なんか似ている!その思いだけで春日部を巡った
春日部駅で降り立ったことがあった。
春日部駅は東武の本線のスカイツリーライン(伊勢崎線)と東京の周りを走るアーバンパークライン(野田線)の乗換駅で、特急も止まるほどの大きな駅だ。横文字路線同士の乗り換え駅となるとけっこう珍しそうだ。
この春日部駅に既視感があった。
駅をなんともなしに利用したときに広がる光景に、あれっ?この駅、どこかで見たことがあるな…と感じた。
インド一の大都会「ムンバイ」で見たことがあるのだ。気になって写真を撮り、当時ムンバイに行ったときの写真と見比べた。
そっくりだった。
インド、ムンバイ、サンタクルス駅
まるで本国のような中華料理を「ガチ中華」と呼ぶが、春日部駅は駅が「ガチインド」だ。
その駅はサンタクルス駅という名前で、ウエスタンラインとハーバーラインという2路線が走る。
レトロな駅舎の春日部駅がもたらした奇跡。
鉄道好きの人から言わせれば全然似てないと思うかもしれない。しかし僕的にはそっくりに見えたのだ。見えたから再度春日部駅まで撮りにいったのだ。
なぜサンタクルス駅の写真を撮ってたかというと、当時予約したホテルの最寄駅だったからで。オンライン予約で泊まった先に予想外のデジャブがある。
どこまで似ているのか
いきなりオチを出してしまった。そこでここからは春日部駅とムンバイの駅がどこまで似ているのかを見てみようと思う。
サンタクルス駅だと思うが、そうでない駅も混ざってるかもしれない。そこは申し訳ない。
僕が撮ったインドの駅には自動販売機はないけれど、代わりに人が商売をしている。春日部駅は自動販売機があるが、店もあり、なんだか似ている。
思えば日本でも駅そばスタンドや弁当売り、コンビニになっていない商店などは、なんだかプラットフォーム上の時間とは別に流れる時間があるように感じる。
駅を使う人々の服は両国とも地味めだけど、インドではサリーを着た女性がプラットフォームに彩りを与えていた。
ところで当時混雑時間帯を避けて移動していたけれど、ムンバイの電車はとにかく利用者が多い。
長い編成の各駅停車や快速停車がやってきては激混みで、日本よりも多いのではないかと思ってしまう。インド人がドア近くで風にあたりながら立っているので、見かけ上多そうに見えるという事情を差し引いても、だ。統計上は日本の駅の乗降客数が世界上位を独占しているのに。
春日部駅を通る東武線より多いと思われるJR山手線は、1週間に1580万人が利用しているというデータがある。
サンタクルス駅を通るウエスタンラインは一日に355万人が利用するという。7をかけて一週間に直すと、山手線どころじゃない利用者がいることになる。その全員がサンタクルス駅を利用しているわけではないけど、混み具合からすると、実際すごい数字はありそうな話だと思った。
場所と時代を超えた商店街
ところでサンタクルス駅には、ペデストリアンデッキのような道があり、この点では春日部駅を上回る。
駅前ロータリーは春日部駅のほうが広々としている。駅前から春日部駅からもサンタクルス駅からもバスが出ている点では一緒だが、サンタクルス駅にはオートリクシャー(三輪タクシー)も止まっている点で違いがある。レトロ駅にリクシャーを置くと雰囲気が上がる。
さて春日部といえば春日部が舞台のクレヨンしんちゃんは外せない。駅からはイトーヨカドーが見え、作中ではサトーココノカドーとして登場している。
このイトーヨーカドーで昔の春日部の写真があった。舗装されてゴミも牛もないとはいえ、商店街の様子はその時見たインドと似ていた。
春日部の駅前は新しくなったが、隣の駅の一ノ割駅には昔ながらの風景が残っていた。この駅前がよりインドの駅前っぽい駅前に思えた。脳内はすっかりインドのつもり旅行だ。
一ノ割(いちのわり)とインドのお祭りディワリで韻が踏めるなと思った。
何よりムンバイにヒンドゥー寺院がありイスラムのモスクがあるように一ノ割にもモスクがある。モスクの近くには礼拝後に食べるのかガチアジアのカレー屋もある。
駅に加えモスクがありガチカレーがある。春日部とムンバイはやっぱりちょっと似ている、という結論にしたい。
レトロ駅舎と外国駅舎をかぶらせる
春日部駅はレトロ駅舎だ。僕にとってはインド旅行を思い出す駅舎だったが、人によって引き出される思い出は違うだろう。
そんな春日部駅だが高架化してしまうようだ。駅のガチインドを感じたかったら今のうちに春日部駅に行こう。そして今の春日部駅と比較できるうちに、インドに行って確認してみよう。