Intelは2021年9月発売の第12世代Coreプロセッサ「Alder Lake」で高性能コアと高効率コアを組み合わせたハイブリッドアーキテクチャを採用し、前世代以前と比べて「卓越したパフォーマンス」を実現しました。ここで比較対象とされた「前世代」こと第11世代Coreプロセッサ「Rocket Lake」がそこまでひどいものなのか、情報サイトのChips and Cheeseが調査を行っています。
Was Rocket Lake Power Efficient? – Chips and Cheese
https://chipsandcheese.com/2022/12/17/was-rocket-lake-power-efficient/
Googleで「Rocket Lake」と検索したときのサジェストはこんな感じで「失敗」「ゴミ」「黒歴史」と厳しい単語が並びます。実際に検索結果を見に行くと、ストレートに「失敗」と評されているわけではありません。
Chips and Cheeseは前提として、Alder Lakeの高性能コアであるGolden Coveは新プロセスの新アーキテクチャであり、Rocket Lakeに対して大きなアドバンテージがあるのは当然だと述べ、「適切な比較」として、同一プロセスルールのCPUとの比較を行っています。比較においては、IntelのプロセッサではL3キャッシュやリングバス、メモリコントローラーなどの重要コンポーネットがコアパワープレーンにないため、コアパワーではなくパッケージパワーを見ているとのこと。また、すべてのテストは4スレッドをアクティブにして実行し、それ以上のコアを搭載するCPUではワークロードを4コアに制限したとのことです。
まず対象となったのは、同じ14nmプロセスルールの第6世代Coreプロセッサ・Skylake、および第7世代Coreプロセッサ・Kaby Lakeです。
Rocket Lakeがよく知られているのは「消費電力が高すぎる」という点。しかし、4Kエンコードで比較を行ったChips and Cheeseは、「適度な電力ではそれほど悪さはしない」と評しています。実際のところ、消費電力が30W以上のとき、Rocket LakeのCypress CoveコアはSkelakeよりも高い性能を発揮したとのこと。Rocket Lakeで高いパフォーマンスを発揮するにあたっては、4つのコアが合計147Wを消費しますが、さすがにここまでいくと効率が非常に悪くなるそうです。一方で、Chips and Cheeseは「低消費電力時にスケールダウンできないこと」をRocket Lakeの最大の弱点と述べており、実際、消費電力が30W以下になると性能が落ち、SkylakeやKaby Lakeにも負けるスコアとなっています。以下のグラフでオレンジ色の実線がRocket Lake、緑の実線がSkelake、緑の点線がKaby Lakeを示します。
このほか、ベクトルユニットをほとんど使わず、libx264エンコードほど並列化されていないことから4コアを完全にロードしないこともあるという7Zip圧縮でも測定を実施。消費電力35W前後でKaby Lakeを上回り、75WでGolden Coveに近いスコアをたたき出していますが、35W以下になると性能はガタ落ちし、Kaby LakeどころかSkylate以下のスコアになることが示されています。
この結果から、Chips and Cheeseは、Rocket Lakeは確かにケースによって消費電力が高く、一方でAlder Lakeほど低電力レベルにスケールダウンできないという弱点はあるものの、30W超のミドルサイズデスクトップの電力レベルにおいては最も効率的な14nmプロセスプロセッサだという評価を下しています。これは、新たなプロセスルールではなくても、低クロックで動作する大型で高IPCのコアを用いることで効率を向上させられることを示しているとのこと。ただし、Rocket Lakeの効率の優位性は極めて範囲が狭いのが残念なところだと指摘しています。
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