Appleの小売店について毎週ニュースレターを書いているマイケル・スティーバー氏によると、ニュージャージー州ウッドクリフレイクにあるAppleストア「Tice’s Corner」は、1月31日から改装のために一時的に閉鎖されるとのこと。
2001年11月にオープンしたこの店舗は、2001年のオリジナルの店頭デザインを持つ、Appleの唯一の小売店舗です。
*Category:テクノロジー Technology *Source:MacRumors ,Apple ,The New York Times
2001年オープンの最後のAppleストアが改装
スティーブ・ジョブズは常にデザインを重要視していましたが、これはAppleストアも例外ではありませんでした。2001年にオープンした最初のAppleストアのデザインには、ジョブズが深く関わっており、細部に至るまで完璧を期すことに気が配られています。
ジョブズ没後、ストアの建築家にインタビューを行った米紙「The New York Times」は、ジョブズを「店先の天才でもある(A Genius of the Storefront,Too)」と讃えました。建築家のボーリン氏によれば、ジョブズは他のクライアントとは違い「物言うクライアント」だったそうです。
ジョブズ氏の死から数日後の先週、ボーリン氏は「私が思うに、最高のクライアントというのは、何をやってもいいと言わないものだ」と語った
そんなジョブズが手掛けたAppleストアは、どのようなデザインが特徴となっているのでしょうか?
和の要素を取り入れたミニマムなデザイン
Appleストアは、シンプルでクリーン、そしてすっきりとしたデザインで、製品を美しく見せるためのミニマリスト的アプローチを採用しています。このミニマルなデザインによって、顧客はほかのものに気を取られることなく、製品そのものに集中することができます。
2001年のAppleストアのデザインは、黒い入り口に2つのバックライト付きAppleロゴが配置されているのが特徴。これはジョブズが「日本の伝統的な建築」から取り入れたデザインだと言われています。「Tice’s Corner」の今後の改装の範囲は現在のところ不明で、この特徴がどうなるかは不明です。なお、他の2つの初期Appleストアは、改装時にこの特徴は失われています。
今のAppleストアにも残るオープンな設計
「Tice’s Corner」を含み、多くのAppleストアはオープンなレイアウトです。これにより、訪れた顧客がゆったりとした気持ちで商品を探したり、触れたりできるようになっています。また、窓ガラスを多く取り入れた設計により、Appleストアには自然光が多く取り込まれ、明るく開放的な印象をうけるようになっています。
商品展示のこだわり
Appleストアは外装や内装だけではなく、製品の陳列に重点を置いています。Apple製品は余裕をもって配置されることで、製品の美しさが強調されるようになっています。
このように製品展示に重点を置くことで、顧客は製品を実際に見て体験し、その仕組みや機能を理解しやすくなります。また、余裕のある展示により、実際に製品に触れ、体験したくなることもメリットの1つです。
カスタマー・エクスペリエンスの重視
Appleストアでもう一つ重要なのは、カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)が重視されている点です。ジョブズは、店舗を単に製品を買うだけの場所ではなく、顧客がApple製品について学び、体験できる場所にしたいと考えていました。体験型の展示やワークショップなど、顧客がAppleの製品やその使い方を学べるインタラクティブな店舗を目指したのです。
Appleストアの象徴であるジーニアスバーも、ジョブズのこだわりの一つ。ジョブズはAppleストアを、顧客が気軽に質問できる得られるようにしたいと考えており、ジーニアスバーもそれを実現する場として設計されました。現在でもジーニアスバーには、技術的な疑問や問題を解決するために訓練を受けた、知識豊富な「ジーニアス」が常駐しています。
今後Appleストアはどのようになっていくのか?
日本にも10店舗あるAppleストア。もちろんAppleストアを直接訪れるのが一番ですが、身近にそのスゴさを体験できるのが家電量販店の中にあるAppleショップです。家電量販店の中でもAppleショップは特別な雰囲気をまとっており、今でもスティーブ・ジョブズのこだわりがAppleに活きていることが分かります。
Appleストアは今や世界に520店舗以上あり、今後数ヶ月の間にインドとマレーシアで最初の店舗のオープンする予定です。同社は、小売店での顧客体験を向上させるための新しい方法を常に模索しており、Apple Tice’s Corner のデザインが、今後の改装でどのように進化するのか興味深いところです。