新年にあらためて誓う、日本を「絶望の国」にしてはならない。

アゴラ 言論プラットフォーム

田原総一朗です。

あけましておめでとうございます。僕の年明けは、例年のように、「朝まで生テレビ!」の生放送で始まった。テーマは「激論!ド~する?! 日本再興2023」。

2000年には一人当たりGDPが、世界2位だった日本。しかし、2021年時点では27位と大きく後退した。少子化と高齢化、増大する国家予算と赤字国債……、日本はいったいどうしたらいいのか。

自民党の片山さつきさん、慶応大学准教授の小林慶一郎さん、京都大学大学院教授の藤井聡さん、国際政治学者の三浦瑠璃さんらと、なんと4時間も議論した。以前このブログでも紹介した、元ゴールドマン・サックス証券トレーダーの田内学さんにも初めて登場いただいた。田内さんは日本の喫緊の課題は、「少子化」と「生産性向上」だと言った。僕もまったく同感だ。

これまで政府は、「少子化対策」と言いながら、本腰を入れてこなかった。少子化対策担当大臣が、創設された2007年から、現在までに21人が就いている。1人あたりの在任期間は、平均1年にも満たない。

こんなにコロコロ大臣が変わって、本気の対策ができるわけがない。その結果、昨年の日本の出生数は、ついに80万人を切った。すると1月4日、岸田文雄首相が年頭の記者会見で、この問題について「異次元の少子化対策に挑戦する」と明言した。いろいろ批判はあるが、僕は岸田首相の「本気」を感じた。

「朝生」では、教育についてもおおいに議論した。かつて宮澤喜一さんが僕にこう言った。「田原さん、サミットなど、外国との議論の場で、日本の政治家は発言できないんですよ。どうしてだと思います?」僕が「英語力ですか?」と言うと、宮澤さんは「違う」と否定してこう語った。

「日本の教育は、『正解』のある問題しか与えない。しかし、いざ社会に出て、さらに国際社会においては、『正解』のない問題ばかりなんです。だから日本はもっと『正解』のない問題を、考えさせる教育をしなければならない」

「朝生」内では、お笑いタレントでジャーナリストとして活動しているたかまつななさんも、「若者が社会を変えていくことが必要。そのためには教育が大事」と語った。ヨーロッパの主権者教育は、学校のルールを子どもたちに考えさせるなど、「ルールは従うもの」という日本の教育とは、全く違うという話をした。僕は宮澤さんとの対話を思い出しながら、ほんとうにその通りだと思った。「正解を覚えればいい」「従えばいい」という教育では、日本は世界のなかで取り残される。

ところで、たかまつさんとのやりとりが、ネットを騒がせてしまった。顛末はこうである。僕がたかまつさんに、「日本はよくなると思ってるの?思ってないの?」と聞いた。たかまつさんは、「思ってないです」と答えた。その時僕は、「だったらこの国から出ていけ。この国に絶望的だったら出て行けばいい」と言った。

少し釈明したい。僕は、みんなが、「日本はよくならない」と絶望していたら、本当に「よくならない」方向に行ってしまうと思う。逆に希望を持って、「絶対によくなる」と思って進めば、よい方向に行くと信じている。

たかまつさんとは、番組以外でも親しくしており、僕が定期的に開く討論の場、「田原カフェ」にも来ていただいた。とても期待している方だし、希望を持って頑張ってほしいからこそ、瞬間的にその気持ちをぶつけてしまった。その後たかまつさんと話をして、僕の気持ちもわかってもらえた。たいへん失礼しました。

今年の挑戦はといえば、YouTube「田原総一朗チャンネル」を開設したことだ。自由に言いたいことを言い、その映像を日本だけでなく、世界に発信できるのだ。これはおもしろい。2023年、まだまだ走り続けます。今年もよろしくお願いいたします。


編集部より:このブログは「田原総一朗 公式ブログ」2023年1月13日の記事を転載させていただきました。転載を快諾いただいた田原氏、田原事務所に心より感謝いたします。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「田原総一朗 公式ブログ」をご覧ください。