216×179mm、重量約993g(バッテリM装着時)/約1.044g(バッテリL装着時) |
税込価格 | 34万円から(今回の構成で35万3,000円) |
プロセッサは第12世代Alder LakeのCore i5-1235U。2P+8Eの10コアで12スレッド。クロックは最大4.4GHz。キャッシュ 12MB、TDPはBase 15W/Turbo 55W。vPro Essentialsにも対応する。タイプVGのように上位SKUのCore i7を選べないのは少し残念なところか。
メモリはLPDDR4Xの8GBまたは16GB。オンボード固定となる。ストレージは128GB~1TB SSD。手元に届いたのは8GB/256GBとなっていた。OSはWindows 11/10 Pro 22H2またはWindows 10 IoT Enterprise 2021 LTSCを選択できる。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel Iris Xe Graphics。外部出力用にHDMIとType-Cを装備している。ディスプレイは非光沢の13.3型IPS式1,920×1,080ドット(16:9)。
ネットワークはGigabit Ethernet、Wi-Fi 6E対応、Bluetooth 5.1。インターフェースは、USB 3.2 Gen2 Type-C×1、USB 3.2 Gen2 Type-A×2、720p(IR/Windows Hello対応) Webカメラ、音声入出力。Webカメラ及び指紋センサーはオプションとなる。なお、GbEのコネクタは薄型の筐体に収納するためちょっとした工夫をしている。中盤に写真を掲載してあるので参考にしてほしい。
バッテリはMサイズもしくはLサイズを搭載可能。駆動時間はそれぞれ最大約12時間と約18時間となる。サイズ307×216×179mm(幅×奥行き×高さ)。重量はMバッテリ時約993g、Lバッテリ時約1.044g。前者だと1kgを切りこのクラスとしては軽量となる。
価格は今回の構成で構成で35万3,000円。Windows 11 Pro/128GBのベースモデルだと33万9,000円となる。法人向けなので高めだが、同等仕様のWeb直販サイト「得選街」専用モデル「VersaPro J UltraLite タイプVN(タイプVN-F)」の価格は、19万3,710円からとなっている(3月16日までのキャンペーン価格。通常価格は19万8,110円より)。
筐体はマットブラック。写真のように飾りっけが全くないものの、これはこれでカッコいい。重量は実測で978g。13.3型で1kgを切ると、見た目とのギャップで持った時余計に軽く感じる。
前面はパネル中央上にシャッター付きのWebカメラ。左右のフチは結構狭い。左側面にUSB Type-C、SDカードスロット、下に押すと飛び出るGbEコネクタ。右側面にロックポート、HDMI、USB Type-A×2、音声入出力。付属のACアダプタはサイズ約約90×39×29mm、重量188g、出力45W。
さて、この下に押すと飛び出るGbEコネクタ、写真から分かるように昔のXJACK採用モデムカードを思い出す。ただし、XJACKはコネクタを上から刺したが、これは横から刺すので、ケーブルが宙に浮いて邪魔になることはない。
薄くて軽いと気になるのは強度だが、同社のサイトによると「満員電車の圧迫を想定し150kgfクラスの面加圧試験、25kgfの点加圧試験をクリア(非動作時)。さらに机の高さからの落下を想定し、76cmの高さから落下させて内蔵SSDのデータに破損がないことを確認する試験を実施しています(非動作時)」……とのことで大丈夫そうだ。
13.3型のディスプレイは、非光沢で長時間の使用でも眼が疲れにくく、明るさ、コントラスト、視野角、発色全て良好。ただ個人的には他社が16:10など16:9離れし始めているので追従してほしかったところか(参考までに14型のタイプVGは1,920×1,200ドットの16:10)。
i1 Display Proを使い特性を測ったところ、最大輝度439cd/平方mと明るい。写真の鑑賞/編集で最適とされる標準の明るさ120cd/平方mは、最大から-7が127cd/平方m、-8が83cd/平方m。従って前者で計測。黒色輝度は0.081cd/平方mと気持ち浮いている。リニアリティは、若干乱れもあるが結構揃っている方だろう。
キーボードはアイソレーションタイプのJIS標準配列の85キー。キーピッチは実測で約19mm。仕様ではキーピッチ19mm、キーストローク1.5mm。スペースキーの右に少し狭いのもあるが、ほかは揃っている。パネルを開くと下の部分が足になり、キーボード面が若干傾き入力しやすい。打鍵感は微妙にたわむのが気になるものの概ね良好だ。タッチパッドはボタンのないプレート式。パームレストも十分広くストレスなく操作できる。
Webカメラの画質は720pなので、全画面だと解像度が足らず荒くなる。4分の1の画面程度で使うなら……というところだろうか。画質も普通。昨今よく使うだけに、もう少し良くなってほしい感じだ。
ノイズは試用した範囲では全く気にならず。発熱もベントマークテストなど負荷をかけると、裏の中央より上辺りが暖かくなる程度だった。サウンドは、スピーカーが裏手前左右にあるため音が机などに反射し耳に届く。ノートPCによくあるカマボコレンジで、パワーもそれなり。業務用なので……と言ったところか。
通常業務向けには十分なパフォーマンス
初期起動時、スタート画面はNECグループが追加されている以外は壁紙も含めWindows 10標準のままと、コンシューマ向けとは違いあっさりしている。Core i5-1235U(2P+8E/10コア/12スレッド)でメモリ8GB、SSDなのでブートやアプリの起動/作動など(ノートPCとしては)サクサク動く。
ストレージはNVMe M.2 SSD 256GBの「KBG5AZNV256G LA KIOXIA」。仕様によると、シーケンシャルリード3,400MB/s、シーケンシャルライト1,900MB/s。CrystalDiskMarkの値もリードが気持ち遅めだが、ほぼそのまま出ている。C:ドライブのみの1パーティションで約236.25GBが割り当てられ空き204GB。BitLockerで暗号化されている。
GbEはIntel Ethernet Connection I219-LM、Wi-FiはIntel Wi-Fi 6E AX211、BluetoothもIntel製だ。
主なプリインストールのソフトウェアは、「PC設定ツール」、「ウィルスバスタークラウド」、「型番・製造番号表示ユーティリティ」、「CyberLink Power2Go 8」、「YAMAHAサウンド設定」など。
YAMAHAサウンド設定はWeb会議支援機能として、集音範囲をマイク前後に絞り周囲の雑音を抑制する「ビームフォーミング機能」が追加された。従来のノイズサプレッサー機能、タイピング音抑制機能と併用でき、更に快適なコミュニケーションが可能になる。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R23、CrystalDiskMark、PCMark 10/BATTERY/Modern Officeを使用した。パフォーマンスはi7やi9搭載モデルには負けるとは言え、一般的な業務用途であれば十分なパフォーマンスだ。
PCMark 10/BATTERY/Modern Officeは6時間42分(電源モード/バランス、明るさ、バッテリモードなどはシステム標準)。仕様上の最大約12時間と比較してちょっと短めだが、テスト内容相応だろう。Lバッテリにすれば伸びると思われるが、その分、重量とのトレードオフとなる。
ベンチマーク結果 | |
---|---|
PCMark 10 v2.1.2574 | |
PCMark 10 Score | 5,044 |
Essentials | 10,137 |
App Start-up Score | 13,542 |
Video Conferencing Score | 8,275 |
Web Browsing Score | 9,298 |
Productivity | 6,541 |
Spreadsheets Score | 6,408 |
Writing Score | 6,677 |
Digital Content Creation | 5,252 |
Photo Editing Score | 8,496 |
Rendering and Visualization Score | 2,851 |
Video Editting Score | 5,984 |
PCMark 8 v2.8.704 | |
Home Accelarated 3.0 | 4,546 |
Creative Accelarated 3.0 | 4,929 |
Work Accelarated 2.0 | 3,172 |
Storage | 5,025 |
3DMark v2.25.8056 | |
Time Spy | 1,369 |
Fire Strike Ultra | 982 |
Fire Strike Extreme | 1,873 |
Fire Strike | 3,637 |
Sky Diver | 12,960 |
Cloud Gate | 19,404 |
Ice Storm Extreme | 90,385 |
Ice Storm | 114,132 |
Cinebench R23 | |
CPU | 6,410 pts(8位) |
CPU(Single Core) | 1,493 pts(2位) |
CrystalDiskMark 6.0.0 | |
Q32T1 シーケンシャルリード | 2913.180 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 1990.973 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 629.358 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 304.470 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 401.315 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 312.242 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 68.048 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 120.377 MB/s |
以上のようにNEC「VersaPro UltraLite タイプVN<VN-F>」は、Core i5-1235U/8GB/256GBを搭載した13.3型ノートPCだ。最大の特徴はMバッテリ時で1kgを切ること。鞄などへ入れ楽々持ち運ぶことができる。もちろん強度も十分。
長年続いているシリーズなだけに(価格はともかくとして)特に欠点らしい欠点もなく、Secured-core PC、vPro Essentials標準対応も含め、安心して企業にお勧めできる1台と言えよう。
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