「瓶細工」が作られるようになるのは、ガラス瓶が広まった明治時代らしい
日本や世界の郷土玩具がこれでもかとたくさん展示されていて楽しい姫路の「日本玩具博物館」。そこに「瓶細工」というものを展示しているコーナーがあった。
球形のガラス瓶の中に、布で作った人形のようなものがギュウギュウに詰まっている。
日本玩具博物館の館長・井上重義さんによると、びん細工は江戸時代の文政4年(1821)に長崎で作られたという作品が伝承されていますが、これらの多くはガラス瓶が一般的になった明治時代以降に作られたものだと考えられるという。
「で、どうやって詰めたの?」と思う。実際、私も館長に「これはどうやって入れたんでしょうか?」と聞いた。しかし、館長は「それが、わからないんです」とおっしゃる。
中に入っているものは、日本玩具博物館にも多数展示品のある「ちりめん細工」と同じ要領で作られたものも多いという。
ちなみに日本玩具博物館は「ちりめん細工」ブームの立役者でもある(日本玩具博物館による「ちりめん細工」の詳細ページ)。
布ではあるから押し込んで入れるのかもしれないが、それにしても中身がぎっしり詰まっている。
ただ、「瓶細工」の中でも、瓶の中に「糸毬」が入っているものに関しては作り方がわかっているんだとか。
その作り方について井上館長が解説してくれた。
「今からもう50年近く前ですけど、これを作れる方に出会って、作り方を教えてもらったんです。まず、毬を作る時に、太い糸を丸めて作るんですが、巻き始めの糸を外に出しておいて、一定の大きさの毬を作るんです」
「それができたら、毬の上を薄い和紙で包んで、その上に糸を巻いて下地を作って、さらにその上に色糸で模様を作り、毬を完成させるわけです。
毬が完成したら、一番最初の巻き始めの糸が外に出ていますので、それを引き抜きます。すると、糸が外に出て、空洞になるんです。中身が空洞の毬ができるわけです。
それを瓶の中に入れてから、糸を抜いた穴に細長い筒を差し込んで、そこから少しずつ綿を押し入れて膨らませるんですよ。最後に穴が分からないように糸を動かせば完成です」
「実際に私も毬を入れたびん細工を教えてもらいましたが、瓶に入れたまりに少しずつ綿を入れることが本当に大変で、すごい手間がかかりました。こういった瓶細工がこれだけ並んでいる施設は他に無いと思います」
なるほど、後から綿を入れるのか。明治時代にこの瓶細工を誰かに見せびらかしていた人のドヤ顔がなんとなく思い浮かぶ。きっと私と同じように「え、どうやって入れたんですか!?」と驚いた人が大勢いただろう。
見れば見るほど、不思議で、かつギュウギュウ加減が可愛くもある瓶細工。ぜひ日本玩具博物館に見に行ってみてください。
※日本玩具博物館についてはこちらの記事もぜひどうぞ!
世界中のおもちゃが集まる姫路の「日本玩具博物館」がすごかった