by Kate Sumbler
河原や浜辺で石を投げて水面に跳躍させる「水切り」で遊んだことがある人は多いはず。水切りには一般的に「手頃な大きさの平たい石」が向いているとされていましたが、2023年1月4日に公開された論文で「重くて丸い石でも水面を跳躍できる」とする研究結果が発表されました。
The role of body shape and mass in skimming on water | Proceedings of the Royal Society A: Mathematical, Physical and Engineering Sciences
https://doi.org/10.1098/rspa.2022.0311
Potato-shaped stones are better for skimming, say experts | Science | The Guardian
https://www.theguardian.com/science/2023/jan/04/potato-shaped-stones-are-better-for-skimming-say-experts
論文を発表したのは、プリストル大学の応用数学者であるライアン・パーマー氏と、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの応用数学者であるフランク・スミス氏です。パーマー氏とスミス氏は、物体の形と質量が水面上を跳躍する上でどのように影響するかを調べる数学モデルを考案しました。そして、この数学モデルから、「石の質量」と「石が水面に触れる面(底面)の曲率」の間に数学的関係があり、これによって石が跳躍するかどうかが決定されると論じられています。
石は最初に水面に接触する時、深く長く水に押し付けられます。石が水に押し付けられるということは、水が石を押し上げようとする反作用の力が働きます。つまり、石が重いほど、水面からの上向きの力を受けることになります。パーマー氏らによると、石の重さが8倍であっても、曲率が4倍あれば同等に水面を跳躍するとのこと。すなわち、一般的に投げやすいとされている石より重くても、その分石がジャガイモのようにゴツゴツしていれば十分に水面を跳ねるというわけです。
パーマー氏は「もっと重い石があれば、水面から超弾性的な反応を得られます。石の質量が大きいと水面が跳ね返す力も強くなるので、小さな跳ね返りが何度も起こるのではなく、一度の大きな跳躍が得られるのです」と述べています。
ただし、ジャガイモのような形をした石が水切りで活躍するのはあくまでも理論上の話。石が水面に突入する角度によってはまったく跳躍せずに沈んでしまうため、現実だと平たい石は水面との角度が安定しやすいのに対して、丸い石は突入角度が不安定になるため、1~2回跳ねて沈んでしまうというわけです。また、石を回転させて投げるのは、ジャイロ効果によって石の姿勢が安定することが期待できるからだそうです。
なお、パーマー氏はTwitterで、この研究はもともと水切りを考えるためのものではなく、当初は「飛行機にまとわりつく氷をいかにして減らすか」「飛行機が着水する時にどんな力が働くのか」という課題を検討する目的があったと話しています。
It’s also worth emphasising the serious application:
Our interest wasn’t really on skimming rocks (though it is in scope), but rather the topic of aircraft icing – how ice builds up on aircraft during flight and how it may be mitigated.
— Ryan Palmer (@r_palmr)
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