日本ハムがソフトバンクへFA移籍した近藤健介の人的補償として、田中正義を獲得する意向をソフトバンク側に通知したことが2023年1月10日、スポーツ各紙で報じられた。
「コンディションが整えば十分に1軍で通用する」
メディア報道によると、新庄剛志監督が9日、ソフトバンクから送られてきたプロテクト選手の名簿を確認した上で人的補償について言及。「球のスピードは彼なんだけど。体の状態があれだからこの選手かなっていうのも。迷いましたよ。ビデオはもうすり切れた。大学時代から見たから」「最初の文字がタかな?」などと語ったという。ソフトバンクで名字が「タ」から始まる支配下枠の投手は田中、田浦文丸、高橋純平、高橋礼の4人。大卒で速球派、体の状態を懸念しているという条件に当てはまる投手は田中しかいなかった。
潜在能力は疑う余地がない。創価大3年時にユニバーシアード代表でNPB選抜を相手に7打者連続三振の快投。最速156キロの直球とスライダー、フォークのコンビネーションで打者をねじ伏せた。「アマチュア球界ナンバー1右腕」の称号を引っさげ、16年ドラフト1位で5球団競合の末にソフトバンクに入団。球界を背負って立つエースと期待されたが、度重なる故障で伸び悩んだ。21年に救援で自己最多の18試合登板して防御率2.16と復活の兆しを見せ、昨年は藤本博史監督に先発ローテーション入りを期待されたが、開幕前に右肩痛で戦線離脱。夏場に復帰して5試合登板にとどまった。
スポーツ紙デスクは「球は一級品だが、故障が多すぎる。ソフトバンクもプロテクト枠から外すか迷ったと思うが、戦力として計算できないのがネックになったのでしょう。コンディションが整えば十分に1軍で通用する。日本ハムは救援陣が手薄なので獲得すれば、勝利の方程式を担う可能性は十分にある」と期待を込める。
ジャスティスの愛称で親しまれる右腕は、北の大地で輝きを取り戻せるか。(中町顕吾)