普段よく聞いたり、雰囲気で使ったりしているけど、実はいまひとつ意味の分かってない言葉ってありませんか?集めました。
よくわからないまま雰囲気で使っている言葉たち
こんにちは、編集部 石川です。
当サイトで11月にヒットした記事がこちら。
雰囲気で使っているけどちゃんと説明のできない言葉、だれしも一つや二つあるのではないでしょうか。
言葉のプロであるライターと言えどそれは同じこと。デイリーポータルZのライター陣にきいてみました。
シズル感
わからない人:
唐沢むぎこ
「シズル感」が謎です。自ら使うこともないし、よく使う文脈もパッと思い浮かびません。通が誉める時に使う言葉なのかな?くらいです。さっき調べたら「主に料理の広告写真のみずみずしさを表す」のだそう。…全くピンときません。私嘘掴まされてます?
改めて調べてみると、肉が焼ける「ジュー」いう音がシズル(Sizzle)なんだそうです。もしかして、レストランのシズラーってそういうこと!?唐沢さん、シズル感ってシズラーのことです!!
ビールの上面発酵と下面発酵
わからない人:
古賀及子
ビールの上面発酵と下面発酵のことが本当にどうしてもずっとわかりません。
感覚のことではなく正解のある状況の名前なので調べればわかるのですが、体感としてぜんぜん理解できないままでいます。
ピルスナー、ラガー、エールみたいな、ビールのちがいが飲んでも飲んでもピンと来てないということだと思います。
僕もあらゆるクラフトビールを「一味違うやつ」くらいのざっくりした認識で飲んでいます。あと「缶がカラフルなやつ」。
水の味
わからない人:
安藤昌教
水の味の違いが全くわかりません。軟水と硬水を並べて出されてもたぶんわからないと思います。「まるい」とか「あまい」とか言われても水だから無味だろう、と思っています。
コクに続いて水の味もわからない安藤さん、僕も似たようなものなので気持ちはすごくわかるのですが、僕との違いは安藤さんはかつて喫茶店を営んでいたという事実です。
「ぺろりと平らげる」「舌鼓を打つ」
わからない人:
ネッシーあやこ
食べものを食べたときの表現でたまに聞く「ぺろりと平らげる」「舌鼓を打つ」がよくわかっていないです。「そういう言い方がある」と頭では理解しているんですが、自分の実感とうまくつなげられず、ぺろり…と聞くと不二家のペコちゃんの顔が、舌鼓…と聞くとでんでん太鼓が思い浮かびます。
どちらも舌に関連した言葉なので、もしかすると私は、食事の際に舌を使っている実感を持てていないのかもしれません。実感したいです。
「舌鼓を打つ」って文字通りの意味的には「舌打ち」と同じだと思うんですよね。全然違う意味になるのが不思議。
「切ない」
わからない人:
つりばんど岡村
「切ない」が昔からよくわかりません。なんとなく寂しいとか悲しいに近いのかと思いますが、それとは別の切ないと表現する気持ちとはどういうものなんでしょうか。
そのため、映画の紹介とかで「甘く切ない物語」なんて言われるとなんのことやらますます混乱してしまいます。
こう、胸が締め付けられるような…と思うけど、胸が締め付けられるってどういうこと?と言われるとグムムって感じですね。甘く切ないは確かに無理難題。
「チル」
わからない人:
トルー
「チル」が分かりません。音楽の用語なんでしょうか。調べればいいのですが敢えて分からないまま書いています。一時期から音楽に限らず色々な場面で言われるようになった気がします。
使われ方から察するに、気だるい雰囲気をポジティブに表現したような感じなんでしょうか。どうでしょうか。気の合う仲間で地べたに座ってビール飲んでる、みたいな。どうでしょうか。
これは完全に正解じゃないでしょうか。読者の皆さんはチルよりどちらかというとトルーの方がなんなんだよという感じかと思いますが、これは本名から一文字「真」をとってトゥルーというペンネームにしようとしたところ、編集長の林に「ゥはない方がいい」と言われトルーになった経緯があります。
眠い
わからない人:
石川大樹
「眠い」がいまひとつわかっていないところがあります。
夜は元気なまま「そろそろ寝るか」と思って布団に入って数分後には入眠しています。逆に居眠りしてしまうようなときは、はっきり起きていたところから、急に「ハッ!」と目が覚めていつの間にか寝ていたことに気づきます。
「眠いな」と思うことが全くないとは言えませんが、結構レアな登場頻度です。いいのか悪いのかよくわからない体質です。
書いた後で思ったのですが、起きた時の「まだ眠い」は全然ありました。世の中には二種類の眠いがある。「寝たい」やつと、「また寝たい」やつだ。
シェンゲン
わからない人:
ほりべのぞみ(ベルリン在住)
ヨーロッパに住んでいるくせに、何度説明されても「シェンゲン」がよくわかりません。
EU国であると同時にシェンゲン圏だったり、EUじゃなくてもシェンゲンだったり、EUなのにシェンゲンじゃなかったりするのも訳が分かりませんが、そもそもシェンゲンだから何?!というレベルです。さっき友人から「クロアチア(EU国)がシェンゲンになるらしいよ」と聞きましたが知らない芸能人が結婚すると言われた時ぐらいの共感度でした。
シェンゲンって何!?と思ったら、EU圏で国境検査なしで行き来できる国のことだそうです。EU全域じゃないんだ…。パスポート持たずに出張に行ったら実はシェンゲン範囲外、みたいなことがあるのでしょうか。怖…。
清潔感
わからない人:
山田窓
「清潔感」という言葉がやっぱりピンときません。
実用日本語表現辞典によると「汚れのない、清潔な感じ。または人格が正しく誠実であるさまを意味する表現」とあるのですが、それを真に受けるとなかなか重い褒め言葉ですね…。
いろいろ考えた末の個人的仮説なのですが、主に女性に使う「清楚」が、男性には使いづらいということで「清潔感」がむりくり作られたんじゃないでしょうか。
清楚な女性と、清潔感のある男性は対になっているというか。
うーん、どうなんでしょう。
客観的にはかなり清潔感がある印象の山田窓さんですが、清潔感に対する反骨心が明らかになりました。清潔とか不潔とかの枠を超えた「無潔」みたいな次元を目指したいものです。
元記事の話に戻りますが、「コク」はSNSの反響を見てもかなり多くの人がカッチリとした定義のないままぼんやりと使っているようでした。言葉ってロジカルなものだと思いがちですが、実はこうやってフワフワしたものが寄り固まって我々のコミュニケーションはできているのかもしれません。
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