地球上で位置情報を測定する際には、人工衛星を用いたさまざまな衛星測位システム(GNSS)が利用できます。GNSSは地図アプリやカーナビなど多くの場所で利用されており、日本ではアメリカが運営するGPSが一般的です。そんなGPSとその他のGNSSであるGLONASSやガリレオについて、GNSSのデータを収集している「GPSrChive」が比較を行っています。
GPSrChive – GPS vs GLONASS vs Galileo
https://www.gpsrchive.com/Shared/Satellites/GPS vs GLONASS vs Galileo.html
GNSSは「三辺測量」と呼ばれる測定方法で位置を計算しています。
GPSが位置情報を測定する仕組みを分かりやすく解説するとこんな感じ – GIGAZINE
また、GNSSでは、現在値を計算するために最適な位置にある衛星を使用しており、70度~90度に位置する衛星は垂直位置の計算に最適とされています。20度~70度の衛星は緯度と経度を計算する際に最も正確とされる一方、0度~20度の衛星は建造物などの障害物に敏感なため、信頼性が低下するとのこと。
GPSはアメリカ空軍によって運用されるGNSSで、1995年4月から全世界で利用可能です。GPSで用いられる人工衛星は32基で、軌道傾斜角55度、高度約2万200kmで地球を周回しています。また、各人工衛星は11時間58分ごとに地球を一周し、測位誤差は3.5~7.5mとされています。
以下の画像はGPS衛星の軌道経路。
赤道から遠い側の緯度35度分は衛星が通過しません。
GLONASSはロシア航空宇宙軍によって運営されており、2011年11月から全世界で利用可能です。用いられる人工衛星は24基で、軌道傾斜角は64.8度、高度は約1万9100kmです。各衛星は11時間15分で地球を一周し、測位誤差は5~10mです。
以下の画像はGLONASS衛星の軌道経路。
赤道から遠い側の緯度25.2度分は衛星が通過しません。
ガリレオは欧州連合宇宙計画局が運営するGNSSで、2019年から全世界で利用可能です。人工衛星の数は30基で、軌道傾斜角は56度、高度は約2万3222kmです。各衛星は14時間7分で地球を一周し、測定誤差は2~3mです。
以下の画像はガリレオ衛星の軌道経路。
赤道から遠い側の緯度34度分は衛星が通過しません。
また、GPSrChiveではそれぞれの衛星の軌道経路を比較しており、以下の画像ではGPSとGLONASSを比較しています。赤で示されたGLONASSが緑で示されたGPSよりも広範囲の軌道を取っていることが示されています。
GPSとガリレオを比較した画像では、緑のGPSも青のガリレオも通過する緯度にはほぼ差がないことが示されています。
ガリレオとGLONASSを比較した画像もGPSとGLONASSとの比較と同様、赤のGLONASSが広範囲に広がっています。
Trimble GNSS PlanningやSTARFIRE (John Deere)といったサービスは、特定の場所や日付、時刻にどの人工衛星を見ることができるかを示すサービスです。
GPSrChiveでは東経25度の時、北緯5度、北緯25度、北緯45度および北緯85度についてそれぞれの衛星の可視性を確認しています。以下の画像は東経25度、北緯45度で視認できる衛星を示した画像です。緑がGPS、赤がGLONASS、水色がガリレオです。なお、青色は日本が運用する準天頂衛星システム(QZSS)です。
緯度の変化で見える衛星の数はわずかに変動しましたが、利用可能な衛星の合計は大きく変化しなかったとのこと。また、利用可能な衛星の数はGPSが最多でした。
GPSとGLONASS、GPSとガリレオを組み合わせると利用可能な衛星の数は同じになるため、GPSrChiveは信頼性の高いナビゲーションのためには複数のGNSSを使用することを推奨しています。
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