ウェブブラウザ「Vivaldi」がWindows 7とWindows 8.1のサポートを終了する理由について開発者が解説

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ウェブブラウザのVivaldiは、Windows 7および8.1でのサポートを2023年に終了すると発表しています。Vivaldiの開発者でセキュリティの専門家であるイングヴェ・パターソン氏が、Windows 7とWindows 8.1のサポートを終了する理由について公式ブログで解説しています。

Pulling the plug on expired Operating Systems | Vivaldi Browser
https://vivaldi.com/blog/pulling-the-plug-on-expired-operating-systems/

すべてのブラウザは、Android、iOS、Linux、macOS、ChromeOS、Windowsという名前のOS(オペレーティングシステム)の上で動作します。これらのOSは、ファイルシステム、キーボード、マウス、グラフィックのサポートなど、その上で動作するアプリケーションに多くの機能を提供します。OSはこれらの機能を実現するためのハードウェア固有のドライバを管理し、アプリケーションが根本からすべてを実装する必要がないようにしています。

by Alex McCabe

各OSは、バグの修正や新機能の追加、新しいハードウェアへの対応など、定期的なアップデートが行われていますが、古いバージョンのOSを維持することは時間が経過するにつれて難しくなります。古いバージョンは、入手不可能あるいは入手困難なハードウェアや構成でテストする必要があり、さらに古いシステムやハードウェアに詳しい開発メンバーを確保できるかどうかも重要になるからです。

OSのどのバージョンをいつまでサポートするかを示すEOL(End-Of-Life)は、実際にサポートが終了されるよりもかなり前に決定されます。EOLを迎えると、そのバージョンはアップデートが停止され、ユーザーは新しいバージョンあるいは新しいハードウェアに移行するか、あるいは自分のコンピューターが攻撃されるリスクを抱えて生活しなければならなくなります。

そして、OSのバージョンが異なると、ブラウザにも問題が生じます。OSがアプリケーションのために管理している優れた機能は、SDKAPIと呼ばれる様々な機能呼び出しによってアクセスされます。つまり、古いOSをサポートするためには、そのための特別なコードを書く必要があり、そのすべてのバリエーションを関連するハードウェアでテストする必要が生まれます。しかし、テスト可能な古いハードウェア環境を用意できないことが多々ある上に、古いバージョンに対応することでコードのロジックが複雑になり、メンテナンスやテストを困難にし、発見が困難なバグを発生させる可能性を生みます。

そのため、OSのバージョンがEOLを迎えたとき、ブラウザの開発チームはその古いバージョンをサポートすべきか、いつまでサポートすべきかを考えなければなりません。その際、旧プラットフォームのユーザー数やサポート継続の難度などが判断材料になるとのこと。

特に、新しいOSに対応するために定期的にアップデートする必要があるコンパイラやSDKパッケージなどのサポートツールが古いバージョンに対応しなくなった場合、メンテナンスが困難になります。そうなると、「旧バージョンのOSをサポートするのか、それとも新バージョンをサポートするのか」という問題が生まれ、やはり新しいバージョンのサポートを優先して古いバージョンを切り捨てるという答えが正解となります。

MicrosoftによるWindows 7のサポートは2020年1月14日に終了しました。サポート終了日はかなり以前から告知されていたものの、終了日直後の調査では企業ユーザーの53%がWindows 7を使っていたことが報告されています。また、調査企業のStatcounterによると、2022年11月時点でWindowsユーザーのうちの10.25%がWindows 7を使っているとのこと。


上記の理由から、ChromiumチームはWindows 7へのサポートを維持する姿勢を見せていましたが、2023年初頭にWindows 7とWindows 8.1のサポートを終了することを決定しました。

Sunsetting support for Windows 7 / 8/8.1 in early 2023 – Google Chrome Community
https://support.google.com/chrome/thread/185534985/sunsetting-support-for-windows-7-8-8-1-in-early-2023


VivaldiはChromiumをベースとしていることから、Vivaldi 5.6の次のバージョンでChromium 110が基盤になる際にWindows 7とWindows 8.1のサポートが終了するとのこと。これらのOSバージョンをサポートしなくなった時点で、開発チームは廃止されたコードの削除を開始し、これらのOSバージョン上でWindowsの実行ファイルを実行することは事実上不可能になります。


5~6年以上前のOSがインストールされたコンピューターを使っている場合、ブラウザやその他のアプリケーションがまだ動作するとしても、より新しいOSへのアップデートを検討する時期だといえます。パターソン氏は「OSがサポートされなくなるのは時間の問題であり、早めに選択肢を検討しておけば、緊急に移行する必要も、セキュリティ上の問題を抱える必要もありません。システムにとっても、最新の環境を手に入れることは、最高の機能とセキュリティを提供することにつながります」と述べています。

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