人間の赤ちゃんくらいの大きさ。
オーストラリアで自然保護官をしているKylee Grayさん。国立公園で彼女の視界にその「生き物」が入り込んできた時、叫んでしまったそうです。その生き物とはオオヒキガエル。
「信じられない大きさと重さでした」と驚きとショックでいっぱいだったとGrayさん。
日本にも沖縄などにも生息するオオヒキガエルは、大人になると1.4kgくらいの大きさになります。でもGrayさんが遭遇したオオヒキガエルは、超ヘビー級の2.7kg。オオヒキガエルの英語名(Cane toad)とゴジラをもじって「Toadzilla(トッドジラ)」と名付けられました。
測定が遅れ、ギネス記録更新ならず
Toadzillaはメス。スウエーデンでペットとして飼われていた2.65kgの「プリンス」という名前のオオヒキガエルが1991年からずっとギネス世界記録保持者でした。
この度プリンスくんの記録を破り、世界一の大きさのオオヒキガエルが発見されたということになりますが、公式に測定しなかったためギネスには登録されていません。
発見時にその場で体重を測ると2.7kgだったのですが、クイーンズランドの国立施設に持って帰って体重測定をもう一度してみると、体重がだいぶ落ちてしまったとのこと。公式の世界記録をこれから出すのはむずかしそうです。
撮影された動画では、Toadzillaとカゴを合わせた体重が5.05kgと表示されています。
カゴの重さが2.7kgだったので、それを差し引くとToadzillaは2.35kgということになりますが、クイーンズランド政府の広報は「最初に見つかった時は2.7kgで、この動画は4日後に体重測定した時のものです。最初に測定した時の写真をちゃんと撮っておくべきでした」と後悔しながらも、もともとは2.7kgだったと発表しています。
公式の記録がないにしても、とりあえずとにかくデカい!それだけはわかりました。
オオヒキガエルはもともと中南米原産。自然界ではだいたい15年くらいの寿命で、メスのほうがオスよりも大きく育ちます。またオオヒキガエルは毒を持っていることでも有名です。
そして昆虫から鳥、哺乳類までなんでも食べます。
オオヒキガエルのなかには小さい種も
オオヒキガエルの大きさは個体によって変わりますが、こちらが北米に生息する一番小さいオオヒキガエルで「オークヒキガエル」。
体長は大人のカエルでもたったの19〜33mm。ちなみにギネスブックの世界で一番小さいオオヒキガエルは「Beira pygmy toad」という種で、これまでに発見された一番大きなものでも2.4センチでした。
外来種のオオヒキガエルは生態系を壊している
さて、Toadzillaの話に戻りましょう。オオヒキガエルは、その毒性と捕食の影響から、地球上最悪の外来種のひとつと言われています。Toadzillaも、残念ながらオーストラリアの法律では外来種で駆除対象となり、安楽死させられてしまいました。
オーストラリアにオオヒキガエルが外来種としてやってきたのは1935年。カブトムシの幼虫がサトウキビを食い荒らしていたため、その幼虫を食べてもらおうと害虫駆除のために意図的にオオヒキガエルを連れてきたというわけです。
最初は2400匹だったのが、どんどん増えて今では2億匹以上になっているそうです。
害虫駆除のために連れてこられたオオヒキガエルが、今度はオーストラリアに元々生息している生物をどんどん捕食してしまい、絶滅に追い込むという悲しい皮肉な事態になってしまいました。
口に入るものならなんでも食べるオオヒキガエル。「これは食べていいけど、これは食べちゃダメ」なんて止めるすべはないですもんね。
Toadzillaは安楽死させられてしまいましたが、その大きさからクイーンズランド博物館に展示されることになっています。ここで、教育のための第二の人生を歩むそうです…。