JR東とKDDI、フードデリバリーの実証実験–オフィスフロアまでの自動配送目指す

CNET Japan

 JR東日本とKDDIは1月10日、JR目黒MARCビルにおいて、フードデリバリーサービスの実証実験を開始すると発表した。

 期間は1月11~27日で、防犯カメラの映像データをAIで分析しつつ、配送ロボットが自動で混雑を回避して商品を届ける。JR目黒MARCビル内のオフィスワーカー向けに、エキュート品川で取り扱うお弁当を配送するサービスと、お菓子などを回遊販売するサービスを試験的に提供する予定だ。


(左から)JR東日本 マーケティング本部 マネージャー 松尾俊彦氏、KDDI DX推進本部 グループリーダー 保科康弘氏

 お弁当の配送サービスでは、オフィスワーカーが事前にウェブサイトから予約したお弁当をエキュート品川から配送。JR目黒MARCビル到着後に配送ロボットに詰め込み、オフィスフロアまで配送する。


配送サービスの流れ

 取り扱うお弁当は週替わりで、1月11~13日はイーションが999円(税込)で販売する「炙り!ノルウェー産 サーモンのハラス蒲焼重」、1月16~20日は日本橋だし場 OBENTOが980円で販売する「だしわっぱ飯」、1月23~27日は塚田農場 OBENTO&DELIが1150円で販売する「北海道産黒牛100% 黒牛バーグ弁当」になるという。


お弁当の種類

 お弁当の配送サービスと回遊サービスはいずれも、商品の受け取りに2次元バーコードを活用する。バーコードを読み込んだ後に扉が開き、商品を受け取れるという仕組みだ。


回遊サービスの利用イメージ

 JR東日本とKDDIは、「高輪ゲートウェイシティ(仮称)」のまちづくりを中心に場所や時間にとらわれない働き方、くらし方を創出する「空間自在プロジェクト」に取り組んでいる。

 ビルに設置している防犯カメラといった都市や街の設備が持つデータを収集、分析するデータ連動基盤「都市OS」と、ロボットの位置情報管理や走行の制御、設備との連携を実施するロボットプラットフォームを連携させ、ロボット単独ではできなかった高度なサービスの実現、利用者の需要に柔軟に対応できる環境の構築を目指しているという。


都市OSとロボットプラットフォームの連携イメージ

 今回の実証実験は空間自在プロジェクトの一環で、3つの項目を検証する。1つ目は「人の密集検知による走行ルートの選択」で、防犯カメラの映像を都市OSがAIで解析するとともに、連携するロボットプラットフォームが最適なルートを選択してロボットに指示。配送サービスでは密集を回避するルートを、回遊販売では密集度が高いルートを走行できるか検証するという。

 将来的には人の密集度に加えて購買データなどのさまざまなデータと連携させ、サービスの需要に合わせた効率的なルート選択の実現を目指すとしている。

 2つ目は、「メーカーが異なる複数ロボットの協調制御」。ZMPの配送ロボット「DeliRo」とセントラル警備保障の警備ロボット「C-SParX」というメーカーが異なるロボットがエントランスロビーで稼働するなか、配送ロボットの走行を優先する協調制御ができるかを検証するという。

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警備ロボットが配送ロボットを優先して一時停止したところ

 複数ロボットの協調制御の検討を深度化し、将来的にはさまざまなメーカーのロボットが自由に走行できるまちづくりを目指すとしている。

 3つ目は、「ロボットプラットフォームとエレベーターの連携」。ロボットが人の介在なくエレベーターを利用し、異なるフロアへ配送できるかを検証するという。

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エレベーターからロボットから降り、ユーザーがお弁当を受け取るところ

 今回実証するサービスは、高輪ゲートウェイシティの街開きを予定している、2025年3月の実装を目指している。

 JR東日本 マーケティング本部 マネージャー 松尾俊彦氏は、「従来の“都市”を中心とした拠点集約型ではなく、“暮らし”を軸としたまちづくりを目指している。例えば、子育てをしている方が子育てしやすい環境で働き、学び、医療サービスを受けることができる。リアルの鉄道とオンラインのKDDIのタッグで、そういった新しい暮らし方を実現したい」と語った。


高輪ゲートウェイシティで目指すまちづくりのイメージ

JR東日本 マーケティング本部 マネージャー 松尾俊彦氏

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