政府は、2023年度の公的年金の支給額改定で、給付を抑制する「マクロ経済スライド」を発動する検討に入りました。
年金抑制「マクロ経済スライド」3年ぶり発動へ 政府https://t.co/MC1TKrjqO8
— 日本経済新聞 電子版(日経電子版) (@nikkei) December 19, 2022
給付は22年度の水準より増える見込みですが、物価上昇率には追いつかず実質的には目減りすることになりそうです。
Q マクロ経済スライドってなんですか?
A マクロ経済スライドは、平成16年の年金制度改正で導入されたもので、賃金や物価による年金額の改定率を調整して、緩やかに年金の給付水準を調整する仕組みのことです。(より詳しい説明は→日本年金機構HP)
収入面は、保険料の17年までの段階的な引き上げ、基礎年金財源に占める国庫負担割合の3分の1から2分の1への引き上げが決められています。
支出面は、年金給付水準の段階的な引き下げを図る仕組みとしてマクロ経済スライドが導入されました。これによって所得代替率は現在の60%台から約50%まで下落するそうです(所得代替率の定義も難しいものとなっています)。
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「マクロ経済スライド」によって年金制度はもはや崩壊していると言う人もいます。
③今後、「マクロ経済スライド」によって、年金の実質的な価値はどんどん下がってくる。物価の上昇も続く中、年金受給者の生活は苦しくなるばかり。しかも、あろうことか、医療・介護までも負担増の話ばかり聞こえてくる。これのどこに安心があるというのか。国民を馬鹿にするのも、いい加減にすべき。
— 小沢一郎(事務所) (@ozawa_jimusho) November 2, 2022
ただし、年金に限らず、医療もふくめ今後も現役世代の負担が増えていくのは明らかです。
法政大の小黒教授は「長期的に見ると、全体の給付額の制御ができていない。高齢者にも負担を、という方向性は正しいが、今後も現役世代の負担が増えていくのは明らかだ」、今回の見直し方針につき「あくまで現行制度の延長線上。一時的な改善に過ぎず、単なる先送りだ」と指摘https://t.co/IQSbKcC3qE
— 小黒一正 (@DeficitGamble) December 24, 2022
給付抑制は年金財政の安定に欠かせません。ただし、問題はマクロ経済スライドが発動されても抑制されないのではないかと心配する声もあります。
問題はマクロ経済スライドが発動されることではなく、政治の横やりが入らないか、発動されたとして年金補填策(非課税世帯への給付とか)が別途実行されないか否かにある
年金抑制「マクロ経済スライド」3年ぶり発動へ 政府: 日本経済新聞 https://t.co/iSHQLGqrZh
— 島澤諭 (@shimasawa2022) December 20, 2022
下げるにも限界があるので、会社員が払う厚生年金の保険料や、国庫負担(税金、おそらくは現役世代の負担)で埋め合わせることになりそうで、けっきょくはマクロ経済スライドは骨抜きになってしまいそうです。
基礎年金へのマクロ経済スライド(=現役世代の人口減などを反映して実質的に給付を減らす仕掛け)を早期停止し、月5万円以上に保つ案が出ている。
会社員が払う厚生年金の保険料や、国庫負担で埋め合わせる。この影響で、高所得の会社員は将来の給付が目減りする可能性も。 pic.twitter.com/x2usswWcgi
— 平 均 (@225average) September 28, 2022
一方で、年金で生活できない膨大な貧困層が生まれ、社会保障制度は崩壊する可能性も出てきます。
だがこうなると、年金で生活できない膨大な貧困層が生まれ、社会保障制度は崩壊する。そのためには、年金加入期間を45年間に延ばしたうえ、余裕のある厚生年金から多めに負担させ、さらには受給開始年齢を70歳に誘導しなければならない。
— 橘 玲 (@ak_tch) December 22, 2022
現役世代(正規公務員除く)は雇用保険まで今年は上がってしまいました。
「アレ!? 手取り減ってる…?」
私「10月から雇用保険料率がまた上がったからですね。消費税なら1%上がるだけでも大モメなのに、社会保険料率はシレっと上がり続け、労使合計で30%!!
一方で大卒初任給は30年近く横ばい…現役世代への負担増はもう限界なので、高齢世代との負担バランス是正は急務です」 pic.twitter.com/kCrgm9W8lf— 新田 龍 (@nittaryo) October 25, 2022
与党も野党も落ち着いて議論してほしいものです。
「100歳まで年金だけで暮らせる」などと約束したことはないのだから、与党も野党も落ち着いて議論して欲しい。100年安心とは、現役世代の保険料負担と将来貰う年金の所得代替性を100年単位で検証し、それを踏まえて年金給付を下げる仕組み。守られるのは年金システムであって、年金額ではない。
— 野村修也 (@NomuraShuya) June 16, 2019
当たらない政府推計の中で人口動態は非常に高率で当たると言われています。わかっちゃいたけど手を打たなかったというところが実態でしょうか。