イスラム教5柱のうちの1つ、「礼拝(サラート)」。全身を清め、決められた5つの時間帯に、全身を使って神様にお祈りを捧げる。
インドネシアの人口の大半を占めているイスラム教徒、僕もそのうちの1人だ。イスラム教に触れる機会があまり無い(であろう)日本の皆さんにも知ってもらいたく、今回はイスラム教徒がどのようにして礼拝しているのか紹介したい。
ちなみに、今回の記事ではインドネシアでよく使われるイスラム用語を使っている。他国と呼び方等が違うこともあるので、その点留意していただきたい。では、まずは服装からいこう。
・服装
礼拝に使える服装は男女ともに違うが、男性であれば厳しいルールは無い。外出用の服で足全体を覆えればそれでもいい。
インドネシアのイスラム教徒は上のような服装を好むのだ。この上着は「Baju Koko(バジュ ココ)」と言い、もとは中国の伝統的な衣装だが、イスラムの服として使われている。
下は「Sarung(サルン)」と言い、筒状の布を腰に巻いて着るもの、スカートみたいなもの。これがインドネシアのイスラム教徒のテンプレート衣装と言えよう。
女性だとインドネシアでは「Mukenah(ムクナ)」といい、顔と手以外を覆う服を着て礼拝する。この「ムクナ」だが、様々な色と柄があって、女性が着やすくなっている。
・清め
イスラム教徒は礼拝をする前に、先に体を清める。体の清め方には順番とやり方があるのだけど、状況や状態によって清め方も違ったりする。
たとえば、裸足で地面を歩いたり、綺麗ではないものに触れたり、用を足したりして、軽く汚れている状態のとき。まぁ人間は誰しも軽く汚れている状態になっていると認識しても良い。
この場合は手、足、顔、髪の毛など普段表に出ているところを流れるキレイな水で洗って清める。洗う順番もあるんだが、簡単だね。
一方、性行為や生理のあとだと重い汚れに分類される。重い汚れの状態だと、上記のような清め方では足りないとされる。
この場合はお風呂場で、全身を水で洗うのだ。シャワーを浴びるような感じと思っていいだろう。
もし水が無く探しても全然見つからなかった場合や、病気で自分で歩けない場合は「タヤムーム」と言って、水の代わりにキレイな砂や埃などを使ってもいい。
・キブラ
世界中のイスラム教徒はイスラム教の聖地「マッカ」にある「カアバ」に向かって礼拝をする。これは絶対的なことで、体を清めたあとにカアバの方向(キブラ)を確認しなければならない。
モスクや礼拝室などに居れば問題ないが、もし周りにモスクが無い場合はアプリを使って礼拝する方向(キブラ)を瞬時に確かめることができる。技術万歳!!
・礼拝
上にも書いてあるとおり、イスラム教は全身を使って礼拝を行う。モーションに決まりがあって、モーション毎に読むお祈りもある。大事なことなので、イスラム教徒は小さい頃から礼拝について叩き込まれるんだ。
そんで、これらのモーションは「1ラカアート」と数える。これを決まった時間帯に決まった回数でこなすのがイスラム教の礼拝だ。少し大変だけども、このモーションで乱れた心を落ち着かせる。
礼拝は絶対的だが、礼拝しなくても許される場合がある。生理中の女性やまだまだ小っちゃい子供たち、精神病の患者は礼拝しなくても良いことになっている。
また、病気などで立つことが困難なときは、無理しない範囲で、動かせる部位だけ動かして礼拝することもできる。神様は慈悲深いのだ。
・礼拝時間
イスラム教徒は決められた5つの時間帯に礼拝をしなければならない。モスクがあれば、そこからお祈りの時間を告げる「アザン」が聞こえる。僕たちイスラム教徒はそれで礼拝時間を知ることが出来る。もしモスクがなかったら、アプリを使って確認できるので安心。技術万歳!!
ちなみに、僕の住んでいる地域(インドネシア東ジャワ州マラン)で、1日の最初の礼拝時間はというと……
朝3時台!!!!!
うん、正直言って朝はキツイんだ。なにせ太陽がまだ昇らない朝早く起きて、朝の冷た〜い水で体を清めて、眠たい体を無理やり動かさなければならない。
幸い、朝は5つの礼拝で1番短い(2ラカアートだけ、他は3とか4ラカアートもする)ので、早くお祈りを済ませて、また寝ることもできる。冷たい水にさらされたあとの暖かい布団の中はマジ天国。
朝の礼拝があるからか、インドネシア人の1日の始まりは早い。学校や仕事が朝7時頃から始まることもあるので、皆朝の礼拝のあとそのまま準備をする。
僕ぐらいになれば二度寝しても遅刻したことは無い(ドヤァ)けれど、朝強くないとマジで生きていけない国だ。なお、礼拝の時間は太陽の動きで決まるため、同じ国でも地域によって時間がずれたりする。
だから全員が全員同じ時間帯に礼拝するという訳ではないが、基本的に「早起き必須」なのは変わらないよ。参考までに、僕が毎日やっている礼拝の時間帯をお伝えしておこう。こんな感じだ。
──以上。なんとなくイスラム教の礼拝についてのイメージが掴めたかな?
最後になったけど、もしじゅうたんの上に立って手を組んでいる人を見かけたら、礼拝し終えるまでそっとしておくれ。礼拝中はお祈りに集中しているため、受け答えができないのだ。
それでは、Sampai Jumpa Lagi !!
参考リンク:Wikipedia「サラート」、Google検索「Sampai Jumpa Lagi」
執筆:アキル
Photo:RocketNews24.
Screenshot:Five Prayers Prayers, Adhan(Android)