SUUMOの2022年度住みたい街ランキング(首都圏版)が発表され、万年横浜トップの地位が維持された一方、大宮が3位に躍進したと報じられています。この上位ランキング、ある特徴があるのです。それは日本国土を縦軸とした場合に縦軸上にある利便性の良い街が上位に食い込みやすいのです。
分かりやすく言えば、東海道と東北上越新幹線を軸としてそのあたりの主要駅だということです。これは何を意味するかと言えば住んでいる街の駅からどれだけ長距離、短距離の移動がしやすいかにかかっていると言えるのです。日本人は小旅行や出張が生活の一部になっていることを考えるとなるほどと思って頂けると思います。
では横軸上の主要な街はどうかと言えば千葉県では船橋が15位、流山が16位、柏が21位と言った具合。西東京では2位の吉祥寺は別格で23位の立川、35位の三鷹ぐらいで八王子になるとランク外となっています。
それでも千葉県はかつては成田空港へのアクセスを理由にある程度の人気は誇っていたのですが、コロナと海外物価高で海外旅行は二の次、羽田の国際化も進んだ中で千葉の地盤沈下は厳しいものがあります。
両手で足りないほどある各社が集う住みたい街ランキングで個人的に思う首都圏の最も住みたい街ランキングの本命はファミリー層向けとして流山を推してみたいと思っています。環境重視型で都心まで20分という利便性を考えると未だに完全な穴場で、人気上場中です。ただ、流山など用事がある人以外は絶対に行くことがないところなので全国ベースのランキング調査をすれば評価されにくい街のトップクラスでもあるのです。
各社の不動産ランキングはほとんど学術的に分析する価値はなく、移動のしやすさ、新幹線へのアクセスのウエイトが極めて高いと個人的には思っています。
一方、住めば都という言葉もあります。どこに住んでもそこがいずれ天国になるのはなぜか、といえば日本人が土着体質だからでその場所の良いところを探し、そこに根差し協調するような姿勢が強いからともいえるでしょう。
同じ東京の人でも西東京の人が墨田区や江戸川区にはまず住まないし、東急沿線の人が千葉に住むこともありません。大した距離ではないのにまるで出身地感覚すら持つようになるのです。皆さんがショッピングするに際し、銀座、渋谷、新宿、池袋でまるでテイストが違うのと同じなのです。
さて、都市計画という観点から見るとやはり今まであまり陽の目を見なかった街で強力な街づくりのプランを打ち出したところは長期的にみて勝ち組になると思います。前述の流山はつくばエキスプレスという新線効果が出てきているところで街づくりが比較的しやすかったと言えるでしょう。
西日本では明石の人口流入が増えています。比較的規模の小さい市町村が思い切った施策をした街が有利になりやすいとみています。今だ残念賞なのが千葉ニュータウンをコアとする北総線沿線で何年経っても冴えないのは県と市町村の努力不足以外の何物でもありません。
横浜は引き続き高い人気を誇っています。個人的に住んだ経験や地縁もあるのですが、正直、焦点が絞れず、住みにくい街です。ただ、新横浜周辺は利便性の大幅改善から二重丸のエリアだとみています。横浜地区で不動産買うなら新横浜と断言してもよい将来性がある街です。
ところでCOVIDで遠隔地に住むという自由度が与えられたのに人気ランキングはほとんど変わらなかったという点でCOVIDのリモートワークブームは広がりを欠きました。というより日本人が住処を人気ランキングぐらいで左右させないとも言えるのです。今や20代の社会人ですら住むエリアを流行で決めません。農耕民族故ですね。
日経に「テレワーカー、国境越え獲得競う 日本の大手は導入遅れ」とあります。これは私が以前から指摘していたノマド族のことで、世界中に散らばる人たちがリモートワークという新しい働き方をうまく活用して職を得るという流れなのです。日本はこれが遅れているという訳ですが、将来、これが新しい流れになったらリモートワークしている日本の方々は強烈な競合に巻き込まれることになります。
今まで職は国境で守られていたのにそれが叶わなくなるのです。故にリモートワーク万歳という人は世界の強豪に勝ち抜く能力を持たない限り職を失う可能性すら出てきたのです。特に日本企業が国際化している中で英語をベースにした業務はノマドワーカーに任せる方が圧倒的に有利なのです。私が日本企業で海外担当ならとっくにそうしています。
私のメールには様々なオンラインワーカーのオファーが日々、入ってきます。大手の人材派遣会社からも続々入ってきます。これが新しい働き方になる予兆で、リモートワークで効率的なワークライフバランスという話の真逆で厳しい労働環境が待ち受けていると思っています。故に、出社してしっかり成果を上げる、これしかないわけでやっぱり利便性の良い場所が住みたい街になるような気がします。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年12月19日の記事より転載させていただきました。