Microsoftは、教育関係者向けオンラインイベント「Reimagine Education2023:これからの教育のかたち」を開催。学習を支援する「Learning Accelerators」やWindows 11の強化を行なうことを発表した。
イベントの冒頭に登場したサティア・ナデラCEOは、「この数年間は、学習を支援する包括的でアクセスしやすいプラットフォームの必要性を浮き彫りにした。このイベントでは、学習アクセラレータと呼ばれる重要で新しいカテゴリを導入し、学生の読み書き、数学などの基本的スキルを強化する」とイベント開催の狙いを説明した。
4種類の“学習アクセラレータ”
このオンラインイベントは、米国、日本をはじめ全世界40カ国に公開された。教育の質を向上させるための新しいテクノロジーとそれを活用する教育現場の様子が、マイクロソフトコーポーレーション バイスプレジデント エデュケーションマーケティング ペイジ・ジョンソン氏の進行のもと紹介された。
新しい学習ツールとして、音読を強化する支援を行なう「Reading Progress」と「Reading Coach」、数学を強化する支援を行なう「Math Progress」と「Math Coach」、教育にまつわる検索を強化する支援を行なう「Search Progress」と「Search Coach」、スピーチに関する強化を支援する「Speaker Progress」と「Speaker Coach」の4種類が提供される。
Reading Progressは、Microsoft 365オンラインのアプリの一部として提供される。児童・生徒が教科書などの読み上げを行なうと、流ちょうに読めているのかなどを判定する。特定の単語の発音が課題となっている場合は、その単語にフォーカスし、きちんと発音できているのかの判定も行なう。
Reading Coachは練習の成果は教師と共有し、生徒個人がどこに課題を持っているのか、それを改善するためにどんな練習を行っているのかについて把握できるようにする。
Math Progressは、数学の進捗状況にあわせた課題を作成し、それをクラスに配布することができる。生徒側は方程式を解き、教師に質問することや成果を教師に提出することができる。日本に照らし合わすと、小学校4年生から中学校3年間に学ぶことにフォーカスした機能となる。
Math Coachは、教師側は過去数年間に遡って、生徒の進捗状況を把握することができる。
Search ProgressとSearch Coachは、新しい教育カテゴリのツールとなるアプリケーション。教員はMicrosoft Teamsアプリとして利用することができるようになる。学習者が信頼できるリソースを特定するのに役立つために、安全な環境で検索能力とメディアリテラシースキルを強化する無料のアプリケーションだ。
より効果的な検索クエリを示す方法として、正しい質問をすることで正しい答えを得ることができる。そこでSearch Progressには、ドメイン・ファイルタイプ・日付・演算子と4つのボタンと検索のヒントを設けたUIを用意。毎日、ローテーションしてより良い検索結果を出す練習の場として活用できる。
例えば、「犬と猫ではどちらが優れているのか?」と検索しようとした場合、クエリーを入力するだけでは、「何故、犬は猫よりも優れているのか」という理由を結果として得ることはできない。そこで検索のヒントとして、「より良い」などの単語を足すことで、望む結果に近い答えが表示されることになる。
「宇宙飛行士は宇宙で何を食べているのか?」を調べる場合、ドメインボタンを押し、USドメイン、それも政府関連のドメインだけにフィルタリングするという設定をすることで、米国の政府系サイトが発表している宇宙飛行士が宇宙で食べているものを探し出すことができるようになる。
生徒が検索に関する学習を行なう中で、教師はどの生徒がどんな検索を行なって答えを得ているのかについても把握することができるようになる。クエリのソースを表示することによって、生徒の思考が理解できるようになる。
2023年後半には、Microsoft Edge内の導入することも計画され、学校以外でも利用者の思考を理解できるようになっていく予定だ。
Speaker Progressは、チームでスピーカーの進捗状況を指導し、進化を把握するためのツール。生徒がプレゼンテーションを行なう際、スピーキングだけでなくボディランゲージが上達するためのサポートも行なう。コミュニケーションスキル向上のためのツールだ。生徒と教師が、プレゼンテーションスキルの主要な分野と改善点をまとめて見ることができる。教師は、自動的にアップロードされた生徒の録音を確認し、さらに進捗状況を確認する。教育インサイトを通じて生徒のニーズを短時間で特定することができるようになる。
生徒は自分が行なうのがプレゼンテーションなのか、スピーチなのか、フリースタイルなのかを選択し、ピッチやボディランゲージなど自分が指定した観点からチェックを行なう。
利用についてはSpeaker Coachは、PowerPoint、Teams、LinkedInに内蔵される。Speaker Progressは、Teamsで利用できるようになる予定となっている。
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