デロイト トーマツ グループは12月16日、オンライン診療や薬局によるオンライン服薬指導の認知・利用状況に関する調査結果を発表した。
同調査は、20歳以上のオンライン診療・オンライン服薬指導(オンラインサービス)の利用経験者・未経験者が対象。2022年5月にWebアンケートを実施し、1,443名から回答を得たという。
同調査によると、オンラインサービスの利用率は、2021年と比較するとほぼ横ばいであり、オンライン診療が6.8%、オンライン服薬指導が6.3%と、普及が進んだとは言い難い状況にある。
利用意向については、2021年とほぼ変わらず、オンライン診療は57%、オンライン薬局・服薬指導は58%の人が利用意向ありと回答した。
その中でも、経験者の再利用意向は8割程度と、未経験者と比べて高い水準にある。一方で、未経験者の中でも、オンライン診療では70%、オンライン服薬指導では55%の人が「使いたい」と回答をしている。
未経験者について使ってみたいきっかけと実態を調査すると、未経験者の5割以上に利用意向があり、使ってみたいきっかけとしては「医師・看護師が推奨するのであれば」が上位の理由として挙げられている。
一方で、未経験者のうち、医師や看護師にオンラインサービスを勧められた経験がある人は約1〜2%と極端に低いことが判明した。
オンラインサービスを使ったきっかけとしては、「インターネットやテレビで見て、興味があったから」が理由の上位に挙がっており、日常生活の中で情報を目にすることが利用のきっかけになったことがわかった。
未経験者のうち、オンラインサービスを医師や看護師に勧められた経験があるが、オンラインサービスを利用しなかった理由について調査すると、「アプリのインストール、診察、支払いなど含めて準備・手続きが大変そうなため」や「ビデオ電話できちんと症状を伝えたり、診察してもらうのに不安があるため」が上位に挙がっている。
オンラインサービスを勧められても、手間がかかる印象を与えたり、オンラインでの診療・服薬指導に不安を感じたりする人が一定数いることわかった。
同社によると、未経験者の5割以上が「使いたい」と回答していることから、一定の潜在需要が確認できたものの、需要に対するサービスの普及が進んだとは言い難い状況にあるという。
また、オンラインサービスが利用されていない理由としては、医師が患者に対して利用を積極的に推奨していないこと、患者側の不便さ・不安が解消されていないことが明らかとなっている。
そこで同社では、オンライン診療・服薬指導を医療従事者や患者の有効な選択肢にするためには、行政・産業界・サービス提供会社が連携して「経済的ベネフィットの提示」「疾患特性に応じた普及アプローチ」「自治体・介護施設などでの利用促進」といった、取り組みを推進していくことが重要だと解説している。